GHOST(ゴースト)とはどんなバンド?
GHOST(ゴースト)は、スウェーデン・リンシェーピングで結成されたヘヴィ・メタル/ドゥーム・メタル/ハード・ロック・バンドです。バンドの中心人物はトビアス・フォージ(Tobias Forge)<Vo>で、彼は様々なキャラクターに扮しながらフロントマンを務めています。その他のメンバーは顔を覆った“Nameless Ghouls(名無しのグールたち)”として匿名で活動しており、神秘的なイメージと演出がバンドの大きな特徴となっています。北米地域では権利関係の都合のため、GHOST B.C.という名義で活動しています。
GHOSTは、元CATHEDRALのリー・ドリアンが主宰する「Rise Above Records」から2010年にデビュー・アルバム『Opus Eponymous』をリリースし、古典的なハードロックやドゥームメタルの影響を受けたサウンドと、教会音楽風の荘厳さ、そして悪魔的なテーマを融合させたスタイルで注目を集めました。この作品はカルト的な人気を博し、ヨーロッパやアメリカを中心に支持を広げました。
続く2013年の2ndアルバム『Infestissumam』では、よりポップでメロディックな要素が加わり、全米ロック・アルバム・チャートで1位を獲得するなど、商業的な成功を収めました。また、この頃からライブパフォーマンスの規模も拡大し、GHOSTの名は国際的に知られるようになります。
2015年には3rdアルバム『Meliora』をリリースし、グラミー賞「最優秀メタル・パフォーマンス賞(Best Metal Performance)」を受賞するなど、批評的にも高く評価されました。
2017年にバンドメンバーによる訴訟で一時停滞しますが、2018年には4thアルバム『Prequelle』を発表し、これまで以上にポップロックやシンフォニックな要素を取り入れたスタイルに進化しました。
2022年には5thアルバム『Impera』をリリースし、1980年代のアリーナロックやAORの影響を感じさせるサウンドで高い評価を獲得しました。この作品では政治的・宗教的テーマを織り交ぜたコンセプチュアルな内容が特徴です。
GHOSTは、ヘヴィ・メタルの音楽性とポップ・センス、そして舞台演出を巧みに融合させた独自のスタイルで、メタル・シーンにおいて異彩を放ち続けています。宗教的アイコンや悪魔崇拝をパロディ的に取り入れた美学と、演劇的なショーマンシップが世界中のファンを魅了しており、現在に至るまでその勢いは衰えることなく、国際的な人気を確立しています。
時代ごとの進化:アルバムごとの世界観とサウンド
Skeletá(2025)
- Peacefield
- Lachryma
- Satanized
- Guiding Lights
- De Profundis Borealis
- Cenotaph
- Missilla Amori
- Marks Of The Evil One
- Umbrea
- Excelsis
「死を踊り、闇を纏って歌う者──その名はSkeletá」
新たなフロントマン「Papa V Perpetua」の登場とともに、内省的なテーマと多彩な音楽性が融合した、2025年にリリースされたGHOSTの6thアルバム『Skeletá』は、バンドの新たな章を象徴する作品です。先行シングル「Satanized」や「Lachryma」は、悪魔的な儀式や喪失の悲しみを描き、リスナーを深い世界観へと誘います。アルバム全体を通じて、GHOSTはヘヴィなリフとシンセポップの要素を巧みに組み合わせ、過去作とは一線を画すサウンドを展開しています。特に終曲「Excelsis」は、静謐で荘厳な雰囲気を持ち、アルバムの締めくくりにふさわしい一曲です。『Skeletá』は、GHOSTの音楽的進化と物語性の深化を示す、注目すべきアルバムです。
Impera(2022)
- Imperium
- Kaisarion
- Spillways
- Call Me Little Sunshine
- Hunter’s Moon
- Watcher In The Sky
- Dominion
- Twenties
- Darkness At The Heart Of My Love
- Griftwood
- Bite Of Passage
- Respite On The Spitalfields
「帝国は栄え、そして堕ちる──その瞬間を音で描く」
