バンド紹介

ENSLAVED（エンスレイヴド） は、1991年にノルウェーで結成されたヴァイキング・メタル/プログレッシヴ・ブラック・メタル・バンドです。バンド名は、同郷のノルウェー出身のブラック・メタル・バンド、IMMORTALの曲「Enslaved In Rot」から取られました。

初はブラックメタルのスタイルを取り入れながらも、ヴァイキング神話や北欧の歴史をテーマにした独自のスタイルを確立し、「ヴァイキング・ブラック・メタル」の先駆けとなりました。

1993年には、同じくノルウェーのブラック・メタル・バンド、EMPERORとのスプリットアルバム『Hordanes Land』をリリースしました。この作品がきっかけとなり、1994年にはデビューアルバム『Vikingligr Veldi』を発表。

1997年には、3rdアルバム『Eld（エルド）』をリリースし、プログレッシヴな要素を取り入れ始めました。特に、10分を超える大作「793（Slaget om Lindisfarne）」は、後のバンドの方向性を示す重要な楽曲となりました。

2000年代に入ると、ENSLAVEDは従来のブラックメタルに加えて、プログレッシヴ・ロックやエクスペリメンタルな要素を積極的に取り入れるようになりました。

2001年の『Monumension』では、PINK FLOYDやKING CRIMSONといった1970年代のプログレッシヴ・ロックの影響が顕著になりました。2004年の『Isa（イサ）』では、バンドの代表作のひとつとも言える独自のサウンドを確立。この作品は、ノルウェーのグラミー賞とも言われるSpellemannprisen（スペルマン賞）を受賞し、高い評価を得ました。

続く2006年の『Ruun』では、さらにプログレッシヴな要素が強まりました。ブラックメタルの荒々しさと、よりメロディアスで実験的なアプローチが融合した作品となりました。このアルバムもスペルマン賞を受賞し、彼らの音楽性が深まっていくことが明確になりました。

2012年の『RIITIIR』は、長尺の楽曲とダイナミックなアレンジが特徴で、世界的に高い評価を受けました。さらに2015年の『In Times』や2017年の『E』では、アトモスフェリックな要素が強まり、バンドの表現力がさらに広がりました。

2020年には、『Utgard（ウトガルド）』をリリース。タイトルは北欧神話に登場する「ウトガルズ（巨人たちの世界）」を意味し、これまで以上に多彩な音楽性を展開しました。このアルバムでは、ポストロックやアンビエントの要素も取り入れ、より独自の進化を遂げた作品となっています。

次作の『Heimdal』（2023年）では、バンドの原点であるヴァイキング・メタルの要素を再び前面に押し出しつつ、現代的なプログレッシヴ・ブラック・メタルとしての成熟したサウンドを提示しました。現在も彼らは進化を続けており、北欧神話や哲学的なテーマを基に、新たな音楽の世界を切り開いています。

ENSLAVEDは、ブラック・メタルを基盤にしながらも、ヴァイキング・メタルやプログレッシヴ・メタルの要素を取り入れ、独自の進化を遂げてきたバンドです。現在も、彼らは音楽的探求を続けながら、ノルウェーのメタルシーンにおける最重要バンドのひとつとして活動を続けています。