バンド紹介

WOLVES IN THE THRONE ROOM（ウルヴズ・イン・ザ・スローン・ルーム）は、2002年にアメリカ・ワシントン州オリンピアで、ネイサン・ウィーヴァー（Nathan Weaver）<Vo,Gt,Key>とアーロン・ウィーヴァー（Aaron Weaver）<Dr,Per,Gt,Key,Vo>の兄弟によって結成されました。彼らは伝統的なブラックメタルのスタイルに、環境意識やネイチャー・スピリチュアルな要素を取り入れた独自の音楽性を築き上げました。

2006年にデビューアルバム『Diadem of 12 Stars』をリリースし、その叙情的で広大なサウンドスケープが話題となりました。この作品はWINTERFYLLETHやALCESTといった同時代のポスト・ブラック・メタル勢と並び称されるようになり、WOLVES IN THE THRONE ROOMの名を世界のブラックメタル・シーンに知らしめました。

2007年の2ndアルバム『Two Hunters』では、より壮大で深みのあるサウンドへと進化し、アメリカのブラック・メタル・シーンの最重要バンドとして確立。女声ボーカルを取り入れ、アトモスフェリックな要素が強調されるなど、独自の音楽的アイデンティティを築きました。

2009年には『Black Cascade』をリリースし、環境音とブラックメタルを融合させた音楽スタイルをさらに深化させました。続く2011年の『Celestial Lineage』では、ポストブラックメタルの要素がさらに強まり、バンドの音楽性が最高潮に達した作品として高い評価を得ました。

2014年には、完全なアンビエント・アルバム『Celestite』を発表し、それまでのブラックメタルサウンドとは異なる実験的なアプローチを試みました。このアルバムは、ダークアンビエントやシンセサイザーを前面に押し出した作品で、バンドの音楽的な探求心を示すものとなりました。

2017年にリリースされた『Thrice Woven』ではブラックメタルへの回帰を果たし、アトモスフェリックでありながら攻撃的な音像を再び展開しました。これにより、ファンの間で再び注目を集めることとなります。

2021年には7thアルバム『Primordial Arcana』をリリース。セルフプロデュースによる初の作品となり、バンドが持つダークで神秘的な雰囲気をさらに洗練させました。本作はこれまでのアトモスフェリック・ブラックメタルの要素に加え、プログレッシブなアレンジやシンセサイザーを駆使したサウンドスケープが特徴的です。

WOLVES IN THE THRONE ROOMの音楽は、伝統的なブラックメタルの暗黒性に加え、アンビエント、ドローン、ポストロック、ネオフォークの要素を取り入れたアトモスフェリック・ブラックメタルの代表的なスタイルを持ちます。バンドは特に、スカンジナビアのブラック・メタル・バンド勢のBURZUMやEMPERORからの影響を受けつつも、アメリカ北西部の広大な自然環境を反映した独自の音楽性を確立しました。

また、バンドのメンバーはサステナビリティ（持続可能性）やエコロジーに深い関心を持ち、彼らの生活や音楽制作にもその影響が現れています。ライヴパフォーマンスではキャンドルや焚き火を用いた演出を取り入れるなど、単なる音楽活動にとどまらず、精神性を伴った表現を追求しています。

WOLVES IN THE THRONE ROOMは、アメリカのブラックメタル・シーンにおける最も重要なバンドの一つであり、アトモスフェリック・ブラックメタルの代表的な存在として確固たる地位を築いています。彼らの音楽はブラックメタルの枠を超えた壮大なサウンドスケープを持ち、自然との繋がりを重視する哲学的な側面も強調されています。今後の活動にも大きな期待が寄せられています。