- EXODUSとは?ベイエリア・スラッシュの原点を担った存在
- 時代を超えて進化するEXODUSのディスコグラフィー
- Persona Non Grata(2021)
- Blood In, Blood Out(2014)
- Exihibit B: The Human Condition(2010)
- Let There Be Blood(2008)
- The Atrocity Exhibition: Exhibit A(2007)
- Shovel Headed Kill Machine(2005)
- Tempo Of The Damned(2004)
- Force Of Habit(1992)
- Impact Is Imminent(1990)
- Fabulous Disaster(1989)
- Pleasures Of The Flesh(1987)
- Bonded By Blood(1985)
EXODUSとは?ベイエリア・スラッシュの原点を担った存在
EXODUS(エクソダス)は、1980年にアメリカ・カリフォルニア州リッチモンドで結成されたスラッシュ・メタル・バンドです。METALLICA、SLAYERと並び、“スラッシュメタル四天王”に匹敵する存在感を持ちながらも、より過激でアンダーグラウンド志向の姿勢を貫き、熱狂的な支持を集めてきました。、TESTAMENT、FORBIDDENに代表されるサンフランシスコ産スラッシュメタル『ベイエリア・スラッシュ』を代表するバンドの1つで、後にMETALLICAに加入するカーク・ハメット(Kirk Hammett)<Gt>とトム・ハンティング(Tom Hunting)<Dr>が中心となってバンドを結成しましたが、1981年に加入したゲイリー・ホルト(Gary Holt)<Gt>が核となり現在まで活動を続けています。
EXODUSがシーンに与えた最大のインパクトは、1985年リリースのデビューアルバム『Bonded By Blood』です。この作品は、荒々しいギターリフ、疾走感あふれるビート、そして暴力的かつユーモラスなリリックで、当時のメタルファンに強烈な衝撃を与えました。多くの批評家が「スラッシュメタルの最重要作品のひとつ」と位置付けており、今なおジャンルを代表する名盤として評価されています。
EXODUSは活動初期からメンバー交代を繰り返してきましたが、中心人物であるゲイリー・ホルト(Gary Holt)<Gt>は一貫してバンドの核を担い続けています。彼の卓越したギターテクニックとソングライティング能力は、EXODUSサウンドの象徴ともいえる存在です。
一時活動を休止していた時期もありましたが、2000年代以降は再び精力的なリリースとツアーを展開し、現代スラッシュメタルの象徴として地位を確立しています。2021年には待望の新作『Persona Non Grata』をリリース。オールドスクールな攻撃性と現代的なプロダクションを融合した傑作として、ファン・メディア双方から高い評価を獲得しました。
また、ゲイリー・ホルト(Gary Holt)<Gt>は2013年以降、故ジェフ・ハンネマン亡き後のSLAYERのサポートメンバーとしても活動し、スラッシュメタル界全体における影響力をさらに広げました。
彼らの魅力は、妥協なき攻撃性と独自のユーモア感覚、そして徹底したスラッシュへのこだわりにあります。他のメジャーバンドとは一線を画すアンダーグラウンド志向とDIY精神は、コアなメタルファンから絶大な支持を得ています。
EXODUSは、スラッシュメタルの誕生と発展に深く関与した伝説的バンドでありながら、現在も進化を止めない現役の鋼鉄集団です。彼らの歩みを知ることで、スラッシュメタルというジャンルの魅力と深みをより理解できるでしょう。
バンドメンバー
【現メンバー】
スティーヴ“ゼトロ”スーザ(Steve “Zetro” Souza) – Vocal(1986~1992、2002~2004、2014~)
ゲイリー・ホルト(Gary Holt) – Guitar(1981~1992、1997~)
リー・アルタス(Lee Altus) – Guitar(2005~)
ジャック・ギブソン(Jack Gibson) – Bass(1997~)
トム・ハンティング(Tom Hunting) – Drums(1979~1989、1997~2005、2007~)
ブランドン・エリス(Brandon Elis) – Guitar(1997~) ※フルタイムで参加できないメンバーの代役
【過去メンバー】
カールトン・メルソン(Carlton Melson) – Bass(1979~1981)
ティム・アグネロ(Tim Agnello) – Guitar(1979~1981)
キース・スチュワート(Keith Stewart) – Vocal(1979~1980)
ジェフ・アンドリューズ(Jeffrey “Jeff” Andrews) – Bass(1981~1983)
カーク・ハメット(Kirk Hammett) – Guitar(1979~1983)
ポール・バーロフ(Paul Baloff) – Vocal(1982~1986、1997~1998、2001~2002)
マイク・マウン(Mike Maung) – Guitar(1983)
ロブ・マッキロップ(Robert ” Rob” McKillop) – Bass(1983~1991)
リック・ヒューノルト(Rick Huolt) – Guitar(1983~1994、1997~1998、2001~2005)
ジョン・テンペスタ(John Tempesta) – Drums(1989~1994)
マイク・バトラー(Michael Butler) – Bass(1991~1994)
ポール・ボスタフ(Paul Bostaph) – Drums(2005~2007)
ロブ・デュークス(Rob Dukes) – Vocal(2005~2014)
クラゲン・ラム(Kragen Lum) – Guitar(2013、2015~2019) ※フルタイムで参加できないメンバーの代役
時代を超えて進化するEXODUSのディスコグラフィー
Persona Non Grata(2021)
- Persona Non Grata
- R.E.M.F.
