MACHINE HEADの基本情報|バンドの成り立ち
MACHINE HEAD(マシーン・ヘッド)は、1991年にアメリカ・カリフォルニア州オークランドで結成されたスラッシュ/グルーヴ/ニュー・メタル・バンドです。1991年にギタリストとして当時スラッシュ・メタル・バンド、VIO-LENCEに在籍していたロブ・フリン(Robb Flynn)<Vo,Gt>が、音楽性の違いで脱退し、アダム・デュース(Adam Duce)<Ba>、ローガン・メイダー(Logan Mader)<Gt>、トニー・コスタンザ(Tony Costanza)<Dr>を集め始まりました。ロブ・フリンは、VIO-LENCEよりダークでヘヴィなサウンドを追求するためにMACHINE HEADを結成しました。
1994年のデビューアルバム『Burn My Eyes』は、ヘヴィなグルーヴと攻撃的なサウンドで多くの支持を集め、バンドはすぐに注目される存在となりました。1997年に発売された2ndアルバム『The More Things Change…』(1997年)はビルボードチャートで138位を記録。オジー・オズボーンが主催するOZZFESTに参戦し、バンドの活動は勢いを増し、1997年に3rdアルバム『The Burning Red』(1999年)を発売。このアルバムは、ニュー・メタルの要素を取り入れ、音楽性を拡大しましたが、以前のスラッシュ・メタル・サウンドは影を潜め、ラップ調のヴォーカルを取り入れ賛否両論がありましたが、ビルボードのアルバムチャートはバンドの最高位である88位を記録し話題となりました。
2000年代に入ると、2007年のアルバム『The Blackening』で大きな成功を収め、バンドは再びスラッシュ・メタルに回帰しつつ、テクニカルでエピックな楽曲を展開しました。このアルバムは批評家からも高い評価を受け、MACHINE HEADの代表作となっています。
その後も、精力的に活動を続けており、2018年のアルバム『Catharsis』などをリリースし、サウンドに多様性を持たせながら進化を続けていましたが、フィル・デンメル(Phil Demmel)<Gt>、デイヴ・マクレイン(Dave McClain)<Dr>が脱退。現在バンドのオリジナル・メンバーはロブ・フリンひとりになりましたが、アメリカのメタルシーンにおいて重要な存在であり続け、多くのファンから支持を集めています。
バンドメンバー
【現メンバー】
ロブ・フリン(Rob Flynn) – Vocal/Guitar(1992~)
ジャレッド・マクエイカーン(Jared MacEachern) – Bass(2013~)
マット・アルストン(Matt Alston) – Drums/Percussion(2019~)
リース・スクラグス(Reece Scruggs) – Guitar(2022~)
【過去メンバー】
アダム・デュース(Adam Duce) – Bass/Vocal(1991~2013)
ローガン・メイダー(Anders Iwers) – Guitar(1991~1998)
トニー・コスタンザ(Tonu Costanza) – Drums(1992)
クリス・コントス(Chris Kontos) – Drums/Percussion(1992~1995)
ウィル・キャロル(Will Carroll) – Drums(1995)
ウォルター・”モンスタ”・ライアン(Anders Iwers) – Drums(1995)
デイヴ・マクレイン(Dave MacClain) – Drums/Percussion(1996~2018)
アールー・ラスター(Ahrue Luster) – Guitar(1998~2002)
フィル・デンメル(Phil Demmel) – Guitar/Vocal(2003~2018)
ヴォツワフ・”ヴォッグ”・キウティカ(Waclaw “Vogg” Kieltyka) – Guitar(2019~2024)
アルバム紹介 | MACHINE HEADの代表アルバムとその魅力
Unatoned(2025)
- Landscape Of Thorns
- Atomic Revelations
- Unbound
- Outsider
- Not Long For This World
- These Scars Won’t Define Us
- Dusmaker
- Bonescraper
- Addicted To Pain
- Bleeding Me Dry
- Shards Of Shattered Dreams
- Scorn
