BENEDICTIONとは?|イギリス発の正統派デス・メタル・バンド
BENEDICTION(ベネディクション)は、イギリス・バーミンガム出身のデス・メタル・バンドで、1989年に結成されました。彼らは初期のデス・メタル・ムーブメントにおいて重要な役割を果たし、特に直球のヘヴィなサウンドと強烈なリフで知られています。BENEDICTIONは、CARCASSやNAPALM DEATHといった他のイギリスのエクストリーム・メタルバンドと並んで、イギリスのデス・メタルシーンを形作った存在です。
BENEDICTIONは、1989年にダレン・ブルックス(Darren Brookes)<Gt>、ピート・リュー(Peter Rew)<Gt>、イアン・トレーシー(Ian Treacy)<Dr>によって結成されました。ポール・アダムス(Paul Adams)<Ba>と現NAPALM DEATHのマーク・”バーニー”・グリーンウェイ(Mark “Barney” Greenway)<Vo>が加わり、ラインナップが完成しました。
1990年に発売されたデビューアルバム『Subconscious Terror』は、独自の重厚なサウンドとエネルギッシュなボーカルで高い評価を受けました。このアルバムの成功により、バンドはヨーロッパのデス・メタルシーンで名を広めました。
1991年に発売された2ndアルバム『The Grand Leveller』は、新メンバーにデイヴ・イングラム(Dave Ingram)<Vo>を迎えて制作されました。このアルバムは、バンドのキャリアの中で重要な転換点となり、より洗練されたサウンドと強力なリフが特徴となっています。
その後も、『Transcend the Rubicon』(1993年)や『The Dreams You Dread』(1995年)などのアルバムをリリースし、ヨーロッパやアメリカでのツアーを通じてその地位を確立しました。彼らの音楽は、一貫してブルータルでヘヴィなスタイルを保ちつつも、キャッチーな要素を取り入れたことで、デス・メタルファンに愛されています。
BENEDICTIONは結成以来、数多くのメンバーチェンジを経験してきました。特にヴォーカリストの交代が多く、これによりバンドのサウンドにも若干の変化がありました。しかし、ダレン・ブルックスとピーター・ライターというオリジナルメンバーがバンドの中核を担い続け、BENEDICTIONのアイデンティティを守り続けています。
2019年にはデイヴ・イングラムが復帰し、2020年に12年ぶりに発売された『Scriptures』は、バンドの長い歴史の中でも非常に高く評価されるアルバムとなりました。この作品では、初期のブルータルなサウンドに回帰しつつも、現代的なプロダクションと成熟したソングライティングを融合させています。
現在もBENEDICTIONは、デス・メタルの伝説的な存在として、アルバム制作やツアー活動を続けています。彼らの音楽は、他のデス・メタルバンドやエクストリーム・メタルシーン全体に大きな影響を与え、30年以上にわたってその地位を維持しています。
特に、彼らの「ピュアなデス・メタルへのこだわり」は、多くのファンに支持され続けており、これからもエクストリーム・メタル界で重要な存在であり続けるでしょう。
バンドメンバー
【現メンバー】
ピート・リュー(Peter Rew) – Guitar(1989~)
ダレン・ブルックス(Darren Brookes) – Guitar(1989~)
デイヴ・イングラム(Dave Ingram) – Vocal(1990~1998、2019~)
ジョバンニ・ダースト(Giovanni Durst) – Drums(2019~)
ニック・サンプソン(Nik Sampson) – Bass(2023~)
【過去メンバー】
ポール・アダムス(Paul Adams) – Bass(1989~1991)
イアン・トレーシー(Ian Treacy) – Drums(1989~1993)
マーク・”バーニー”・グリーンウェイ(Mark “Barney” Greenway) – Vocal(1989~1991)
フランク・ヒーリー(Frank Healy) – Bass(1991~2017)
ニール・ハットン(Neil Hutton) – Drums(1994~2007)
ポール・ブルックス(Paul Brookes) – Drums(1994)
デイヴ・ハント(Dave Hunt) – Vocal(1998~2019)
アッシュ・ゲスト(Ash Gurst) – Drums(2014~2019)
ダン・ベイト(Dan Bate) – Bass(2018~2023)
アルバム紹介 | UKデスメタルシーンでの重要性
Scriptures(2020)
- Iterations Of I
- Scriptures In Scarlet
- The Crooked Man
- Stormcrow
- Progenitors Of A New Paragdigm
- Rabid Carnality
- In Our Hands, The Scars
- Tear Off These Wings
- Embrace The Kill
- Neverwhen
- The Blight At The End
- We Are Legion
古典と現代の狭間に轟く―BENEDICTIONが帰還を告げる重厚な咆哮!
