VEKTOR(ヴェクター)の基本情報:バンドの結成から現在までの歴史
VEKTOR(ヴェクター)は、アメリカ合衆国出身のプログレッシヴ・スラッシュ・メタル・バンドです。複雑な楽曲構成、テクニカルなギターリフ、高速のドラム、そしてフロントマンのデヴィッド・ディサント(David DiSanto)<Vo,Gt>によるハイトーンスクリームが特徴のバンドです。彼らの音楽は、スラッシュメタルを基盤にしながらも、プログレッシヴ・メタルやスペース・ロックの要素を取り入れた独特のサウンドを持っています。
VEKTORは、2002年にアメリカ・アリゾナ州テンピで結成されました。結成当初はLOCRIANというバンド名でしたが、後に現在のVEKTORへと改名しました。2000年代初頭から、彼らは地元のアンダーグラウンド・シーンで活動を始め、2006年には自主制作のデモ『Demolition』をリリースしました。その後、2007年に2枚目のデモ『Hunger for Violence』を発表し、そのテクニカルかつ攻撃的なスラッシュ・メタル・スタイルで注目を集めました。
2009年、VEKTORはデビューアルバム『Black Future』をリリースしました。この作品は、従来のスラッシュメタルの激しさに加え、SF的な世界観とプログレッシヴな展開を融合させたサウンドで、多くのメタルファンの間で話題になりました。
2011年には2ndアルバム『Outer Isolation』をリリースしました。このアルバムでは、前作以上に複雑でプログレッシヴな要素が強調されており、VOIVODの影響を感じさせるスペーシーなギターリフが特徴的でした。これにより、VEKTORは単なるスラッシュメタル・バンドではなく、独自の音楽性を持つ存在として認知されるようになりました。
2016年、VEKTORは3rdアルバム『Terminal Redux』を発表しました。このアルバムは、バンド史上最も壮大な作品であり、コンセプトアルバムの形を取っています。SFをテーマにしたストーリーが全編を貫き、楽曲の構成も非常にドラマチックでした。アルバムは多くの音楽メディアから高評価を受け、彼らのキャリアの中で最も成功した作品となりました。
しかし、アルバムリリース後の2016年12月、デヴィッド・ディサント以外のメンバーがすべて脱退を発表しました。その背景には、ツアーの過密スケジュールやバンド内部の対立があったと言われています。この出来事により、VEKTORは事実上の活動停止状態に陥りましたが、2020年、新たなメンバーを迎え活動再開を発表しました。バンドはヨーロッパツアーを開始し、2021年には、7インチシングル『Activate』をリリースし、新たな楽曲制作が進んでいることを示しました。
VEKTORは、テクニカルな演奏とSF的な世界観を融合させたプログレッシヴ・スラッシュ・メタルの先駆者として知られるバンドです。幾度のメンバー変更や困難を乗り越えながらも、その独自の音楽性を貫き続けています。今後の新作やライブ活動にも期待が高まります。
VEKTORのメンバー
【現メンバー】
デイヴィッド・ディサント(David DiSanto) – Vocal/Guitar(2004~2016、2020~)
エリック・ネルソン(Erik Nelson) -Guitar(2004~2016、2020~)
ステファン・クーン(Stephen Coon) – Bass(2020~)
マイク・オルソン(Mike Ohlson) – Drums(2020~)
【過去メンバー】
ウィリー・レッドショウ(Willy Redshaw) – Drums(2004)
マイク・トッツィ(Mike Tozzi) – Bass(2005~2008)
アダム・アンダーソン(Adam Anderson) – Drums(2005~2006)
キアン・アフマド(Kian Ahmand) – Drums(2006~2007)
ブレイク・アンダーソン(Blake Anderson) – Drums(2007~2016)
フランク・チン(Frank Chin) – Bass(2008~2016)
VEKTORの代表作・アルバム紹介と聴きどころ
Terminal Redux(2016)
- Changing The Void
- Cygnus Terminal
- LCD(Liquid Crystal Disease)
- Mountains Above The Sun
- Ultimate Artificer
- Pteropticon
- Psychotropia
- Pillars Of Sand
- Collapse
- Recharging The Void
VEKTORが描く未来世界─『Terminal Redux』がスラッシュメタルを新次元へと導く理由とは?
アメリカ発のプログレッシヴ・スラッシュメタルバンド、VEKTORが2016年にリリースした『Terminal Redux』は、SFをテーマにした壮大なコンセプトアルバムです。全73分に及ぶ本作は、緻密に構築された楽曲構成、複雑なリズム展開、そしてデヴィッド・ディサントの独特なハイトーンボーカルが特徴で、従来のスラッシュメタルの枠を超えた芸術性を誇ります。特に10分超えの楽曲が多く、VOIVODやWATCHTOWEに通じるプログレ的要素が随所に光ります。『Terminal Redux』は、スラッシュメタルを未来志向のサウンドへと進化させた金字塔的作品として高く評価されています。
Outer Isolation(2011)
- Cosmic Cortex
- Echoless Chamber
- Dying World
- Tetrastructural Minds
- Venus Project
- Dark Creations, Dead Creators
- Fast Paced Society
- Outer Isolation
プログレ×スラッシュの完成形!VEKTOR『Outer Isolation』が描いた知性と破壊の音世界
VEKTORが2011年に発表した2ndアルバム『Outer Isolation』は、プログレッシヴとスラッシュメタルを高度に融合させた傑作です。複雑かつスピーディな楽曲構成、変拍子を駆使した展開、そしてSF的世界観を貫くリリックが、知性と破壊力を両立させたサウンドを生み出しています。VOIVODを彷彿とさせつつも、よりアグレッシブかつ現代的な音作りが特徴で、テクニカルなギターリフや長尺曲の緻密な構成美は圧巻です。VEKTORはこの作品で自らのスタイルを確立し、アンダーグラウンド・スラッシュメタルの最前線へと躍り出ました。スラッシュとプログレの両方を愛するリスナーにとって、必聴のアルバムです。
Black Future(2009)
- Black Future
- Oblivion
- Destroying The Cosmos
- Forests Of Legend
- Hunger For Violence
- Deoxyribonucleic Acid
- Asteroid
- Dark Nebula
- Accelerating Universe
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