- Slipping Into Madness
- Elitist
- Prescribing Horror
- The Beatings Will Continue(Until Morale Improves)
- The Years Of Death And Dying
- Clickbait
- Cosa Del Pantano
- Lunatic-Liar-Lord
- The Fires Of Division
- Antiseed
スラッシュメタルに終わりはない。“Persona Non Grata”が証明した真実!
2021年発売の『Persona Non Grata』は、スラッシュメタルの原点を貫きながらも、現代の混沌を映し出す音の凶器です。ゲイリー・ホルト(Gary Holt)<Gt>の超絶リフとスティーヴ“ゼトロ”スーザ(Steve “Zetro” Souza)<Vo>の咆哮が交錯し、冒頭から終幕まで一切の妥協を許さない暴走を展開。政治的・社会的な怒りを叩きつける歌詞も健在で、まさに“歓迎されざる存在”としての反骨精神が全編に宿ります。オールドスクールと現代の融合が生むサウンドは、スラッシュメタルの進化を体現しており、ベテランならではの説得力を放っています。
Blood In, Blood Out(2014)
- Black13
- Blood In, Blood Out
- Collateral Damage
- Salt The Wound
- Body Harvest
- BTK
- Wrapped In The Arms Of Rage
- My Last Nerve
- Numb
- Honor Killings
- Food For The Worms
血で始まり、血で終わる―EXODUSが誓うスラッシュの血統!
スティーヴ“ゼトロ”スーザ(Steve “Zetro” Souza)<Vo>の電撃復帰とともに放たれた、バンドの原点回帰を示す決意の一枚です。80年代スラッシュの凶暴性と現代的なプロダクションが融合し、ギターリフはかつてないほど攻撃的。全編に漂う熱量は、まさに“血で入り、血で出る”というタイトルにふさわしい覚悟を感じさせます。METALLICAのカーク・ハメットが参加したソロも話題となり、古参・新規問わずファンの心を鷲掴みにしました。EXODUSがなぜ“本物”なのかを証明したこの作品は、現代スラッシュの金字塔として必聴です。
Exihibit B: The Human Condition(2010)
- The Ballad Of Leonard And Charles
- Beyond The Pale
- Hammer And Life
- Class Dismissed(A Hate Primer)
- Downfall
- March Of The Sycophants
- Nanking
- Burn, Hollywood, Burn
- Democide
- The Sun Is Destroyer
- A Perpetual State Of Indifference
- Good Riddance
破壊と理性が共存する、EXODUS史上最も陰鬱な問題作!
9thアルバム『Exhibit B: The Human Condition』は、単なるスラッシュメタル作品ではありません。戦争、殺人、社会の腐敗といった“人間の本質”を暴き出す、痛烈な社会批評の塊です。クランチの効いたリフとロブ・デュークス(Rob Dukes)<Vo>の咆哮が交錯し、重厚かつ攻撃的な楽曲群が展開。単に速く激しいだけでなく、楽曲構成にも緻密さがあり、EXODUSの成熟を感じさせます。“Class Dismissed (A Hate Primer)”や“The Ballad of Leonard and Charles”といった楽曲は、現実の凄惨さを鋭く描き、聴く者に強烈な印象を残します。『Exhibit B』は、暴力を超えた“現実”そのものを音にした問題作です。
Let There Be Blood(2008)
- Bonded By Blood
- Exodus
- And The There Were None
- A Lesson In Violence
- Metal Command
- Piranha
- No Love
- Deliver Us To Evil
- Strike Of The Beast
- Hell’s Breath
鋼鉄のリマスターではない、これは“再誕”だ―新たなEXODUSの宣言!
