BLUE MURDER(ブルー・マーダー)とは?結成から解散までの軌跡
BLUE MURDER(ブルー・マーダー)は、1987年、WHITESNAKEを脱退したジョン・サイクス(John Sykes)<Vo,Gt>を中心に結成された、ハードロック黄金期の中で誕生した幻のスーパーグループです。
当初のラインナップには、RAINBOWやWHITESNAKEでも活躍したコージー・パウエル(Cozy Powell)<Dr>、さらにOZZY OSBOURNE BANDで知られるフィル・スーザン(Phil Soussan)<Ba>が参加。名実ともに“ドリームチーム”とも言える布陣でスタートしました。
しかし、音楽性の違いやスケジュールの問題により、フィル・スーザンは早期に脱退。代わって加入したのが、フレットレスベースの名手、元THE FARMのトニー・フランクリン(Tony Franklin)<Ba>が加入。当初はフロントマンにトニー・マーティン(Tony Martin)<Vo>が加わりますがBLACK SABBATH加入のために脱退、元BADLANDSのレイ・ギラン(Ray Gillan)<Vo>が加入するもマネージメントの意向で解雇。メンバーが入れ替わる状況に今度はコージー・パウエルが脱退。後任にカーマイン・アピス(Carmine Appice)が加入し、ヴォーカルをジョン・サイクスが兼任することで、バンドは本格的にスタートします。
1989年、セルフタイトルのデビュー・アルバム『Blue Murder』をリリース。
ジョン・サイクスの情熱的なギタープレイと、厚みのあるアンサンブルが融合したこの作品は、評論家やマニアの間で高く評価されました。代表曲「Valley of the Kings」や「Jelly Roll」は、メロディアスかつヘヴィなサウンドで、多くのハードロックファンの心を掴みました。しかし、商業的な成功には恵まれませんでした。バンドは高評価を受けながらも、知名度の面ではやや“埋もれた名盤”のような存在となってしまいます。
次作に向けてレコーディングをしていましたが、アルバムが完成する気配がないことで、カーマイン・アピスとトニー・フランクリンが脱退。新たにメンバーが加入し、1993年、2ndアルバム『Nothin’ But Trouble』をリリースします。
しかし、日本ではオリコンチャートの6位に入りますが、その他の地域でのリアクションは乏しく、日本とイギリスでの短いライヴツアーをもってバンドは解散しました。
解散後、ジョン・サイクスはSYKES名義でソロ活動を行い、アルバムのリリースやツアーを展開し、1996年にはTHIN LIZZYを再結成し、ツアーを行いましたが2009年に脱退しました。
ファンの間ではBLUE MURDERの再結成を望む声も根強くありましたが、2025年に自身のSNSで2024年12月に死去していたことが発表されたことで、実現不可能となりました。
短命ながらも、圧倒的な技術と独自の音楽性でハードロック史に爪痕を残したBLUE MURDER。派手なセールスや長期的な活動はなかったものの、名盤『Blue Murder』は今なお多くのファンに愛され続けています。その音楽は、時代を超えて今も輝きを放ち、再評価の波とともに“幻”から“伝説”へと昇華しつつあるのです。
BLUE MURDERのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ
【最終メンバー】
■ジョン・サイクス(John Sykes) – Vocal/Guitar(1987~1994)
■マルコ・メンドーサ(Marco Mendoza) – Bass/Vocal(1991~1994)
■トミー・オースティン(Tommy O’Steen) – Drums/Vocal(1992~1994)
■ニック・グリーン(Nik Green) – Keyboard(1991~1994)
【過去メンバー】
■コージー・パウエル(Cozy Powell) – Drums(1987~1988)
■トニー・フランクリン(Tony Franklin) – Bass/Vocal(1987~1991)
■レイ・ギラン(Ray Gillan) – Vocal(1987)
■カーマイン・アピス(Carmine Appice) – Drums/Vocal(1988~1990、1992)
■トニー・マーティン(Tony Martin) – Vocal(1988)
■アンダース・ヨハンソン(Anders Johansson) – Drums(1991)
■ケリー・キーリング(Kelly Keeling) – Vocal/Guitar(1991~1993)
アルバム紹介:BLUE MURDERは“幻”から“伝説”へ
Nothin’ But Trouble(1993)
- We All Fall Down
- Itchycoo Park
- Cry For Love
- Runaway
- Dance
- I’m On Fire
- Save My Love
- Love Child
- Shouldn’t Have Let You Go
- I Need An Angel
- She Knows
ジョン・サイクスのギターが再び咆哮する!『Nothin’ But Trouble』に刻まれた真のハードロック魂
BLUE MURDERが1993年に発売した2ndアルバム『Nothin’ But Trouble』は、ジョン・サイクスの圧倒的ギタープレイとメロディセンスが冴え渡る、知る人ぞ知るハードロックの隠れた名盤です。前作に比べ商業的なインパクトは薄れたものの、楽曲の完成度と演奏の緻密さはむしろ進化。重厚なサウンドに繊細な叙情を織り交ぜたスタイルは、90年代初頭の音楽シーンにおいて異彩を放ちます。「We All Fall Down」「Runaway」など、心に響く名曲が多数収録されており、BLUE MURDERの真価が再評価される一枚です。ジョン・サイクスの魂が刻まれた本作は、ハードロックファンなら一度は聴くべき作品といえるでしょう。
Blue Murder(1989)
- Riot
- Sex Child
- Valley Of The Kings
- Jelly Roll
- Blue Murder
- Out Of Love
- Billy
- Ptolemy
- Black-hearted Woman
“幻のスーパーグループ”が遺した一撃――『Blue Murder』が刻んだ伝説のはじまり
1989年にリリースされたBLUE MURDERのデビューアルバム『Blue Murder』は、ジョン・サイクスを中心に結成された“幻のスーパーグループ”が放った渾身の一撃です。WHITESNAKE脱退後、サイクスがヴォーカルとギターを兼任し、カーマイン・アピス(Carmine Appice)<Dr>、トニー・フランクリン(Tony Franklin)<Ba>と共に織りなす重厚かつ叙情的なサウンドは、80年代ハードロックの真髄を体現しています。「Valley of the Kings」「Jelly Roll」「Billy」など名曲が揃い、華麗なギターワークと卓越した演奏力が融合。商業的には大ヒットに至らなかったものの、その完成度と芸術性は今なお語り継がれています。ハードロックファン必聴の一枚です。
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