SUICIDAL TENDENCIESとは？クロスオーバー・スラッシュの元祖バンドを解説！

SUICIDAL TENDENCIESとは？バンド結成から現在までの歴史
1. SUICIDAL TENDENCIESのバンドメンバー変遷
アルバム紹介：SUICIDAL TENDENCIESの音楽性：ハードコアとスラッシュの融合

SUICIDAL TENDENCIESとは？バンド結成から現在までの歴史

SUICIDAL TENDENCIES（スイサイダル・テンデンシーズ）は、アメリカ・カリフォルニア州ヴェニスで1980年に結成されたクロスオーバー・スラッシュ／ハードコア・パンク・バンドです。彼らは、ハードコア・パンク、スラッシュメタル、そしてファンクの要素を取り入れた独自のスタイルで、クロスオーバー・スラッシュというジャンルを確立し、多くのバンドに影響を与えました。

SUICIDAL TENDENCIESは、マイク・ミューア（Mike Muir）<Vo>によって結成されました。当初、彼らはロサンゼルスのハードコア・パンク・シーンの一部として活動を始めました。バンドの初期の楽曲は、過激な歌詞と攻撃的なサウンドで注目を集め、特に「I Saw Your Mommy」や「Institutionalized」などの楽曲は、シーンの注目を浴びるきっかけとなりました。

1983年にリリースされたセルフタイトルのデビューアルバム『Suicidal Tendencies』は、特に「Institutionalized」がMTVで頻繁に放送され、バンドの名を広める重要な役割を果たしました。この曲は、若者の怒りや疎外感をユーモアを交えて表現しており、ファンの共感を呼びました。

1980年代半ばになると、バンドはパンクの要素に加えてメタルの影響を強く受けるようになり、よりヘヴィで複雑なサウンドへと進化しました。1987年にリリースされた2ndアルバム『Join the Army』では、メタル寄りのスタイルが顕著となり、このアルバムをきっかけにクロスオーバー・スラッシュの先駆者として認識されるようになりました。

1988年のアルバム『How Will I Laugh Tomorrow When I Can’t Even Smile Today』は、メタルサウンドとパンクの融合がさらに深化し、批評家やファンから高い評価を受けました。この頃、ロッキー・ジョージ（Rocky George）<Gt>のテクニカルなギタープレイがバンドのサウンドに大きく貢献しました。

1990年にはアルバム『Lights…Camera…Revolution』をリリース。この作品では、さらにファンクの要素が強調され、現METALLICAのロバート・トゥルヒーヨ（Robert Trujillo）<Ba>が加入したことで、リズムセクションが一層際立つようになりました。このアルバムには「You Can’t Bring Me Down」や「Send Me Your Money」といった人気曲が収録されており、グラミー賞にもノミネートされるなど、バンドの商業的成功を確立しました。

1992年のアルバム『The Art of Rebellion』では、よりメロディックで洗練されたアプローチを見せ、シングル「Nobody Hears」がラジオでヒットしました。しかし、バンド内のメンバー交代や音楽性の変化が重なり、この時期にバンドの方向性が揺れ動きました。

1995年以降、SUICIDAL TENDENCIESは一時的に活動を停止しますが、マイク・ミューアはINFECTIOUS GROOVESなどの他のプロジェクトに取り組みみましたが、2000年代初頭に再結成し、ライブ活動を再開しました。

バンドは現在も活動を続けており、近年では2016年にアルバム『World Gone Mad』をリリースしました。このアルバムでは、元SLAYERのデイヴ・ロンバード（Dave Lombardo）<Dr>が参加し、バンドのサウンドに新たなエネルギーをもたらしました。さらに、2018年には『STill Cyco Punk After All These Years』をリリースし、2024年からは元SLIPKNOTのジェイ・ウェインバーグ（Jay Weinberg）<Dr>を迎えさらに精力的にツアーを行っています。

長いキャリアを通じて、SUICIDAL TENDENCIESはジャンルを超えた影響力を持つバンドとして、多くのアーティストやリスナーから尊敬されています。音楽のジャンルを超えて広範囲な影響を与え続ける、伝説的なバンドと言えるでしょう。

SUICIDAL TENDENCIESのバンドメンバー変遷

【現メンバー】
マイク・ミューア（Mike Muir） – Vocal（1981～）
ディーン・プレザンツ（Dean Pleasants） – Guitar（1996～）
ベン・ワインマン（Ben Weinman） – Guitar（2018～）
タイ・トゥルヒーヨ（Tye Trujillo） – Bass（2021～）
ジェイ・ワインバーグ（Jay Weinberg） – Drums（2024～）

【過去メンバー】
マイク・ダニガン（Mike Dunnigan） – Bass（1981～1982）
カルロース・エガート（Carlos Egert） – Drums（1981）
マイク・ボール（Mike Ball） – Guitar（1981～1983）
アンドリュー・エヴァンス（Andrew Evans） – Bass（1982）
ルーイッシュ・マヨルガ（Louiche Mayorga） – Bass（1982～1987）
ショーン・ダニガン（Sean Dunnigan） – Drums（1982）
エイメリ・スミス（Amery Smith） – Drums（1982～1983）
R.J. ヘレーラ（R.J. Herrera） – Drums（1983～1991）
グラント・エステス（Grant Estes） – Guitar（1983）
ジョン・ネルソン（Jon Nelson） – Guitar（1983～1984）
リック・バットソン（Rick Battson） – Guitar（1983）
ロッキー・ジョージ（Rocky George） – Guitar（1984～1985）
ボブ・ヒースコート（Bob Heathcote） – Bass（1987～1989）
リック・クレイトン（Ric Clayton） – Bass（1987）
マイク・クラーク（Mike Clark） – Guitar（1987～2012）
ロバート・トゥルヒーヨ（Robert Trujillo） – Bass（1989～1995）
ジミー・デグラッソ（Jimmy DeGrasso） – Drums（1992～1995）
ジョシュ・ポール（Josh Paul） – Bass（1996～2002）
ブルックス・ワッカーマン（Brooks Wackerman） – Drums（1996～2002）
デイヴ・ナッシー（Dave Nassie） – Guitar/Bass（1999）
スティーヴ・ブルーナー（Steve Bruner） – Bass（2002～2012）
ロン・ブルーナー・Jr（Ron Bruner Jr.） – Drums（2002～2008）
デイヴ・イダルゴ・Jr（Dave hidalgo Jr.） – Drums（2008）
エリック・ムーア（Eric Moore） – Drums（2008～2014、2014～2016）
ティム・”ロービズ”・ウィリアムズ（Tim “Rawbiz” Williams） – Bass（2012～2014）
ニコ・サントラ（Nico Santora） – Guitar（2012～2016）
マイケル・モーガン（Michael Morgan） – Bass（2014～2016）
トーマス・プリッジェン（Thomas Pridgen） – Drums（2014）
ラ・ディアス（Ra Diaz） – Bass（2016～2021）
デイヴ・ロンバード（Dave Lombardo） – Drums（2016～2021）
ジェフ・ポーガン（Jeff Pogan） – Guitar（2016～2018）
ブランドン・パーツボーン（Brandon Pertzborn） – Drums（2021～2023）
グレイソン・ネクルトマン（Greyson Nekrutman） – Drums（2023～2024）