ドイツ発！RUNNING WILD（ランニング・ワイルド）が築いた“海賊メタル”の伝説とは？

RUNNING WILD（ランニング・ワイルド）とは？パワーメタルの航海を振り返る！

RUNNING WILD（ランニング・ワイルド）は、ドイツのハンブルグで結成されたヘヴィ/パワー/スピ―ド・メタル・バンドで、ヘヴィメタルの歴史の中でも特に独自性を放つ存在です。彼らはスピード感あふれるリフとパワフルなヴォーカル、そして「海賊メタル（Pirate Metal）」という独自の世界観で知られています。結成当初はJUDAS PRIESTやACCEPTの影響を受けた正統派ヘヴィメタル・サウンドを志向していましたが、80年代中盤から自らの個性を確立し、ドイツメタルの新たな方向性を切り開きました。

1976年にロックン・ロルフ（Rock ‘n’ Rolf）<Vo,Gt>を中心に前身となるGRANITE HEARTSを結成し、1979年にJUDAS PRIESTの曲名にちなんでRUNNING WILDと改名。1981年から1983年までに初期のデモ活動を発売し、1984年にデビューアルバム『Gates to Purgatory』をリリース。この作品は、スピードメタル黎明期の勢いを象徴する攻撃的なサウンドで、多くのファンを獲得しました。その後の2ndアルバム『Branded and Exiled』（1985）では、よりメロディックで叙事詩的な要素を導入し、音楽性の幅を広げていきます。そして1987年、代表作『Under Jolly Roger』の発表により、海賊をテーマにしたビジュアルと歌詞世界を確立。ここから“Pirate Metal（パイレーツ・メタル）”というジャンルの原型が生まれました。

80年代後半から90年代にかけてのRUNNING WILDは、まさに黄金期を迎えます。『Port Royal』（1988）、『Death or Glory』（1989）などは、ドイツのパワーメタル史における名盤として高く評価されており、力強いリフとキャッチーなメロディが絶妙に融合したサウンドが特徴です。リーダーであるロックン・ロルフ（Rock ‘n’ Rolf）は、作曲・ギター・ヴォーカルのすべてを担い、バンドの創造的中心として不動の存在となりました。

しかし、90年代後半以降、音楽シーンの変化やメンバー交代の影響もあり、一時的に活動が停滞します。2009年に、WACKEN OPEN AIRへの出演を最後に一度「解散」を発表し、多くのファンがその航海の終焉を惜しみました。ところが2011年、ロックン・ロルフ（Rock ‘n’ Rolf）の手によってRUNNING WILDは奇跡的に再始動を果たし、アルバム『Shadowmaker』をリリース。以降も『Resilient』（2013）、『Rapid Foray』（2016）、『Blood on Blood』（2021）など、活動を続けています。

現在もRUNNING WILDは、ドイツメタル界の伝説として不動の地位を保ち、“自由・冒険・反骨”というテーマを掲げながら航海を続けています。そのサウンドとスピリットは、多くの後進バンドに影響を与え、今も世界中のメタルファンを魅了し続けているのです。

RUNNING WILDのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ

【現メンバー】
■ロックン・ロルフ（Rock ‘n’ Rolf） – Vocal/Guitar（1979～2009、2011～）
■ピーター・ジョーダン（Peter Jordan） – Guitar（2005～2009、2011～）
■オーレ・ヘンペルマン（Ole Hempelmann） – Bass（2019～）
■マイケル・ウォールパース（Michael Wolpers） – Drums（2019～）

【過去メンバー】
■マティアス・カウフマン（Matthias Kaufmann） – Bass（1991～2021）
■ハッシェ（Hasche） – Drums（1991～2021）
■ウヴェ・ベンディヒ（Uwe Bendig） – Guitar（1993～1999）
■ステファン・ボリス（Stephan Boriss） – Bass（1999～2008）
■プリーチャー（Preacher） – Bass（2008～2013）
■マイク・モティ（Majk Moti） – Bass（2016～2021）
■ヤンス・ベッカー（Jens Becker） – Guitar（2020～2023）
■ステファン・シュヴァルツマン（Stefan Schwarzmann） – Guitar（2020～2023）
■イアン・フィンレー（Iain Finlay） – Guitar（2020～2023）
■AC（AC） – Guitar（2020～2023）
■アクセル・モーガン（Axel Morgan） – Guitar（2020～2023）
■トーマス・シュムジンスキー（Thomas Smuszynski） – Drums（1991～2021）
■ヨルグ・マイケル（Jörg Michael） – Drums（1991～2021）
■シロ・ハーマン（Thilo Hermann） – Guitar（1993～1999）
■アンジェロ・サッソ（Angelo Sasso） – Bass（1999～2008）
■ピーター・ピヒェル（Peter Pichl） – Bass（2008～2013）
■マティアス・”メタルマシーン”・リーベトゥルース（Matthias “Metalmachine” Liebetruth） – Guitar（2020～2023）