2008年に発表した『Let There Be Blood』は、1985年の金字塔『Bonded By Blood』を現代の技術で再録したセルフ・リメイク作品です。攻撃的なギターリフはそのままに、音質はより重厚で迫力あるものへと進化。ロブ・デュークス(Rob Dukes)<Vo>の咆哮が加わったことで、原曲に新たな狂気と破壊力が吹き込まれています。単なる懐古主義ではなく、“スラッシュメタルは今も生きている”という強烈なメッセージが込められた本作は、原点の尊さと現在の力強さを融合させた一枚。EXODUSの不変の魂と進化する攻撃性が凝縮された、まさに“伝説の再臨”です。
The Atrocity Exhibition: Exhibit A(2007)
- Call To Arms
- Riot Act
- Funeral Hymn
- Children Of A Worthless God
- As It Was, As It Soon Shall Be
- The Atrocity Exhibition
- Iconoclasm
- The Garden Of Bleeding
- Bedlam 1-2-3 / Bonded By Banjo
混沌と理性のはざまで叫ぶ―“Exhibit A”が告発する現代の地獄!
8thアルバム『The Atrocity Exhibition: Exhibit A』は、スラッシュメタルの暴力性と知性を極限まで突き詰めた問題作です。2007年のリリース当時、鋭利なギターリフと複雑な楽曲構成、そして社会の腐敗や人間の愚かさを告発するリリックが高く評価されました。特に10分を超える「The Atrocity Exhibition」は、重厚かつ緻密な展開でバンドの新たな境地を示し、聴く者に現代社会の暗部を突きつけます。混沌と理性が拮抗するこの一枚は、EXODUSが単なるスラッシュバンドではないことを証明する強烈なメッセージです。
Shovel Headed Kill Machine(2005)
- Raze
- Deathamphetamine
- Karma’s Messenger
- Shudder To Think
- I Am Abomination
- Altered Boy
- Going Going Gone
- Now Thy Death Day Come
- .44 Magnum Opus
- Shovel Headed Kill Machine
新たなる殺戮装置が駆動する―“Shovel Headed Kill Machine”の凶暴な進化!
ロブ・デュークス(Rob Dukes)<Vo>を新たに迎えた2005年発表の意欲作。バンド史における転換点とも言える本作では、従来のスラッシュメタルに加えて、より重厚で現代的なグルーヴ感が注入されています。凶悪なリフとテクニカルな楽曲構成が炸裂し、まさに“殺戮機械”の名にふさわしい破壊力を誇ります。リズム隊の刷新も相まって、EXODUSはかつてないほど獰猛に、そして洗練された姿で甦りました。『Shovel Headed Kill Machine』は、EXODUSの進化と攻撃性を鮮烈に刻み込んだ傑作であり、新時代のスラッシュを切り拓く決定的作品です。
Tempo Of The Damned(2004)
- Scar Spangled Banner
- War Is My Shepherd
- Blacklist
- Shroud Of Urine
- Forward March
- Culling The Derd
- Sealed With A Fist
- Throwning Down
- Impaler
- Tempo Of The Damned
地獄のテンポで蘇るスラッシュの魂―“Tempo of the Damned”が鳴らす復活の鐘!
11年ぶりの復活作『Tempo of the Damned』は、スラッシュメタルの“正統進化”を示した傑作です。スティーヴ“ゼトロ”スーザ(Steve “Zetro” Souza)<Vo>の復帰により、往年の熱量と咆哮が甦り、切れ味鋭いリフと共に全編を駆け抜けます。特に「War Is My Shepherd」や「Blacklist」では、攻撃性と重厚感が絶妙に融合し、現代的な鋭さも備えたサウンドが炸裂。時代の流れを取り込みながらも、EXODUSらしさを一切損なわないその姿勢は、スラッシュメタルの再定義とも言える内容です。
Force Of Habit(1992)
- Thorn In My Side
- Me, Myself & I
- Force Of Habit
- Bitch(The Rolling Stones cover)
- Fuel For The FIre
- One Foot In The Grave
- Count Your Blessings
- Climb Before The Fall
- Architect Of Pain
- When It Rains It Pours
- Good Day To Die
- Pump It Up(Elvis Costello cover)
- Feeding Time At The Zoo
スピードより重さで殴る―“Force of Habit”が示したもう一つのEXODUS!
