GARDENIAN(ガーデニアン)とは?IN FLAMESとの関係性
GARDENIAN(ガーデニアン)は、1996年にスウェーデンのヨーテボリで結成されたメロディック・デス・メタル・バンドです。IN FLAMES、DARK TRANQUILLITY、SOILWORKといったバンドと同様に、スウェディッシュ・メロデスのシーンに属しながらも、よりヘヴィでモダンな音作りを志向したことが特徴です。初期には、AT THE GATESやCARCASSからの影響を色濃く受けつつも、叙情性とアグレッションを兼ね備えたサウンドで注目を集めました。
GARDENIANは、ジム・シェル(Jim Kjell)<Vo,Gt>とTHE HALO EFFECT、ENGEL、元IN FLAMESのニコラス・エンゲリン(Niklas Engelin)<Gt>を中心に結成されました。結成当初からツインギターを軸にしたメロディ重視の楽曲構成を展開し、1996年にはデビューアルバム『Two Feet Stand』をリリースしました。この作品はインディーズながらもシーンで注目され、さらに、ニコラス・エンゲリンがIN FLAMESのツアーに参加することが発表され、GARDENIANの名がメロデス・ファンの間で広まりました。
1999年にリリースされた2ndアルバム『Soulburner』では、Nuclear Blastと契約し、プロダクションや演奏技術のクオリティが格段に向上しました。このアルバムには、元ARCHのエリック・ホーク、元ICE AGEのサブリナ・キルストランドがゲスト参加し、当時、スウェーデン産メロデスの聖地となっていたスタジオフレッドマンでレコーディングされ、よりモダンで洗練されたサウンドを展開し、叙情的なクリーンパートとアグレッシブなリフの対比が絶妙で、メロデスの新たな進化形とも言える作品となりました。
2000年には3rdアルバム『Sindustries』をリリース。この作品では、よりインダストリアルやグルーヴメタルの要素を取り入れ、従来のメロデスからの脱却を図っています。プロデュースはHYPOCRISYのピーター・テクレンが担当し、重厚な音像がバンドの新たな方向性を提示しました。しかし、同アルバムのリリース後、方向性の違いやレーベルとの関係悪化などの要因により、GARDENIANは2004年に解散しました。
2012年には、初期メンバーを含む形でGARDENIANの再結成が発表され、スウェーデンのメタルフェス「The Gothenburg Sound Festival」への出演などが話題を呼びましたが、その後は新作リリースなどの動きは確認されておらず、再び2016年に解散しました。
GARDENIANの音楽は、ヨーテボリ・サウンドに代表されるメロディック・デスメタルの王道を踏襲しつつ、よりモダンで重厚なアプローチを取り入れた点が魅力です。特に『Soulburner』は、クリーンボーカルの導入や完成度の高さから、今でも多くのメロデスファンに支持されています。現在では、「過小評価されたメロデスバンド」として再評価されており、再結成後のフルアルバムに期待する声も根強く存在します。
GARDENIANは、スウェーデンのメロディック・デスメタル・シーンにおいて、IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYと並ぶ存在として語られるべき実力派バンドです。活動期間は短いものの、残された作品はどれも質が高く、今なお色あせることのないサウンドを響かせています。メロデス入門者からコアファンまで、一度は聴いておきたい隠れた名バンドです。
バンドメンバー
【現メンバー】
ティム・ブロム(Thim Blom) – Drums(1996~2004、2012~2016)
ニコラス・エンゲリン(Niclas Engelin) – Guitar(1996~2004、2012~2016)
ジム・シェル(Jim Kjell) – Vocal / Guitar(1996~2003、2012~2016)
ホーカン・スコーガー(Hakan Skoger) – Bass(1997~1999、2012~2016)
【過去メンバー】
クリス・アルバートソン(Kriss Albertsson) – Bass(1999~2003)
ロバート・ハケモ(Robert Hakemo) – Bass(2003~2004)
アポロ・パパタナシオ(Apollo Papathanasio) – Vocal(2003~2004)
アルバム紹介 | GARDENIANの音楽性の変遷
Sindustries(2000)
- Selfproclaimed Messiah
- Doom & Gloom
- Long Snap To Zero
- Courageous
- Heartless
- The Suffering
- Scissorfight
- Sonic Death Monkey
- Sindustries
- Funeral
ヘヴィネスと知性の融合―『Sindustries』はモダンメロデスの予言書!
バンドのラストを飾るにふさわしい重厚かつ冷徹なサウンドでメロディック・デス・メタルの新境地を切り開いた作品です。HYPOCRISYのピーター・テクレンがプロデュースを手がけ、インダストリアルやグルーヴメタルの要素を巧みに融合。従来の叙情性を残しつつ、機械的な冷たさと圧倒的な音圧が全編を支配しています。特にツインギターのリフと分厚いリズム隊が生み出す重層的な構成は、当時のメロデスとは一線を画す先鋭性を放っています。バンドは本作を最後に活動を停止しましたが、『Sindustries』はGARDENIANという存在を鮮烈に刻みつけた“最後の咆哮”として、今なお再評価が進んでいます。スウェディッシュ・メロデスを語る上で見逃せない一枚です。
Soulburner(1999)
- As A True King
- Powertool
- Deserted
- Soulburner
- If Tomorrow’s Gone
- Small Electric Space
- Chaos In Flesh
- Ecstasy Of Life
- Tell The World I’m Sorry
- Loss
- Black Days
クリーンとグロウルが織りなす二重の美学―『Soulburner』の衝撃!
スウェーデン産メロディック・デス・メタルの中でも高い完成度を誇る作品です。叙情的なクリーンボーカルと凶暴なグロウルが交錯することで、サウンドに深みと広がりを与えています。元ARCHのエリック・ホーク、元ICE AGEのサブリナ・キルストランドがゲスト参加し迎えたことで、よりドラマチックで緻密な楽曲構成が実現され、GARDENIANの音楽性は大きく飛躍しました。IN FLAMESらのヨーテボリ・サウンドに通じつつも、独自のダークな質感が際立っており、1990年代後半のメロデス進化の象徴とも言える一枚です。Nuclear Blastからのリリースという点も信頼の証であり、今なお再評価が進む隠れた傑作として多くのファンに支持されています。
Two Feet Stand(1997)
- Two Feet Stand
- Flipside Of Reality
- The Downfall
- Awake Of Abuse
- Netherworld
- Do Me Now
- Murder …
- Freedom
- Mindless Domination
- The Silent Fall
未完成だからこそ響く―“Two Feet Stand”が描く若きガーデニアンの可能性!
デビュー・アルバム『Two Feet Stand』(1997年)は、スウェーデン・ヨーテボリ出身の彼らがシーンに放った第一声であり、メロディック・デス・メタルの原点として評価される一枚です。IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYの影響を色濃く感じさせつつも、荒削りながらも力強いリフと叙情的な旋律が融合した楽曲群は、バンドのポテンシャルを如実に物語っています。特にツインギターの繊細な絡みや、グロウルに宿る激情は後の進化を予感させる要素に満ちています。プロダクション面では粗さも見られるものの、その分ストレートな熱量がダイレクトに伝わるのも魅力のひとつです。GARDENIANという存在がどこから始まったのかを知るうえで欠かせない、メロデス黎明期の記録といえるでしょう。
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