NUCLEAR ASSAULTとは?バンドの基本情報と特徴
NUCLEAR ASSAULT(ニュークリア・アソルト)は、1984年にアメリカ・ニューヨーク州で結成されたスラッシュ/クロスオーバー・メタル・バンドです。中心人物は元ANTHRAX、元BRUTAL TRUTHなどでも知られるダン・ルリカ(Dan Lilker)<Ba>で、社会的・政治的メッセージを込めたリリックと、疾走感あふれるアグレッシブなサウンドが特徴で、スラッシュメタルの黄金期において高い評価を受けたバンドです。
ダン・ルリカはANTHRAX脱退後、より過激かつ直接的な社会批判を込めた音楽を志向し、ジョン・コネリー(John Connelly)<Vo>と共にNUCLEAR ASSAULTを結成しました。1986年にはデビューアルバム『Game Over』をリリースし、直後のEP『The Plague』とともにスラッシュメタル界で注目を集めました。高速リフ、鋭いドラム、そして怒りに満ちた歌詞は、多くのリスナーの共感を呼びました。
1989年にリリースされた3rdアルバム『Handle With Care』は、商業的にも批評的にも最も成功した作品となり、バンドの代表作として広く知られています。この時期、NUCLEAR ASSAULTはTESTAMENT、EXODUS、OVERKILLなどと並び、東海岸スラッシュメタルの代表格としての地位を確立しました。また、クロスオーヴァー・スラッシュとしての側面も持ち、ハードコアパンクからの影響も色濃く反映されていました。
1990年代に入るとメンバー間の意見対立や音楽的方向性のズレが表面化し、1995年をもって一度解散となります。この時期はグランジやオルタナティヴ・ロックの台頭もあり、スラッシュメタル全体が停滞期を迎えていた時期でもありました。
2002年、オリジナルメンバーを含むラインナップで再結成が発表され、再びライブ活動を再開。2005年には14年ぶりのスタジオアルバム『Third World Genocide』をリリースし、ファンを驚かせました。その後も断続的な活動を続け、ヨーロッパやアメリカのフェスティバルにも出演。特に2020年代に入ってからも、往年のファンと新世代のリスナーの両方に支持される存在となっています。
近年は活動頻度が減っているものの、時折ライブイベントや再集結ステージに登場するなど、その存在感は依然として強いままです。ダン・ルリカは現在も複数のプロジェクトに関わっており、NUCLEAR ASSAULTも不定期ながら動きを見せています。
アルバム紹介 | 社会的メッセージ×スラッシュという独自路線
Third World Genocide(2005)
- Third World Genocide
- Price Of Freedom
- Human Wreckage
- Living Hell
- Whine And Cheese
- Defiled Innocence
- Exoskeletal
- Discharged Reason
- Fractured Minds
- The Hockey Song
- Eroded Liberty
- Long Haired Asshole(JOHN CONNELLY THEORY cover)
- Glenn’s Song
14年の沈黙を破る怒り―“Third World Genocide”が突きつけた現代への鉄槌!
14年の沈黙を破ってNUCLEAR ASSAULTが放った再結成作『Third World Genocide』は、社会への怒りと鋭利なリフが再び融合した痛烈なスラッシュ・アルバムです。1980年代に築き上げた政治的・社会的メッセージを継承しつつ、2000年代の混沌をも切り裂くその音像は、決して懐古主義に留まりません。スピード感あふれる「Price of Freedom」や、ユーモアと皮肉が交錯する「Whine and Cheese」など、全13曲にわたり、鋭く現代を風刺。クロスオーヴァー的なエッジも健在で、時代を超えた怒りと叫びを体現しています。レジェンドの帰還を告げる本作は、NUCLEAR ASSAULTの存在意義を再び証明した一枚です。
Something Wicked(1993)
- Something Wicked
- Another Violent End
- Behind Glass Walls
- Chaos
- The Forge
- No Time
- To Serve Man
- Madness Descends
- Petic Justice
- Art
- The Other End
変化か迷走か―“Something Wicked”が刻んだNuclear Assaultの転機!
