EVILEとは?|イギリス発スラッシュ・メタルの希望
EVILE(イーヴァイル)は、2004年にイギリス・ウェストヨークシャー州ハダースフィールドで結成されたスラッシュ・メタル・バンドで、クラシックなスラッシュ・メタルの精神を受け継ぎながら、現代的なエネルギーを注ぎ込んだサウンドで、多くのメタルファンに支持されています。
初期の活動では、METALLICA、SLAYER、EXODUSといった伝説的スラッシュバンドの影響を受けつつ、自らのオリジナリティを確立していきます。
2007年、デビュー・アルバム『Enter the Grave』をリリースすると、その激烈なスラッシュ・サウンドが高く評価され、瞬く間に注目を集めました。続く2009年には、よりテクニカルで重厚な『Infected Nations』を発表し、バンドとしての成長を印象づけます。
しかし、2009年にはマイク・アレクサンダー(Mike Alexander)<Ba>が急逝するという悲劇に見舞われます。この困難を乗り越え、ジョエル・グラハム(Joel Graham)<Ba>が加入し、2011年の『Five Serpent’s Teeth』、2013年の『Skull』といった作品で、さらに成熟したサウンドを披露しました。
その後、中心メンバーだったオル・ドレイク(Ol Drake)<Gt,Vo>の脱退などもあり、バンドはしばらく活動休止状態となりますが、2021年、オル・ドレイクがボーカルも兼任する形で復帰。8年ぶりとなるアルバム『Hell Unleashed』をリリースし、シーンへの劇的なカムバックを果たしました。さらに2023年には、意欲作『The Unknown』を発表し、スラッシュ・メタルの新たな可能性を示しています。
EVILEは、80年代のスラッシュ・メタル黄金時代を敬愛しつつも、現代的なアプローチで進化を続ける稀有なバンドです。
これからも彼らの動向から目が離せません。
アルバム紹介|イギリス発スラッシュ・メタルの希望
The Unknown(2023)
- The Unknown
- The Mask We Wear
- Monolith
- When Mortal Coils Shed
- Sleepless Eyes
- Out Of Sight
- At Mirror’s Speech
- Reap What You Sow
- Beginning Of The End
- Balance Of Time
EVILE、疾走だけがスラッシュじゃないことを証明──鈍重リフで刻む新次元のヘヴィ
『The Unknown』は、彼らの新たな進化を鮮烈に刻みつけた一枚です。これまでの疾走感あふれるスラッシュスタイルに加え、より重厚でミドルテンポ主体のグルーヴがアルバム全体を支配しています。特にタイトル曲「The Unknown」は、暗黒美あふれる旋律と骨太なリフが見事に融合し、これまでのEVILE像を更新。従来ファンはもちろん、ヘヴィロックやモダンスラッシュ好きにも訴求力の高い仕上がりとなっています。ボーカルとギターを兼任するオル・ドレイクの存在感も圧倒的で、彼のダークで力強い歌唱が作品に新たな深みを与えました。過去作『Hell Unleashed』と比べても、表現の幅が大きく広がったことが明確に感じ取れます。EVILEは今、新たな伝説の扉を開こうとしています。
Hell Unleashed(2021)
- Paralysed
- Gore
- Incarcerated
- War Of Attrition
- Disorder
- The Thing(1982)
- Zombie Apocalypse(MORTICIAN cover)
- Control From Above
- Hell Unleashed
8年の沈黙を破り、EVILEが解き放つ地獄の嵐『Hell Unleashed』!
8年ぶりの5thアルバムは、バンド史上最も攻撃的な一枚となりました。オル・ドレイクがギターとボーカルを兼任し、新たな体制で挑んだ本作は、暴走する激情と暴力的なリフが怒涛のように押し寄せます。オープニングから畳み掛けるスピード感と、殺意すら感じるリフワークは、まさにスラッシュ・メタル本来の凶暴性を現代に蘇らせたかのよう。楽曲「Gore」「Hell Unleashed」などは、徹底的にヘヴィでスリリングな仕上がりとなっています。また、プロダクションも研ぎ澄まされており、各楽器のアタック感が生々しく伝わるサウンドメイキングも特筆すべきポイントです。沈黙を破り、EVILEはより凶暴に、そして確固たる意志とともに帰ってきました。
Skull(2013)
- Underworld
- Skull
- The Naked Sun
- Head Of The Demon
- Tomb
- Words Of The Dead
- Outsider
- What You Become
- New Truths, Old Lies
死と再生のメタファーを背負い、EVILEが打ち鳴らす『Skull』の衝撃!