『Force of Habit』は、従来のスラッシュメタルとは一線を画す異色作です。高速リフと怒涛のスピードを抑え、よりヘヴィでグルーヴ主体のアプローチへとシフトしたこの作品は、バンドの幅広い表現力を示す挑戦的な一枚といえるでしょう。ミドルテンポで押し寄せるリフの重圧は、鋭さよりも圧力で聴き手をねじ伏せるスタイルへと変貌。タイトル通り、“習慣(Habit)”としての破壊衝動を、より内省的かつ理性的に再構築しています。ファンの間で賛否が分かれる本作ですが、EXODUSの進化と多様性を知るうえで欠かせない作品です。
Impact Is Imminent(1990)
- Intro / Impact Is Imminent
- A.W.O.L.
- The Lunatic Parade
- Within The Walls Of Chaos
- Objection Overruled
- Only Death Decides
- Heads They Win(Tails You Lose)
- Changing Of The Guard
- Thrash Under Pressure
速さと鋭さが極まる、スラッシュの臨界点“Impact Is Imminent”!
『Impact Is Imminent』は、スラッシュメタルの攻撃性とテクニカルさを極限まで突き詰めた意欲作です。前作から続く暴力的なエネルギーを保ちつつ、より複雑で緻密な構成を採用。ギターが絡み合い、炸裂するリフと変則的な展開が特徴です。特にタイトル曲「Impact Is Imminent」は、その名の通り破壊的なスピードで聴き手を圧倒します。派手なヒットには至らなかったものの、EXODUSの“真の姿”を体現した純粋なスラッシュ作品として、コアなファンから高い評価を受けています。過激さと技巧を両立した本作は、まさに90年代初頭のスラッシュの記録です。
Fabulous Disaster(1989)
- The Last Act Of Defiance
- Fabulous Disaster
- The Toxic Waltz
- Low Rider(War cover)
- Caujun Hell
- Like Father, Like Son
- Corruption
- Varbal Razors
- Open Season
- Overdose(AC/DC cover)
暴走と計算が共存する、EXODUS史上最も中毒性の高い一枚!
『Fabulous Disaster』は、EXODUSの音楽的成熟が結実したスラッシュメタルの名盤です。前作までの凶暴なエネルギーに加え、キャッチーな展開や印象的なコーラスが随所に光り、バンドの表現力が飛躍的に向上しています。特に代表曲「The Toxic Waltz」は、破壊的なモッシュとユーモアが融合したファン必聴の一曲。切れ味鋭いリフと咆哮が織りなすサウンドは、まさにスラッシュの理想郷を体現しています。攻撃性と聴きやすさが高次元で同居するこの作品は、EXODUSの代表作として今なお色褪せない魅力を放ち続けています。
Pleasures Of The Flesh(1987)
- Deranged
- ‘Til Death Do Us Part
- Parasite
- Brain Dead
- Faster Then You’ll Ever Live To Be
- Pleasures Of The Flesh
- 30 Seconds
- Seeds Of Hate
- Chemi-Kill
- Choose Your Weapon
原点の継承か、新章の幕開けか―“Pleasures of the Flesh”が問うEXODUSの選択!
2ndアルバム『Pleasures of the Flesh』は、スティーヴ“ゼトロ”スーザ(Steve “Zetro” Souza)<Vo>を新たに迎えた初の作品として注目されました。前作『Bonded By Blood』の暴力性を引き継ぎつつ、より構築的な楽曲展開と音の厚みを増した本作は、荒々しさと洗練が交差する過渡期の一枚です。タイトル曲や「Seeds of Hate」などでは、血と肉がぶつかり合うような凶暴なグルーヴが炸裂し、原始的な快楽と攻撃性を同時に体感できます。ゼトロの咆哮は初参加ながら堂々たる存在感を放ち、EXODUSの新章を力強く刻み込みました。スラッシュメタルの原初衝動を再確認できる、野性味あふれる傑作です。
Bonded By Blood(1985)
- Bonded By Blood
- Exodus
- And Then There Were None
- A Lesson In Violence
- Metal Command
- Piranha
- No Love
- Deliver Us To Evil
- Strike Of The Beast
全てはこの“血”から始まった―スラッシュメタル原典“Bonded By Blood”の衝撃!
1985年に放たれたスラッシュメタルの金字塔、デビュー作の『Bonded By Blood』は、ベイエリア・スラッシュの爆心地から登場しました。リリースの遅れがなければ、METALLICAと並ぶ歴史的評価を受けていたとも言われる一枚であり、スラッシュの基本形を作り上げた影響力は計り知れません。タイトル曲をはじめ、「A Lesson in Violence」などは今もライブで支持される名曲群。まさに全てのスラッシュファンにとっての出発点であり、“血で結ばれた”永遠の名盤です。
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