GORGUTS(ゴーガッツ)とは?バンドの基本情報と音楽スタイル
GORGUTS(ゴーガッツ)は、1989年にカナダ・ケベック州のシャーブルックで結成されたアヴァンギャルド/テクニカル・デス・メタル・バンドです。彼らはバンドの中心人物であり、リュック・ルメイ(Luc Lemay)<Vo,Gt>を中心に、そのキャリアを通じて複雑かつ実験的な音楽性を追求し続けてきました。
GORGUTSは1991年にデビュー・アルバム『Considered Dead』をリリースし、初期の作品ではデス・メタルの王道を踏襲したスタイルを披露しました。続く1993年の2ndアルバム『The Erosion of Sanity』ではよりテクニカルな要素を強めましたが、当時のデス・メタル人気の低下により、一時的にレーベルとの契約を失い、5年間の活動休止に至ります。
しかし1998年、リュック・ルメイを中心にバンドは再始動し、3rdアルバム『Obscura』をリリースします。この作品は従来のデス・メタルの枠組みを大きく超えたアヴァンギャルドなサウンドで注目され、現在ではジャンルの金字塔と評価されています。
2001年には4thアルバム『From Wisdom to Hate』を発表しましたが、数年後に再び活動を停止しました。その後、2013年に5thアルバム『Colored Sands』で劇的な復活を遂げ、チベットの歴史と文化をテーマにしたコンセプト作品として高い評価を得ました。2016年には『Pleiades’ Dust』という1曲約33分に及ぶ壮大なEPを発表し、彼らの音楽的探求はさらに深化しました。
現在に至るまで、GORGUTSはリュック・ルメイの芸術的ヴィジョンを軸に、デス・メタルの限界を押し広げる存在として世界的に評価されています。メンバーの入れ替えは多いものの、その音楽的独自性と革新性は常に保たれています。
アルバム紹介|GORGUTS、進化の歴史
Colored Sands(2013)
- Le Toit Du Monde
- An Ocean Of Wisdom
- Forgotten Arrows
- Colored Sands
- The Battle Of Chamdo
- Enemies Of Compassion
- Ember’s Voice
- Absconders
- Reduced To Silence
「圧倒的構成美と叙情性が融合した、現代デスメタルの到達点」
2013年に発表された本作は、チベット文化とその悲劇をテーマに据え、壮大かつ緻密な構成と卓越した演奏でリスナーを精神の旅へと誘います。リュック・ルメイ<Vo,Gt>率いる新体制による重厚なサウンドは、知性と暴力性が見事に融合。管弦楽を用いたインストゥルメンタル曲「The Battle of Chamdo」など、デスメタルの枠を超えた表現が光ります。リリースから10年以上が経った今も、革新性と深いメッセージ性で高く評価されており、GORGUTSの金字塔として語り継がれています。GORGUTSの『Colored Sands』は、テクニカル・デスメタルの常識を超えた芸術作品です。
From Wisdom To Hate(2001)
- Inverted
- Beave Through Mythos
- From Wisdom To Hate
- The Quest For Equilibrium
- Unearthing The Past
- Elusive Treasures
- Das Martyrium Des …
- Testimonial Ruins
「静謐なる怒り、GORGUTSが語る知性と暴力の融合点」
4thアルバム『From Wisdom to Hate』は、前作『Obscura』の実験性を受け継ぎつつも、より構造的で明快な楽曲展開が特徴です。2001年にリリースされた本作は、リュック・ルメイ<Vo,Gt>の哲学的ビジョンを音で具現化した作品であり、混沌と秩序の絶妙なバランスが聴き手を圧倒します。重厚なリフワークと精緻な展開は、アヴァンギャルドでありながら理性的。デスメタルという枠を超え、芸術的な価値を持つ1枚として、今なお高い評価を誇ります。テクニカルな要素と知的なコンセプトが融合した本作は、GORGUTSの革新性を証明するマスターピースです。
Obscura(1998)
- Obscura
- Earthly Love
- The Carnal State
- Nostalgia
- The Art Of Sombre Ecstasy
- Clouded
- Subtle Body
- Rapturous Grief
- La Vie Est Prelude …(La Mort Orgasme)
- Illuminatus
- Faceless Ones
- Sweet Silence
「“理解不能”が魅力に変わる、アヴァンギャルド・デスメタルの原点」
1998年にリリースされた3rdアルバム『Obscura』は、テクニカル・デスメタルの常識を覆した歴史的作品です。従来のデスメタルに見られるスピードや暴力性に加え、不協和音や変拍子、極端な構築美を取り入れた本作は、まさに“音楽的狂気”と“知性”の融合体。初聴時には理解不能とさえ言われた楽曲群は、後に多くのアーティストに影響を与えることになります。リュック・ルメイ<Vo,Gt>の芸術的ビジョンとスティーヴン・ハードル<Gt,Vo>の変態的ギターが生み出す音世界は、挑戦的でありながら、深い没入感を持ち、今もなおアヴァンギャルド・メタルの金字塔として君臨しています。
The Erosion Of Sanity(1993)
- With Their Flesh, He’ll Create
- Condemned To Obscurity
- The Erosion Of Sanity
- Orphans Of Sickness
- Hideous Infirmity
- A Path Beyond Premonition
- Odors Of Existence
- Dormant Misery
「洗練と激烈が同居する、90年代初頭の隠れた傑作」
2ndアルバム『The Erosion of Sanity』は、デスメタルの中でも異彩を放つテクニカルかつ知的な作品です。複雑なリフ構成と変則的なリズム展開、冷徹なサウンドスケープが特徴で、聴く者の理性を侵食するかのような緊張感に満ちています。本作では、初期のブルータルさに加えて作曲面の精度が飛躍的に向上しており、後の『Obscura』へとつながる技術的・精神的深化の兆しが明確に表れています。Roadrunner Recordsからリリースされたにも関わらず、当時は過小評価されましたが、今ではテクニカル・デスメタルの重要作として再評価が進んでいます。
Considered Dead(1991)
- …And Then Comes Lividity
- Stiff And Cold
- Disincarnated
- Considered Dead
- Rottenatomy
- Bodily Corrupted
- Waste Of Mortality
- Drifting Remains
- Hematological Allergy
- Inoculated Life
「テクニカル・デスの胎動、90年代初頭の異端なる出発点」
1991年、シーンに鮮烈なデビューを果たした本作は、デスメタルの激烈さとテクニカルな構成を融合させた先駆的作品として知られ、元DEATHのジェイムズ・マーフィー<Gt>、SIX FEET UNDERのクリス・バーンズ<Vo>がゲスト参加し、ブルータルなリフと緻密な展開は、後のアヴァンギャルド路線の萌芽を感じさせます。Roadrunner Recordsからのリリースにより国際的にも注目され、北米ツアーを通じてその名を広めました。『Considered Dead』は、ただのデス・メタルではなく、知性と構築美が宿るGORGUTSの原点として、今なお語り継がれる名盤です。
コメント