バンド紹介

MOONSPELL（ムーンスペル）は、ポルトガル出身のゴシック/ダーク・メタル・バンドであり、同国を代表するメタル・シーンのパイオニア的存在です。その独特な音楽性と雰囲気を持つ楽曲で国際的な評価を受けています。

MOONSPELLは1992年、リスボンでフェルナンド・リベイロ（ボーカル）を中心に結成されました。当初はブラックメタルを基調とした音楽を演奏しており、バンド名をMORBID GODとして活動を開始。しかし1992年にMOONSPELLと改名し、翌年リリースしたデモテープ『Anno Satanæ』がアンダーグラウンドシーンで話題となりました。

1994年にはミニアルバム『Under the Moonspell』を発表し、バンドはブラックメタルからゴシックメタルへと音楽スタイルを転換。この作品でヨーロッパのゴシック・メタルシーンにその名を広めました。

1995年、MOONSPELLはデビューアルバム『Wolfheart』をリリース。このアルバムはバンドにとっての大きな転機となり、ゴシックメタルとブラックメタルを融合した独自の音楽スタイルで広く評価を得ました。特に「Alma Mater」は代表曲として知られています。

1996年には2ndアルバム『Irreligious』を発表。「Opium」や「Full Moon Madness」といった楽曲はゴシックメタルの名作として多くのファンに支持され、バンドの人気を国際的なものへと押し上げました。このアルバム以降、MOONSPELLはヨーロッパ各地のメタルフェスティバルに出演するなど活動の幅を広げていきます。

2000年代に入ると、バンドは音楽性にさらなる変化を加えました。2001年のアルバム『Darkness and Hope』や、2003年の『The Antidote』では、よりダークで内省的な雰囲気を強調したサウンドを展開。これにより従来のゴシックメタルファンだけでなく、新しい層のファンも獲得しました。

その後、2006年にリリースされた『Memorial』では再びブラックメタルの要素を取り入れ、力強く重厚なサウンドを復活させました。この作品は高く評価され、ポルトガル国内の音楽チャートで1位を記録しました。

2010年代以降、精力的に活動を続け、2015年にリリースしたアルバム『Extinct』や2017年の『1755』が高い評価を得ました。特に『1755』はリスボン大地震をテーマにしたコンセプトアルバムで、ポルトガル語による歌詞を取り入れた独特の作品です。

2021年にはアルバム『Hermitage』を発表。これまでのヘヴィな路線に加え、プログレッシブロックやアンビエントの要素を取り入れた深みのある作品であり、バンドの新たな挑戦として注目されました。

MOONSPELLの特徴は、ブラックメタルからゴシックメタル、さらにはダークメタルへと変遷していく中で、常に独自のダークで荘厳な雰囲気を保ち続けている点です。また、ポルトガルの文化や歴史、文学からインスピレーションを得た歌詞やテーマ性も重要な要素となっています。

長年にわたり活動を続けてきたMOONSPELLは、ゴシックメタル界の重鎮として確固たる地位を築き、多くのバンドやアーティストに影響を与えてきました。現在もツアーや新作制作など精力的に活動しており、世界中のファンに支持されています。

バンドメンバー

【現メンバー】
ペドロ・パイシャン（Pedro Paixão） – Keyboard/Samples/Programming（1992～）、Guitar（2003～2012）
フェルナンド・リベイロ（Fernando Ribeiro） – Vocal（1992～）
リカルド・アモリン（Ricardo Amorim） – Guitar（1995～）、Keyboard（2006、2014）
アイレス・パレイラ（Aires Pareira） – Bass（2004～）
ヒューゴ・リベイロ（Hugo Ribeiro） – Drums（2020～）

【過去メンバー】
アレス（Ares） – Bass（1992～1997）
マイク・ガスパー（Mike Gaspar） – Drums（1992～2020）
マラ（Malah） – Guitar（1992～1993）
マントゥス（Mantus） – Guitar（1992～1995）
J.M. タングリスニル（J.M. Tanngrisnir） – Guitar（1993～1995）
セルジオ・クレスターナ（Sergio Crestana） – Bass（1997～2003）