2022年にリリース5thアルバム『Impera』は、「帝国の興亡と堕落」をテーマに、壮大かつドラマティックなサウンドで物語を描いています。1980年代のアリーナロックやポップメタルの影響を色濃く受けた楽曲群は、重厚でありながらキャッチーな魅力を放ち、“Call Me Little Sunshine”や“Kaisarion”などがその代表例です。政治や宗教の支配構造を皮肉った歌詞とともに、GHOSTならではの物語性と美学がさらに深化しています。“Papa Emeritus IV”としての新章を象徴する作品であり、世界観、演出、音楽性すべてにおいてバンドの成熟を感じさせられます。
Prequelle(2018)
- Ashes
- Rats
- Faith
- See The Light
- Miasma
- Dance Macabre
- Pro Memoria
- Witch Image
- Helvetesfönster
- Life Eternal
「感染するのはメロディか、それとも死神のささやきか」
2018年にリリースされた4thアルバム『Prequelle』は、ペストの流行をテーマにしながらも、サウンド面では1980年代のアリーナロックやAORへの明確な回帰を示した作品です。“Rats”や“Dance Macabre”といった楽曲は、キャッチーなメロディと壮大なアレンジが特徴で、従来のドゥーム的な要素よりもポップで親しみやすい印象を与えます。また、インストゥルメンタル曲にも力が入っており、アルバム全体の構成美も際立っています。“Cardinal Copia”として新たなキャラクターが登場したことで、物語性も一新され、GHOSTの進化と多様性を強く印象づけています。
Meliora(2015)
- Spirit
- From The Pinnacle To The Pit
- Cirice
- Spöksonat
- He Is
- Mummy Dust
- Majesty
- Devil Church
- Absolution
- Deus In Absentia
「悪魔の祈りはより荘厳に、より劇的に」
2015年発売の3rdアルバム『Meliora』は、彼らのキャリアを決定づけた傑作として高く評価されています。産業文明と信仰の空洞化をテーマに据えた本作は、重厚なメタルサウンドに加え、プログレッシヴな構成やシンフォニックな要素を巧みに取り入れています。代表曲“Cirice”はドラマティックな展開と深みのあるメロディで注目を集め、2016年にはグラミー賞「最優秀メタル・パフォーマンス賞」を受賞。批評家やリスナーからも高評価を受け、GHOSTの音楽性と芸術性が真に世界に認められた作品となりました。宗教的モチーフと現代的テーマの融合が際立つ一枚です。
Infestissumam(2013)
- Infestissumam
- Per Aspera Ad Inferi
- Secular Haze
- Jigolo Har Megiddo
- Ghuleh / Zombie Queen
- Year Zero
- Body And Blood
- Idolatrine
- Depth Of Satan’s Eyes
- Monstrance Clock
「ポップに堕落せよ – それは“最も不敬なるもの”の賛歌」
2013年発売の2ndアルバム『Infestissumam』は、宗教的世界観とポップセンスの大胆な融合で注目を集めました。悪魔の到来をテーマにしつつも、サウンドはより洗練され、バロック風のコーラスやサイケ、ポップロックの要素が加わり、聴きやすさが格段に向上しています。“Year Zero”や“Monstrance Clock”などは宗教的儀式を思わせる荘厳さとキャッチーな旋律を併せ持ち、聴く者を魅了します。前作よりも演出やコンセプトが進化し、音楽的にも確かな実力を持つ存在であることを示した重要作です。
Opus Eponymous(2010)
- Deus Culpa
- Con Clavi Con Dio
- Ritual
- Elizabeth
- Stand By Him
- Satan Prayer
- Death Knell
- Prime Mover
- Genesis
「この一撃で世界はGHOSTを知った」
2010年発売のデビュー作『Opus Eponymous』は、メタル界に鮮烈な印象を与えました。重厚なドゥーム・リフと70年代ハードロックのオカルト的な響き、そして聖歌のように荘厳なメロディが融合し、唯一無二の世界観を築いています。フロントマン“Papa Emeritus”の宗教儀式さながらのボーカルと、謎に包まれた“Nameless Ghouls”の演奏が、音楽と演出を完全に一体化させ、カルト的な人気を獲得しました。悪魔的なテーマと洗練された楽曲構成は、ただのネタバンドではない実力を証明しており、以後の快進撃の礎となった衝撃作です。
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