AS I LAY DYINGとは?バンドの歴史と結成経緯
AS I LAY DYING(アズ・アイ・レイ・ダイング)は、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ出身のメタルコア・バンドです。2000年に結成され、メロディック・デスメタルとハードコアの要素を融合させた”メタルコア”で、瞬く間にメタルシーンでの地位を確立しました。
AS I LAY DYINGは、フロントマンであるティム・ランベシス(Tim Lambesis)<Vo>を中心に結成されました。バンド名は、ウィリアム・フォークナーの小説『死の床に横たわりて(As I Lay Dying)』に由来しており、深い悲劇的要素を持つタイトルがバンドの音楽のテーマとも合致しています。初期の活動は、カリフォルニア州の地下シーンからスタートし、独自の音楽性で注目を集めました。
2001年にインディーズレーベルからデビューアルバム『Beneath The Encasing Of Ashes』を発売し、その後5人編成となり、2003年にMETAL BLADE RECORDSと契約し、2ndアルバム『Frail Words Collapse』を発売。徐々に人気が高まり、2005年に発表された3rdアルバム『Shadows Are Security』は、バンドにとっての転機のアルバムであり、商業的にも大成功を収めました。このアルバムは、メロディック・デスメタルとハードコアを融合させたスタイルを特徴としており、世界中のメタルファンに強い印象を与えました。特にシングル「Confined」や「The Darkest Nights」などは、バンドの代表曲として長年にわたり愛されています。
『The Powerless Rise』(2010年)や『Awakened』(2012年)などのアルバムで、バンドはその音楽性を進化させました。『The Powerless Rise』では、より技術的で複雑な楽曲が多く、バンドとしての成熟が感じられます。また、『Awakened』では、より洗練されたメロディアスな要素を取り入れ、メタルコアにおける新しい方向性を切り開きました。
2013年5月、バンドはリーダーのティム・ランベシスが殺人教唆の罪で逮捕されたことにより、活動を一時停止せざるを得なくなりました。2014年に裁判があり、ティム・ランベシスは実刑が確定。残されたメンバーは新たなヴォーカルを迎え、WOVENWARを結成。AS I LAY DYINGは解散しました。
2016年、ティム・ランベシスが服役していた刑務所から仮出所。2018年に活動休止前のメンバーで復活し、新たなアルバム『Shaped by Fire』(2019年)を発表しました。このアルバムは、過去の試練を乗り越えたバンドの力強い復活を象徴する作品となりました。
2020年、2022年と相次いでバンドメンバーが脱退。バンドはUNEARTH、MISS MAY Iのメンバーをサポートメンバーに迎えツアーをこなし、8thアルバム『Throught Storms Ahead』を発売しますが、ティム・ランベシス以外のメンバー全員が脱退し、その後、彼の家庭内暴力疑惑や、動物虐待疑惑が世間を賑わせ、バンド活動は未定となっています。
しかしながら、AS I LAY DYINGは、その音楽的革新性と情熱的なパフォーマンスにより、メタルコアシーンに多大な影響を与えてきました。活動は未定ですが、今後に注目が集まります。
バンドメンバー
【現メンバー】
ティム・ランベシス(Tim Lambesis) – Vocal(2000~2014、2017~) / Bass(2001)
【過去メンバー】
ジョーダン・マンチーノ(Jordan Mancino) – Drums / Vocal[backing](2000~2014、2018~2022)
ノア・チェイス(Noah Chase) – Bass(2001)
ジェレミー・ロヤス(Jeremy Rojas) – Guitar(2001)
エヴァン・ホワイト(Evan White) – Guitar(2001~2003)
チャド・アッカーマン(Chad Ackerman) – Guitar(2002)
ジェイスン・クレブス(Jasun Krebs) – Guitar(2002~2003)
アーロン・ケネディ(Aaron Kennedy) – Bass(2003)
クリント・ノリス(Clint Norris) – Bass / Vocal[clean](2003~)
フィル・スグロッソ(Phil Sgrosso) – Guitar / Vocal[backing](2003~2014、2018~2024)、Bass(2005)、Keyboard / Piano(2007)
ニック・ヒパ(Nick Hipa) – Guitar / Vocal[backing](2004~2014、2018~2021)
ジョシュ・ギルバート(Josh Gilbert) – Guitar / Vocal[backing](2007~2014、2018~2022)
ライアン・ネフ(Ryan Neff) – Bass / Vocal[clean](2022~2024)
ニック・ピアース(Nick Pierce) – Drums(2022~2024)
ケン・スーシー(Ken Susi) – Guitar(2022~2024)
AS I LAY DYINGのアルバム紹介 | 初期のデスメタルから現在のスタイルまで
Through Storms Ahead(2024)
- Pemaneance
- A Broken Reflection
- Burden
- We Are The Dead
- Whitewashed Tomb
- Through Storms Ahead
- The Void Within
- Strength To Survive
- Gears That Never Stop
- The Cave We Fear To Enter
- Taken From Nothin
無限の苦悩を超えて―AS I LAY DYING、2024年の新たな地平を切り開く