5thアルバム『Something Wicked』は、バンドにとって大きな転機となった異色作です。中心人物だったダン・ルリカ(Dan Lilker)<Ba>が脱退し、新たなラインナップで制作された本作では、従来の高速スラッシュから一転、グルーヴ寄りのヘヴィネスとミドルテンポを主体とした作風へと変貌を遂げています。タイトル曲「Something Wicked」や「Chaos」などに見られる重厚なサウンドは、90年代初頭のメタル潮流への適応を感じさせつつも、ファンの間では賛否が分かれる結果となりました。勢いよりも実験性が前面に出た本作は、Nuclear Assaultの挑戦と苦悩を物語る1枚として今なお語り継がれています。
Out Of Order(1991)
- Sign In Blood
- Fashion Junkie
- Too Young To Die
- Preaching To The Deaf
- Resurrection
- Stop Wait Think
- Doctor Butcher
- Quocustodiat
- Hypocrisy
- Save The Planet
- Ballroom Blitz(THE SWEET cover)
変質か、失速か―Nuclear Assaultが迎えた揺らぎの第4章!
4thアルバム『Out of Order』は、バンドの内外に漂う不協和音をそのまま封じ込めたような作品です。スラッシュメタル黄金期の終焉を前に、音楽性はよりヘヴィで実験的な方向へとシフトしつつも、かつての一体感や鋭さは後退。バンドの疲弊や方向性の迷いが随所に表れています。それでも「Too Young to Die」や「Preaching to the Deaf」などに残る社会派の鋭い視点は健在で、混迷の中でもNuclear Assaultらしさを垣間見ることができます。スラッシュの限界と再構築を模索したこの一枚は、苦悩の記録であり、終わりの始まりでもありました。
Handle With Care(1989)
- New Song
- Critical Mass
- Inherited Hell
- Surgery
- Emergency
- Funky Noise
- F#(Wake Up)
- When Freedom Dies
- Search & Seizure
- Torture Tactics
- Mother’s Day
- Trail Of Tears
爆走する社会派スラッシュ!“Handle With Care”が証明した真の実力!
Nuclear Assaultがスラッシュメタルシーンでその名を決定づけた代表作です。疾走感あふれるリフと怒涛のドラム、そしてジョン・コネリー(John Connelly)<Vo>の鋭いシャウトが織りなす緊迫のサウンドは、社会や政治への怒りを真正面から叩きつけています。「Critical Mass」「F♯(Wake Up)」などの名曲は、ヘヴィさとメロディ、メッセージ性を高次元で融合。東海岸スラッシュの真骨頂とも言えるバランス感覚とアグレッションが光ります。音楽的にも歌詞的にも成熟を感じさせる本作は、Nuclear Assaultの実力が極みに達した証であり、スラッシュメタル黄金期を語るうえで外せない一枚です。
Survive(1988)
- Rise From The Ashes
- Brainwashed
- F#
- Survive!
- Fight To Be Free
- Got Another Quarter
- Great Depression
- Wired
- Equal Rights
- PSA
- Technology
- Good Times, Bad Times(LED ZEPPELIN cover)
燃え盛る現代批評、“Survive”が切り裂く1988年の真実!
2ndアルバム『Survive』は、1988年にリリースされた社会派スラッシュメタルの傑作です。前作『Game Over』の激烈な勢いを受け継ぎつつ、音楽的にも歌詞的にも一段と深化。核戦争、政治腐敗、環境破壊といったテーマを、怒りに満ちたリフと切れ味鋭いシャウトで叩きつけています。特に「Rise from the Ashes」「Brainwashed」などは、アグレッシブさとメロディのバランスが秀逸で、スラッシュメタルとしての完成度が際立ちます。鋭い社会批評と圧倒的なスピード感が融合した作品です。
Game Over(1986)
- Live, Suffer, Die
- Sin
- Cold Steel
- Betrayal
- Radiation Sickness
- Hang The Pope
- After The Holocaust
- Mr. Softfee Theme
- Stranded In Hell
- Nuclear War
- My America
- Vengeance
- Brain Death
暴走する怒り、鋼鉄の警告―デビュー作にして問題作、“Game Over”の衝撃!
Nuclear Assaultのデビュー作『Game Over』は、東海岸スラッシュメタルの象徴とも言える怒りと疾走の塊です。元ANTHRAXのダン・ルリカ(Dan Lilker)<Ba>を中心に結成されたこのバンドは、単なるスラッシュにとどまらず、核戦争、政治腐敗、環境問題などをテーマにした鋭いメッセージ性で注目を集めました。「Sin」「Hang the Pope」などの短く鋭い楽曲が並ぶ一方で、「Brain Death」では展開力も見せつけ、バンドの実力を証明。荒削りながらも圧倒的な勢いと批評性を備えた本作は、社会派スラッシュの原点として今なお語り継がれる名盤です。
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