激情と静謐が交錯する、ヘヴィメタルの叙事詩第2章―“Unatoned”が描く未完の物語
2019年に加入したヴォツワフ・”ヴォッグ”・キウティカ(Waclaw “Vogg” Kieltyka)がDECAPITATEDに専念するため脱退。ライヴメンバーだった元HAVOK、MONOLITHのリース・スクラグス(Reece Scruggs)を正式メンバーに迎え制作された11thアルバム。前作『Of Kingdom and Crown』のコンセプトを継承しつつ、より内省的かつドラマティックな世界観を構築した意欲作です。攻撃的なグルーヴ・リフと叙情的なメロディが交差し、怒りと痛み、希望と虚無が交錯する楽曲群はまさに“叙事詩”の名にふさわしい完成度。テクニカルな構成と重厚なプロダクションも相まって、MACHINE HEADの進化を刻む1枚に仕上がっています。今作は「赦しのない物語」として、未完のまま聴く者の心に問いを投げかける、ヘヴィメタルの現在地と呼ぶべき作品です。
Of Kingdom And Crown(2022)
- Slaughter The Martyr
- Choke On The Ashes Of Your Hate
- Become The Firestorm
- Overdose
- My Hands Are Empty
- Unhallowed
- Assimilate
- Kill Thy Enemies
- No Gods, No Masters
- Bloodshot
- Rotten
- Terminus
- Arrow In Words From The Sky
- Exteroception
ストーリーとサウンドが融合する、現代メタルの頂点――MACHINE HEADの新たなる挑戦
2019年に加入したDECAPITATEDのヴォツワフ・”ヴォッグ”・キウティカ(Waclaw “Vogg” Kieltyka)が参加した10thアルバムは、近未来を舞台にしたダークな復讐劇を描くコンセプトアルバムです。愛する者を失った二人の男の視点から、暴力と喪失、怒りと悲哀を交錯させながら物語が展開されます。従来のグルーヴ・メタルに加え、スラッシュやメロディックな要素も巧みに融合。特に「Slaughter the Martyr」や「Unhallowed」では、叙情性と攻撃性が高次元で融合し、楽曲構成力が際立つ本作は、まさに“音による劇場”。復讐というテーマを通じて、MACHINE HEADはメタルというジャンルの可能性を再定義しました。
Catharsis(2018)
- Volatile
- Catharsis
- Beyond The Pale
- California Bleeding
- Triple Beam
- Kaleidoscope
- Bastards
- Hope Begets Hope
- Screaming At The Sun
- Behoind A Mask
- Heavy Lies The Crown
- Psychotic
- Grind Your Down
- Razorblade Smile
- Eulogy
ヘヴィメタルの常識を壊した問題作―MACHINE HEADが問う“表現の自由”
デイヴ・マクレイン(Dave MacClain)<Dr>、フィル・デンメル(Phil Demmel)<Gt>が脱退前に制作された9thアルバムは、怒り・悲しみ・不安といった感情をむき出しに表現した、異色の問題作です。ヘヴィメタル、ハードコア、ラップ、オルタナティヴなど多彩なスタイルを取り込みつつ、ロブ・フリンの個人的メッセージと政治的主張が強く反映され、賛否を巻き起こしながらも強烈な存在感を放っています。特に「Beyond the Pale」や「Bastards」では、これまでにない表現手法が光り、カタルシス(感情浄化)の名にふさわしい衝動が詰まっています。
Bloodstone & Diamonds(2014)
- Now We Die
- Killers & Kings
- Ghosts Will Haunt My Bones
- Night Of Long Knives
- Sail Into The Black
- Eyes Of The Dead
- Beneath The Silt
- In Comes The Flood
- Damage Inside
- Game Over
- Imaginal Cells
- Take Me Through The Fire
信念は鋼よりも強く、旋律は血よりも深く―“Bloodstone & Diamonds”が刻むメタルの叙事詩!