約12年ぶりに発売されたアルバムは、まさに原点回帰と進化の融合です。オリジナル期のメンバー、デイヴ・イングラム(Dave Ingram)<Vo>の復帰により、往年の暴力性と説得力が完全復活。重厚なリフ、疾走感あるリズム、そしてド直球なデス・メタル美学が全編に貫かれています。現代的なプロダクションも加わり、古臭さを感じさせない点も魅力。UKデス・メタルの精神を2020年代に蘇らせたこの一作は、古参ファンだけでなく新たな世代にも響くこと間違いなし。BENEDICTIONの真価を再確認できる、復活アルバムです。
Killing Music(2008)
- Intro
- The Grey Man
- Controlopolis(Rats In The Mask)
- Killing Music
- They Must Die Screaming
- Dripping With Disgust
- Wrath And Regret
- As Her Skin Weeps
- Cold, Deathless, Unrepentant
- Immaculate Facade
- Burying The Hatchet
- Beg, You Dogs
- Seeing Through My Eyes(BROKEN BONES cover)
- Largactyl(AMEBIX cover)
“音で殺す”とはこういうこと―BENEDICTIONが描く究極の破壊衝動!
7thアルバムは、デス・メタルの本質を突き詰めた凶悪な一撃です。重厚かつ切れ味鋭いリフ、スラッシーな疾走感、そして獰猛なグルーヴが交錯し、まさに“音による殺戮”を体現。デイヴ・ハント(Dave Hunt)<Vo>の怒涛のシャウトも強烈で、終始緊張感を維持しながら叩きつける構成は圧巻です。無駄を削ぎ落としたアレンジが、暴力性と冷徹さを際立たせ、聴く者の神経を逆撫でする快作。BENEDICTIONの集大成ともいえる本作は、UKデスメタルの美学を貫いた傑作として今なお輝き続けています。
Organised Chaos(2001)
- Suicide Rebellion
- Stigmata
- Suffering Feeds Me
- Diary Of A Killer
- The Temple Of Set
- Nothing On The Inside
- Easy Way To Die
- Don’t Look In The Mirror
- This Graveyard Earth
- Charon
- I Am The Disease
- Organised Chaos
混乱と暴虐が融合する、BENEDICTION流エクストリームの設計図!
6thアルバムは、『Organised Chaos』のタイトル通り、制御された混沌の中に暴力性を閉じ込めた異色のデス・メタル作品です。切り裂くようなリフと獰猛なビート、そして怒涛のボーカルが一体となり、聴く者に理性を揺さぶる衝撃を与えます。従来のストレートな作風に加え、やや実験的な構成やテンポ変化も導入され、バンドの成熟と挑戦が共存する意欲作となりました。重さと鋭さを併せ持つサウンドは、混沌の中に確かな秩序を感じさせる設計美。BENEDICTIONの進化を象徴する一枚です。
Grind Bastard(1998)
- Deadfall
- Agonised
- West Of Hell
- <agnificat
- Nervebomb
- Electric Eye(JUDAS PRIEST cover)
- Grind Bastard
- Shadow World
- The Bodiless
- Carcinoma Angel
- We The Freed
- Destroyer(TWISTED SISTER cover)
- I
- We Are The League(ANTI-NOWHERE LEAGUE cover)
暴力が進化した―BENEDICTIONが到達した破壊の極北『Grind Bastard』!
