スラッシュメタル黄金期を語るならVIO-LENCEを外すな!初心者向けガイド

VIO-LENCE(バイオレンス)
VIO-LENCE(バイオレンス)

VIO-LENCEとは?バンド結成の背景とベイエリア・スラッシュとの関係

VIO-LENCE(バイオレンス)は、アメリカ・カリフォルニア州ベイエリア出身のスラッシュ・メタル・バンドで、1985年に結成されました。彼らは、エネルギッシュで過激なリフと攻撃的なボーカルスタイルで知られ、”ベイエリア・スラッシュメタル”の第2世代的な存在として、シーンの重要な一翼を担ったバンドです。

VIO-LENCEは、フィル・ディメル(Phil Demmel)<Gt>と現MACHINE HEADのロブ・フリン(Robb Flynn)<Gt>、ディーン・デル(Deen Dell)<Ba>、ペリー・ストリックランド(Perry Strickland)<Dr>、ショーン・キリアン(Sean Killian)<Vo>によって結成されました。バンドは、激しい演奏と直線的なリフワークで地元シーンですぐに注目を集め、デモ音源のリリースによってファンを獲得していきました。

1988年にリリースされたデビューアルバム『Eternal Nightmare』は、バンドの代名詞とも言える作品で、疾走感溢れるスラッシュメタルサウンドとショーン・キリアンの独特なハイトーンボーカルが特徴的です。このアルバムは批評家から高い評価を受け、スラッシュメタルファンの間でカルト的な人気を博しました。

1990年には2枚目のアルバム『Oppressing the Masses』をリリースしましたが、歌詞が問題視され、一部の楽曲が自主規制されるというトラブルもありました。その後も活動を続ける中で、1993年にリリースされた『Nothing to Gain』では音楽性がやや変化し、商業的成功には繋がらず、ロブ・フリンが脱退し、自然消滅という形でバンドは解散へと向かいました。

2001年、当時癌との闘病中だったTESTAMENTのチャック・ビリーのベネフィットライブに参加するためフィル・ディメルとショーン・キリアンを中心に再結成し、一時的にライブ活動を行いました。その後も断続的に再結成や解散を繰り返しましたが、2019年に再び本格的な再結成が発表されました。特に、ショーン・キリアンの健康問題(肝移植手術)が克服されたことが話題となりました。

2022年には新作EP『Let the World Burn』をリリースし、約30年ぶりとなる新曲を発表。バンドは再びスラッシュメタルの世界で注目を集め、ライブ活動やフェス出演など精力的な活動を続けています。

VIO-LENCEは、その攻撃的で高速な楽曲構成とショーン・キリアンの独特なボーカルスタイルでスラッシュメタルの中でも異彩を放っています。また、メンバーのロブ・フリンは後にMACHINE HEADを結成し、スラッシュメタルからグルーヴメタルへと音楽性を広げる重要な人物となりました。

現在も精力的に活動を続けるVIO-LENCEは、スラッシュメタルの伝統を守りつつ、新世代のファンを獲得し続けるバンドとして評価されています。

 

バンドメンバー

【現メンバー】
ショーン・キリアン(Sean Killian) – Vocal(1986~1993、2001~2003,2019~)
クリスチャン・オールド・ウォルバース(Christian Olde Wolbers) – Bass(2020~)

【過去メンバー】
エディ・ビリー(Eddie Billy) – Bass(1985)
ディーン・デル(Deen Dell) – Bass(1985~1993、2001~2003、2018、2019~2020)
ペリー・ストリックランド(Perry Strickland) – Drums(1985~1993、2001~2003、2018,2019~2023)
フィル・ディメル(Phil Demmel) – Guitar(1985~1993、2001~2003、2018、2019~2024)
トロイ・フーア(Troy Fua) – Guitar(1985~1987、2001~2003)
ジェリー・ブル(Jerry Birr) – Vocal(1985~1986)
ロブ・フリン(Robb Flynn) – Guitar(1987~1992)
レイ・ベガス(Ray Vegas) – Guitar(1991~1994、2001、2019~2020)
マーク・ヘルナンデス(Mark Hernandez) – Drums(1993)
スティーヴ・”グリーン”・シュミット(Steve “Green” Schmidt) – Guitar(2001)
ボビー・グスタフソン(Bobby Gustafson) – Guitar(2020~2022)