UNEARTH, MISS MAY Iのメンバーの協力を得て制作されたバンドの復活を象徴するアルバムであり、過去の試練を乗り越えた新たな挑戦の証となった8thアルバム。2024年にリリースされたこのアルバムは、メロディック・デスメタルとハードコアを融合させた音楽性をさらに進化させ、力強いメロディと激しいギターリフが織り成すサウンドで、ファンの期待を超える内容となっています。アグレッシブな楽曲と共に深い感情を込めたメロディアスな要素を融合させており、特に「Fury of the Storm」や「Against the Tide」などのトラックは、バンドの音楽的成長と挑戦の姿勢を色濃く反映しています。ティム・ランベシスの力強いヴォーカルは、歌詞に込められた苦悩と希望の両面を表現し、リスナーに深い共鳴を呼び起こします。
Shaped By Fire(2019)
- Burn To Emerge
- Blinded
- Shaped By Fire
- Undertow
- Torn Between
- Gatekeeper
- The Wreckage
- My Own Grave
- Take What’s Left
- Redefined
- Only After We’ve Fallen
- The Toll It Takes
絶望の先に輝く光―AS I LAY DYINGが放つ最強の復活アルバム
ティム・ランベシスが出所し、活動休止前のラインナップで制作された”バンドの復活”を象徴する作品であり、試練と再生の物語が音楽に凝縮されています。激しいギターリフと疾走感溢れるドラムが特徴のトラックで始まり、リスナーを引き込む力強さを持っています。特に「My Own Grave」や「Redefined」では、ティム・ランビシスの激しいヴォーカルが前面に出て、バンドの決意と闘志が感じられます。歌詞には、過去の試練や内面的な葛藤が込められており、聴く者に深い共鳴を与えます。音楽的には、これまでのアルバムのスタイルを進化させ、メロディとアグレッションのバランスが絶妙です。『Shaped By Fire』は、AS I LAY DYINGが過去の困難を乗り越え、再生の力を音楽に変換した証であり、メタルコアの新たな金字塔とも言える作品です。このアルバムは、バンドの進化を感じさせると共に、今後の活動に対する期待をさらに高めるものとなっています。
Awakened(2012)
- Cauterize
- A Greater Foundation
- Resilience
- Wasted Words
- Whispering Silence
- Overcome
- No Lungs To Breathe
- Defender
- Washed Away
- My Only Home
- Tear Out My Eyes
進化するメタルコア―『Awakened』が切り拓いた新たな音楽の地平
メタルコアの枠を超えた革新的な作品であり、バンドの音楽的進化を感じさせる力強い一枚。前作からの進化を遂げ、より洗練されたメロディとアグレッションが融合し、ファンに新たな音楽的体験を提供しています。アルバムの冒頭を飾る「Cauterize」や「A Greater Foundation」では、激しいギターリフとダイナミックなドラムが炸裂し、バンドの力強さと進化を印象づけます。『Awakened』では、メロディアスな要素とハードコア的なアグレッションが見事に融合しており、アルバム全体を通して深みと幅広い音楽性を感じさせます。特に「Defender」や「No Lungs to Breathe」などは、バンドの新しい挑戦と音楽的成長を象徴する楽曲です。このアルバムは、AS I LAY DYINGがメタルコアというジャンルを新たな次元へと押し上げ、進化し続ける姿勢を鮮明に示し、今後のメタルシーンに多大な影響を与える重要な作品となっています。
The Powerless Rise(2010)
- Beyond Our Suffering
- Anodyne Sea
- Without Conclusion
- Parallels
- The Plague
- Anger And Apathy
- Condemned
- Upside Down Kingdom
- Vacancy
- The Only Constant Is Change
- The Blinding Of False Light
絶望の中から立ち上がる―『The Powerless Rise』が放つ最強のメッセージ
バンドの音楽的成長と試練を乗り越えた力強い復活を象徴する作品。絶望の中から立ち上がる希望と強さをテーマにし、メタルコアの枠を超えた深いメッセージを届けています。アルバムの冒頭を飾る「Beyond Our Suffering」や「Anodyne Sea」では、力強いギターリフと疾走感溢れるドラムが炸裂し、アルバム全体を通して激しいエネルギーを放っています。音楽的には、メロディック・デスメタルとハードコア的なアグレッションが見事に融合し、AS I LAY DYINGのサウンドをさらに進化させています。このアルバムは、AS I LAY DYINGが困難を乗り越え、進化を遂げた証であり、メタルシーンにおける新たな金字塔となるべき作品です。『The Powerless Rise』は、絶望の中で輝く希望と復活の力強いメッセージをリスナーに届けています。
An Ocean Between Us(2007)
- Separation
- Nothing Left
- An Ocean Between Us
- Within Destruction
- Forsaken
- Comfort Betrays
- I Never Wanted
- Bury Us All
- The Sound Of Truth
- Departed
- Wrath Upon Ourselves
- This Is Who We Are
海を越え、心を繋ぐ―AS I LAY DYINGが描いた苦悩と解放の物語
