THULCANDRAの歴史と歩み|バンドの基本情報
THULCANDRA(トゥルカンドラ)は、ドイツ・ミュンヘン出身のメロディック・ブラック/デス・メタル・バンドです。当初は短期間の活動に留まりましたが、2008年になって本格的に再始動を果たし、以降着実に活動を続けています。
THULCANDRAの音楽スタイルは、90年代の北欧メロディック・ブラック/デス・メタル、特にスウェーデンのDISSECTIONから強く影響を受けたものです。重厚なリフ、冷たいメロディ、荘厳な雰囲気を特徴とし、ダークでありながらも美しさを感じさせるサウンドを生み出しています。
2010年、バンドはデビューアルバム『Fallen Angel’s Dominion』をリリースしました。この作品は世界的に高い評価を受け、THULCANDRAの名を一躍メロディック・エクストリーム・メタル界に知らしめました。その後も『Under A Frozen Sun』(2011年)、『Ascension Lost』(2015年)、『A Dying Wish』(2021年)といったアルバムを発表し、着実に実績を重ねています。
バンドの中心人物であるステファン・クメラー(Steffen Kummerer)<Vo,Gt>はOBSCURAの活動としても知られており、技術的な高い演奏力と緻密な楽曲構築で、THULCANDRAにもその手腕を存分に発揮しています。
THULCANDRAは、DISSECTIONの精神を受け継ぎつつも、独自のダークで叙情的な世界観を築き上げ、現代のメロディック・ブラック/デス・メタルシーンにおいて確固たる地位を築いています。これからの活動にも大きな注目が集まっています。
アルバム紹介|美麗なメロディとアグレッションの融合
Hail The Abyss(2023)
- In The Eye Of Heaven
- Hail The Abyss
- At Night
- Velvet Damnation
- On The Wings Of Cosmic Fire
- Acheronian Cult
- As I Walk Through The Gateway
- Blood Of Slaves
- In Darkness We Descend
- The Final Closure
冷たき旋律と轟音が交錯する、THULCANDRA渾身の暗黒叙事詩!
2023年に放った5thアルバムは、バンド史上最も荘厳で攻撃的なアルバムです。DISSECTION直系の冷たく美しいメロディはさらに研ぎ澄まされ、重厚なリフと叙情的な展開が絶妙に絡み合っています。タイトル通り「深淵への讃歌」と呼ぶにふさわしい本作は、孤高の暗黒美を徹底的に追求した一枚です。特にオープニングからラストまで一切の隙を見せない楽曲構成は圧巻で、THULCANDRAの進化と自信が如実に表れています。メロディック・ブラック/デスメタルの真髄を求めるリスナーにとって、『Hail The Abyss』は必聴のアルバムと言えるでしょう。
A Dying Wish(2021)
- Funeral Pyre
- Scarred Grandeur
- Orchard Of Grievance
- In Vain
- Nocturnal Heresy
- The Silvering Silver
- In Bleak Misery
- A Shining Abyss
- Devouring Darkness
- A Dying Wish
死の願いを旋律に託して―THULCANDRA渾身の一撃!
2021年にリリースされた4thアルバムは、DISSECTION直系の冷たく荘厳なメロディを受け継ぎつつ、より深みを増した叙情表現が光ります。鋭利なリフと美麗な旋律が絶望と悲哀を鮮やかに描き出し、全編を通して一貫した世界観が構築されています。タイトル曲「A Dying Wish」をはじめ、各曲に漂う孤高の美学は、メロディック・エクストリームメタルの理想形ともいえる仕上がりです。THULCANDRAは本作で、単なる影響源の模倣を超え、独自の暗黒叙事詩を完成させました。圧倒的な哀切美と荘厳さを兼ね備えた一枚です。
Ascension Lost(2015)
- The First Rebellion
- Throne Of Will
- Deliverance In Sin And Death
- Demigod Imprisoned
- Interlude
- Exalted Resistance
- The Second Fall
- Sorrow Of The One
- Ascension Lost
- Outro
昇華は失われ、絶望が支配する―THULCANDRAが刻む悲壮と激情の旋律!
3rdアルバムは、冷たく張り詰めたメロディと壮絶な暗黒美が共鳴する、圧巻のメロディック・ブラック/デスメタル作品です。2015年にリリースされた本作では、初期DISSECTIONを思わせる凍てついたサウンドを基盤に、より深い哀愁と叙情性が織り込まれています。鋭利なリフとドラマティックな展開が交錯し、聴く者を光なき虚無へと誘います。タイトル曲「Ascension Lost」や「The Second Fall」など、各曲に漂う絶望と美しさのバランスは圧巻で、バンドの表現力がさらに成熟したことを実感させます。THULCANDRAはこのアルバムで、喪失感すら芸術へと昇華する孤高のダークメタルを完成させました。
Under A Frozen Sun(2011)
- In Blood And Fire
- Black Flags Of Hate
- Ritual Of Sight
- Under A Frozen Sun
- Aeon Of Darkness
- Echoing Voices(A Cold Breeze Of Death)
- Gates Of Eden
- Life Demise(UNANIMATED cover)
静かなる破滅、凍れる叙情―THULCANDRAが放つ絶対零度の賛歌!
2ndアルバムは、冷徹な美しさと重厚なアグレッションが完璧に融合したメロディック・ブラック/デスメタルの傑作です。2011年にリリースされた本作では、デビュー作で見せた叙情的な旋律をさらに深化させ、凍てつくような世界観を圧倒的なスケールで描き出しています。疾走感あふれるリフワークと、哀愁を帯びたギターメロディが見事に絡み合い、絶望と美の二面性を鮮烈に表現しています。タイトル曲「Under A Frozen Sun」を筆頭に、アルバム全体に漂う冷気と孤高の美学は、THULCANDRAならではの魅力を強烈に放っています。極寒の音像に酔いしれたいリスナーにとって、本作は間違いなく必聴の一枚です。
Fallen Angel’s Dominion(2010)
- In The Realm Of Thousand Deaths
- Night Eternal
- Fallen Angel’s Dominion
- Frozen Kingdom
- Everlasting Fire
- Sprit Of The Night
- Legion Of Darkness
- In Silence We Eternally Sleep
- The Somberlain(DISSECTION cover)
THULCANDRAの原点―凍てついた激情が炸裂するデビュー作!
デビュー作は、冷たく荘厳なメロディとアグレッシブな攻撃性が交錯する、メロディック・ブラック/デスメタルの鮮烈な幕開けを飾る一枚です。2010年にリリースされた本作は、DISSECTIONへの敬愛を基盤としながらも、独自の叙情性と重厚感を加えたサウンドで高い評価を獲得しました。鋭く疾走するリフと悲哀を帯びた旋律が絶妙に絡み合い、聴く者を暗黒と絶望の世界へと引き込みます。特に表題曲「Fallen Angel’s Dominion」は、哀切と凶暴が共存する名曲として際立っています。THULCANDRAはこのデビュー作で、自らの方向性を明確に示し、メロディック・エクストリーム・メタルの新たな旗手としての存在感を確立しました。
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