 

アルバム紹介 | 暴力的リフと怒涛のボーカルがもたらした衝撃

Nothing To Gain(1993)

Vio-lence - Nothing To Gain(1993)

  1. Atrocity
  2. Twelve Gauge Justice
  3. Ageless Eyes
  4. Pain Of Pleasure / Virtues Of Vice
  5. Killing My Words
  6. Psychotic Memories
  7. No Chains
  8. Welcoming Party / This Is System
  9. Colour Of Life

封印された異端作―“Nothing to Gain”が描いたVIO-LENCEの知られざる終焉!

1993年に突如リリースされた3rdアルバムは、バンド内の混乱とレーベル問題に翻弄された“封印作”とも言える異端の一枚です。録音は1990年に完了していたにもかかわらず、公式リリースまで数年を要した本作は、前作までのスラッシュ一辺倒な攻撃性とは一線を画し、よりグルーヴィかつヘヴィなサウンドが前面に出ています。メンバーの脱退や方向性の迷いが反映されたかのような不安定さと挑戦のバランスが、本作を複雑な魅力に満ちた“問題作”たらしめています。決して代表作ではないが、だからこそ知る者に刺さる――“終焉”の予兆が詰まった作品です。

 

Oppressing The Masses(1990)

Vio-lence - Oppressing The Masses(1990)

  1. I Profit
  2. Officer Nice
  3. Subterfuge
  4. Engulfed By Flames
  5. World In A World
  6. Mentally Afficted
  7. Liquid Courage
  8. Oppressing The Masses

ベイエリアの狂犬、再び牙を剥く―VIO-LENCEが時代に噛みついた一撃!

2ndアルバムは、デビュー作『Eternal Nightmare』の狂気と凶暴さをさらに洗練させた一枚です。ベイエリア特有のタイトで切れ味鋭いリフに、ショーン・キリアンの毒々しいシャウトが絡み合い、社会への怒りと暴力性が一気に噴き出します。名曲「World in a World」や「Officer Nice」では、攻撃性だけでなく楽曲構成の巧みさも際立ち、バンドの成熟を証明。過激な歌詞が一部検閲されるほどの過激さを持ちながらも、時代の空気を鋭く切り取った問題作にして傑作。まさに90年代スラッシュの本質を体現した攻撃的進化形です。

 

Eternal Nightmare(1988)

Vio-lence - Eternal Nightmare(1988)

  1. Eternal Nightmare
  2. Serial Killer
  3. Phobophobia
  4. Calling In The Coroner
  5. T.D.S.(Take It As You Will)
  6. Bodies On Bodies
  7. Kill On Command

すべてはここから始まった!VIO-LENCEが叩きつけたスラッシュの原点にして頂点!

1988年、ベイエリア・スラッシュの最前線から突如現れたVIO-LENCEのデビューアルバムは、まさに“狂気”と“スピード”が融合した音の凶器です。冒頭の「Eternal Nightmare」から全開のテンションで突っ走るこの作品は、鋭利なギターリフと、ショーン・キリアン(Sean Killian)の怒声が一体となり、聴く者に逃げ場を与えません。「Calling in the Coroner」「Bodies on Bodies」など、社会不安と暴力性をむき出しにした歌詞とサウンドが炸裂し、80年代スラッシュの残虐美を極限まで高めています。粗削りながらも圧倒的な勢いと破壊力を持つ本作は、ジャンルの代表作として語り継がれるにふさわしい傑作です。

 

 

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