彼らの深化と挑戦を示す重要作です。これまでの激走型スラッシュから一歩踏み込み、ミドルテンポを活かした重厚なリフとドラマティックな構成が目を引きます。アルバム全体を通して、哀愁を帯びたメロディと凶暴なアグレッションが絶妙に同居しており、スラッシュ・メタルの未来を模索するかのような意欲を感じさせます。特にタイトル曲「Skull」は、重く引きずるリフとエモーショナルな展開で、バンドの成熟を強く印象づける楽曲です。一方で、急激な変化に賛否が分かれたことも事実ですが、そこにこそEVILEの挑戦精神と覚悟が宿っています。『Skull』は、単なるスラッシュ復興の枠を超え、ジャンルの可能性を広げようとする渾身の問題作と言えるでしょう。
Five Serpent’s Teeth(2011)
- Five Serpent’s Teeth
- In Dreams Of Terror
- Cult
- Eternal Empire
- Xaraya
- Origin Of Oblivion
- Centurion
- In Memoriam
- Descent Into Madness
- Long Live New Flesh
失われた仲間に捧ぐ――悲痛と希望が交錯する『Five Serpent’s Teeth』!
前作リリース後、ベーシストのマイク・アレクサンダーが急逝するという悲劇に直面した彼らが、哀悼と再生のメッセージを力強く刻んだ、バンドにとって大きな試練を乗り越えた作品です。タイトル曲「Five Serpent’s Teeth」では、怒りと悲しみが渦巻くリフが炸裂し、EVILEらしいスラッシュ・サウンドにさらに深みが加わっています。また、「In Memoriam」では、マイクへの追悼の意を込めた叙情的なバラードを披露し、バンドの新たな一面を見せました。全体を通して、アグレッションとエモーションが絶妙に同居し、彼らの覚悟と進化を強く感じさせる仕上がりです。『Five Serpent’s Teeth』は、単なるスラッシュ・アルバムにとどまらず、EVILEの決意と未来への希望を刻んだ傑作と言えるでしょう。
Infected Nations(2009)
- Infected Nations
- Now Demolition
- Nosophoros
- Genocide
- Plague To End All Plagues
- Devoid Of THought
- Time No More
- Metamorphosis
- Hundred Wrathful Deities
スラッシュの野心、爆発――EVILEが描いた破滅の未来『Infected Nations』!
デビュー作から大きな進化を遂げた意欲作です。荒々しい勢いに頼るのではなく、緻密な構成力と重厚なグルーヴを武器に、よりテクニカルでダークなスラッシュへと踏み出しました。タイトル曲「Infected Nation」や「Now Demolition」では、ヘヴィなリフと変則的な展開が緊張感を高め、激情と理性のせめぎ合いを見事に表現しています。マット・ドレイクのヴォーカルも、より低音域を強調した力強いスタイルへと進化しました。プロダクションも一段と磨かれ、サウンド全体に鋭さと重みが加わり、リスナーを圧倒します。『Infected Nations』は、EVILEが単なるスラッシュ・リバイバルに留まらない存在であることを証明した、重要なターニングポイントとなった一枚です。
Enter The Grave(2007)
- Enter The Grave
- Thrasher
- First Blood
- Man Against Machine
- Burned Alive
- Killer From The Deep
- We Who Are About To Die
- Schizophrenia
- Bathe In Blood
- Armoured Assault
原点にして頂点!EVILEが刻んだスラッシュ復興の狼煙『Enter the Grave』!
『Enter the Grave』は、スラッシュ復興の象徴とも言える一枚です。METALLICAやSLAYER直系の影響を色濃く感じさせながらも、若さと勢いに満ちた純血スラッシュを現代に蘇らせました。アルバム全編にわたり、暴走するリフと怒涛のドラムが疾走感を極限まで高め、スラッシュ本来の攻撃性と衝動をダイレクトに体現しています。「Thrasher」「Enter the Grave」などの楽曲は、荒削りながらも鮮烈なエネルギーに満ち、聴く者の血をたぎらせる力を持っています。プロダクションもクリアかつパワフルで、リフの鋭さを最大限に引き出しています。『Enter the Grave』は、単なる懐古ではなく、スラッシュ・メタルへの情熱を新たな世代に示した衝撃のデビュー作です。
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