バンド紹介
ENTOMBED A.D.(エントゥームド A.D.)は、スウェーデンの伝説的デス・メタル・バンドENTOMBEDの元メンバーであるL-G・ペトロフ(L-G Petrov)<Vo>を中心に、2014年に結成されました。このバンドは、ENTOMBEDのバンド名を巡る法的な争いの結果、ペトロフが新たなバンドとして活動するために立ち上げたプロジェクトです。
ENTOMBED A.D.のデビューアルバム『Back to the Front』は2014年8月にリリースされました。このアルバムは、元々ENTOMBED名義で制作されていましたが、バンド名の権利争いの影響でリリースが遅れ、ENTOMBED A.D.として発売されることになりました。
本作は、ENTOMBEDの伝統を受け継ぎつつも、よりストレートなデス・メタルのアプローチを取り、『Wolverine Blues』時代のデスンロールの要素も取り入れたサウンドになっています。楽曲はヘヴィでありながらもグルーヴ感が強く、往年のファンから高評価を得ました。
2016年にリリースされた2ndアルバム『Dead Dawn』では、前作よりもさらにダークでヘヴィな音楽性を追求。より鋭利で攻撃的なリフが特徴的で、特に初期ENTOMBEDの『Clandestine』を彷彿とさせるようなアグレッシブなデス・メタルの要素が強調されています。このアルバムでは、バンドのデスンロール的な側面と、クラシックなデス・メタルの要素がバランスよくミックスされ、ファンからも好評を得ました。
2019年にリリースされた3rdアルバム『Bowels of Earth』は、ENTOMBED A.D.としての集大成とも言える作品です。本作では、これまで以上にデス・メタルの原点に回帰し、圧倒的なスピードと攻撃的なリフ、ペトロフの獰猛なボーカルが融合したアルバムとなりました。特にタイトル曲「Bowels of Earth」や「Elimination」は、かつてのスウェディッシュ・デス・メタルのスピリットを継承しつつ、現代的なブラストビートやヘヴィなグルーヴを巧みに取り入れた楽曲になっています。
2020年、L-G・ペトロフは胆管癌(bile duct cancer)と診断され、闘病生活を送っていました。しかし、病気の進行は早く、2021年3月7日に惜しくもこの世を去りました。享年49歳でした。
彼の死により、ENTOMBED A.D.の活動は事実上終了。バンドは新しいフロントマンを迎えることなく、L-G・ペトロフとともにその歴史を閉じることになりました。彼の死後、スウェーデンのメタル界や世界中のデス・メタル・シーンから多くの追悼メッセージが寄せられ、彼の音楽がどれほど多くの人々に影響を与えたかが改めて認識されました。
ENTOMBED A.D.は、オリジナルのENTOMBEDの精神を受け継ぎつつ、L-G・ペトロフならではのデス・メタルの精神を体現したバンドでした。スウェディッシュ・デス・メタルの伝統と、デスンロールの荒々しいグルーヴを融合させ、現代のデス・メタル・シーンにも大きな影響を与えました。
彼らの音楽は、単なるリフの嵐ではなく、ヘヴィネスとキャッチーさを両立させたサウンドで、多くのバンドに影響を与えました。特に、ENTOMBED A.D.が確立したスタイルは、若手のスウェディッシュ・デス・メタル・バンドにも受け継がれています。
彼らの音楽は、今もスウェディッシュ・デス・メタルの歴史の中で重要な存在として語り継がれています。L-G・ペトロフの遺した作品は、これからもメタルファンの間で聴かれ続けることでしょう。
アルバムレビュー(最新アルバム順)
Bowels Of Earth(2019)
- Torment Remains
- Elimination
- Hell Is My Home
- Bowels Of Earth
- Bourbon Nightmare
- Fit For A King
- Words Apart
- Through The Eyes Of The Gods
- I’ll Never Get Out Of This World Alive(HANK WILLIAMS cover)
- To Eternal Night
- Back At The Funny Farm(MOTORHEAD cover)
Dead Dawn(2016)
- Midas In Reverse
- Dead Dawn
- Down To Mars To Ride
- As The World Fell
- Total Death
- The Winner Has Lost
- Silent Assassin
- Hubris Fall
- Black Survival
- Not What It Seems
Back To The Front(2014)
- Kill To Live
- Bedlam Attack
- Pandemic Rage
- Second To None
- Bait And Bleed
- Waiting For Death
- Eternal Woe
- Digitus Medius
- Vulture And The Traitor
- The Underminer
- Soldier Of No Future
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