5thアルバムは、デスメタルとグラインドコアの境界を打ち破る圧倒的な暴力音塊です。ヘヴィかつスピーディなリフワークに乗せ、凶悪なグルーヴと獣の如きボーカルが炸裂。従来のデスメタルの枠を越え、よりラフで直線的な攻撃性を増したことで、タイトル通り“進化した暴力”を感じさせる作品となっています。アグレッシブさの中にも曲構成の緻密さが光り、荒々しさと完成度が高次元で融合。90年代UKエクストリーム・メタルの集大成とも言えるこのアルバムは、BENEDICTIONの革新性と破壊力を象徴する一枚です。
The Dreams You Dread(1995)
- Down On Whores(Leave Them All For Dead)
- Certified…?
- Soulstream
- Where Files Are Born
- Answer To Me
- Griefgiver
- Denial
- Negative Growth
- Path Of The Serpent
- Seneless Theory
- The Dreams You Dread
ドゥーミーな重圧と獰猛な咆哮、BENEDICTIONが誘う精神の地獄!
4thアルバムは、テンポを落とした冷徹なアプローチで聴く者をじわじわと追い詰める異色のデス・メタル作品です。前作までの猛烈な突進力とは異なり、ドゥーム的な重厚さと不穏なムードが支配し、まるで悪夢の中を彷徨うような感覚を与えます。ズシリと響くリフ、ねちっこく絡みつくグルーヴ、そしてデイヴ・イングラム(Dave Ingram)の憎悪に満ちたボーカルが一体となり、狂気をゆっくりと浸透させる構成が秀逸。派手さはないが、内に秘めた破壊力は計り知れず、BENEDICTIONのダークサイドを象徴する一枚です。
Transcend The Rubicon(1993)
- Unfound Mortality
- Nightfear
- Paradox Alley
- I Bow To None
- Painted Skulls
- Violation Domain
- Face Without Soul
- Bleakhouse
- Blood From Stone
激烈と荘厳の共鳴、BENEDICTIONが到達したデス・メタルの金字塔!
デス・メタルの激烈さと構築美を高次元で融合させた傑作と呼ばれる作品。鋭利なリフと重厚なグルーヴが織りなすサウンドは、攻撃的でありながらも整然としており、暴力性の中に美学を感じさせます。バンドの演奏力と作曲力が頂点に達したこの作品は、UKデスメタルの名盤として今なお語り継がれる存在。混沌を支配し、限界を超えたその音は、まさに“越えてはならぬ境界”を超えた芸術です。
The Grand Leveller(1991)
- Vision In The Shroud
- Graveworm
- Jumping At Shadows
- Opulence Of The Absolute
- Child Of Sin
- Undirected Aggression
- Born In A Fever
- The Grand Leveller
地を這うリフ、怒涛のグルーヴ―BENEDICTION第2章の幕開け!
前作からボーカルがデイヴ・イングラム(Dave Ingram)に交代し、より獰猛で迫力ある声がサウンド全体を支配。バンドの進化と深化を刻んだデス・メタルの名盤です。地を這うような重低音リフと直線的なドラムが織りなすグルーヴは圧倒的で、まさに“全てを均す”ような暴力的整合感を放ちます。攻撃的ながらも構築された曲展開は、混沌の中に秩序を宿すBENEDICTIONらしい美学。UKデスメタルの正統進化系として、今もなお多くのファンに支持される作品です。
Subconscious Terror(1990)
- Intro – Portal To Your Phobias
- Subconscious Terror
- Artefacted Irreligion
- Grizzled Finale
- Eternal Eclipse
- Experimental Stage
- Suspended Animation
- Divine Ultimatum
- Spit Forth The Dead
理性の奥底を揺さぶる衝撃―BENEDICTIONが刻んだ“潜在的恐怖”!
BENEDICTIONのデビュー作『Subconscious Terror』は、UKデス・メタルの幕開けを告げる重要作です。荒々しいプロダクション、鈍重かつ鋭利なギターリフ、そして後にNAPALM DEATHへ加入するマーク・”バーニー”・グリーンウェイ(Mark “Barney” Greenway)の咆哮が交錯し、純粋な破壊力を解き放ちます。楽曲はシンプルながらも不気味な空気感と獰猛なエネルギーに満ちており、まさに“原初の咆哮”と呼ぶにふさわしい内容。後の進化への布石を感じさせつつ、デス・メタルの核を突きつける一枚として、今なお強烈な存在感を放っています。
コメント