ビルボードチャートで初登場8位を記録し、バンドがメタルコアというジャンルの枠を超え、感情的な深さと音楽的な挑戦を融合させた力強い作品です。グラミー賞の”ベストメタルパフォーマンス”にノミネートされた「Nothing Left」や、「The Sound of Truth」など、アルバムを通して展開される楽曲は、メロディック・デスメタルの要素とハードコア的なアグレッションが見事に調和しています。『An Ocean Between Us』は、絶望から希望へと至る過程を描いており、特に「Separation」や「The Darkest Nights」では、そのテーマが鮮明に表現されています。このアルバムは、AS I LAY DYINGがメタルコアの枠を超え、音楽的にも感情的にも大きな進化を遂げた証であり、バンドの代表作とも言える作品です。『An Ocean Between Us』は、苦しみの中に希望を見出し、絶え間ない挑戦を続ける力強いメッセージを訴えています。
Shadows Are Security(2005)
- Meaning In Tragedy
- Confined
- Losing Sight
- The Darkest Nights
- Empty Hearts
- Reflection
- Repeating Yesterday
- Through Struggle
- The Truth Of My Perception
- Control Is Dead
- Morning Waits
- Illusions
破壊的な美学と力強さ―『Shadows Are Security』が示すメタルコアの新時代
破壊的な美学と力強さを融合させ、ジャンルの進化を象徴する3rdアルバムは、ビルボードチャートで35位を記録。アルバムは、激しいギターリフと爆発的なドラム、疾走感あふれる楽曲で構成されており、特に「Confined」や「The Darkest Nights」などのトラックは、AS I LAY DYINGならではの力強いアグレッションとメロディアスな要素が絶妙に交じり合っています。単なるメタルコアアルバムにとどまらず、その後のメタルコアシーンに多大な影響を与えました。音楽的には、鋭いメタリックなサウンドとメロディアスなリフが融合し、激しさと美しさが同時に感じられる楽曲が揃っています。また、アルバム全体を通して、バンドが持つ精神的な強さと復活のテーマが強く打ち出されています。バンドはリリース後、OZZFESTで2ndステージのヘッドライナーを務め、話題となりました。AS I LAY DYINGがメタルコアの新時代を切り開く決定的な作品で、その後のバンドのキャリアにおける重要な一歩となったアルバムです。
Frail Words Collapse(2003)
- 94 Hours
- Falling Upon Deaf Ears
- Forever
- Collision
- Distance Is Darkness
- Behind Me Lies Another Fallen Soldier
- Undefined
- A Thousand Steps
- The Begining
- Song 10
- The Pain Of Separation
- Elegy
メタルコアの未来を切り開く―『Frail Words Collapse』が描く破壊と再生の物語
METAL BLADE RECORDSと契約し、ティム・ランベシス<Vo>がプロデュースしたメタルコアというジャンルに革新をもたらした画期的な2ndアルバム。このアルバムは、バンドが持つ強力なエネルギーと感情の深さを結びつけ、メタルコアの未来を切り開く原点となった一枚です。アルバムの楽曲は、激しいギターリフと高速で疾走するドラムで構成され、激烈なアグレッションとメロディアスな要素が見事に調和しています。特に「94 Hours」や「The Beginning」では、AS I LAY DYINGの特徴的なエネルギーが全開で表現されており、聴く者を圧倒します。アルバムを通して、破壊的なサウンドと心に残るメロディが織り交ぜられ、リスナーに強い印象を与えます。このアルバムは、AS I LAY DYINGがメタルコアシーンにおいて確立した地位を証明し、その後のバンドの音楽的進化に大きな影響を与えることとなりました。
Beneath The Encasing Of Ashed(2001)
- Beneath The Encasing Of Ashes
- Torn Within
- Forced To Die
- A Breath In The Eyes Of Eternity
- Blood Turned To Tears
- The VOices That Betray Me
- When This World Fades
- A Long March
- Surrounded
- Refined By Your Embrace
- The Innocence Spilled
- Behind Me Lies Another Fallen Soldier
試練と破壊の始まり―AS I LAY DYINGのデビュー作が描く力強い初期の軌跡
AMERICAN TRAGEDYとのスプリット盤と同時リリースとなった、メタルコアの初期の基盤を築いた作品であり、バンドの音楽的方向性と力強さを示す重要なデビューアルバム。過激なギターリフと疾走感あふれるドラムに支えられた激しいサウンドが特徴で、初期のAS I LAY DYINGがメタルコアシーンに与えた影響を色濃く反映しています。「Forever」や「A Breath In The Eyes Of Eternity」など、アルバムの楽曲は、強烈なアグレッションとメロディアスな要素を巧みに融合させています。このアルバムは、バンドの進化と音楽的な成長を予感させる内容となっており、後のアルバムへと繋がる基盤を作り上げました。AS I LAY DYINGのメタルコアに対するアプローチがしっかりと表現された作品であり、バンドの名声の礎となったアルバムです。激しさと情熱が交錯するこの一枚は、今なお多くのメタルコアファンに愛され続けています。
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