8thアルバムは、重厚なグルーヴと繊細なメロディ、そして鋭い社会的メッセージが融合した壮大なコンセプト作です。冒頭を飾る「Now We Die」は荘厳なストリングスと共に、バンドの覚悟を強烈に提示。続く「Killers & Kings」や「Game Over」では、怒りと葛藤を叩きつけるリフが炸裂します。哲学的な歌詞と、緻密に構成された楽曲群は、まさに“現代メタルの叙事詩”と呼ぶにふさわしい完成度。信念と美学が凝縮された本作は、MACHINE HEADの進化の象徴です。
Unto The Locust(2011)
- I Am Hell(Sonata In C#)
- Be Still And Know
- Locust
- This Is The End
- Darkness Within
- Pearls Before The Swine
- Who We Are
哀しみを内包した激情、MACHINE HEADが辿り着いた孤高の頂
前作『The Blackening』で築いた壮大な音楽世界をさらに深化させた7thアルバムです。クラシック音楽や叙情的な旋律を取り入れつつ、凶暴なリフとテクニカルな展開が交錯する全7曲は、まさに壮絶なる音の叙事詩。冒頭の「I Am Hell」から終曲「Who We Are」まで、重厚な構成と感情のうねりが息つく間もなく襲いかかります。ロブ・フリンのボーカルは激情と哀愁を巧みに行き来し、バンドとしての成熟を強く印象づけます。メタルの限界を押し広げた本作は、芸術性と攻撃性の共存を体現する傑作といえるでしょう。
The Blackening(2007)
- Clenching The Fists Of Dissent
- Beautiful Mourning
- Aesthetics Pf Hate
- Now I Lay Thee Down
- Slanderous
- Halo
- Wolves
- A Farewell To Arms
闇を越えて響く真実の音、“The Blackening”はMACHINE HEADの頂点にして時代の象徴
21世紀メタルの到達点として多くのファンとメディアに高く評価された6thアルバム。重厚なグルーヴと鋭利なスラッシュリフ、そして10分超の大曲が織りなす構成美は、圧倒的なスケールで聴き手を呑み込みます。政治的・社会的な怒りを込めた「Clenching the Fists of Dissent」や「Aesthetics of Hate」では、ロブ・フリンの咆哮が真実の叫びとして突き刺さります。テクニカルでドラマティック、かつ感情を揺さぶるサウンドは、メタルの可能性を再定義したといえるでしょう。“The Blackening”はまさに、MACHINE HEADの頂点にして、メタルというジャンルの象徴です。
Through The Ashes Of Empires(2003)
- Imperium
- Bite The Bullet
- Left Unfinished
- Elegy
- In The Presence Of My Enemies
- Days Turn Blue To Gray
- Vim
- All Falls Down
- Wipe The Tears
- Descend The Shades Of Night
静かなる序章と激烈なる終焉―“Through the Ashes of Empires”が描く怒りの叙事詩
MACHINE HEADが低迷期からの復活を遂げた決意のアルバム。冒頭の「Imperium」は静謐なイントロから一転、爆発的なグルーヴへと突入し、アルバム全体の空気を一気に引き締めます。原点回帰とも言える重量感あるリフと、内省的な歌詞が交錯する楽曲群は、激情と叙情のバランスに優れた構成美を見せます。「Descend the Shades of Night」では哀しみと祈りを、「Vim」や「Left Unfinished」では怒りと反骨精神を表現。ロブ・フリンのカリスマ性が光る本作は、MACHINE HEADが“自らを取り戻した”音の証明です。
Supercharger(2001)
- Declaration
- Bulldozer
- White-Knuckle Blackout !
- Crashing Around You
- Kick You When You’re Down
- Only The Names
- All In Your Head
- American High
- Brown Acid
- Nausea
- Blank Generation
- Trephination
- Deafening Silence
- Supercharger
崩壊寸前のバンドが吐き出した最後の咆哮、“Supercharger”に刻まれた葛藤と衝動
MACHINE HEADがニューメタルの潮流に寄り添いながら、自らのサウンドを模索した異色作。ヘヴィなリフとラップ調のボーカル、エフェクトを多用した音作りは、バンドの本質と時代の狭間で揺れる葛藤を映し出しています。「Crashing Around You」や「Bulldozer」では従来のグルーヴ・メタルを保ちつつ、「Only the Names」などで見せる叙情性は新たな一面を提示。リリース直後に9.11事件の影響でプロモーションが頓挫し、バンドも解散寸前に追い込まれましたが、本作には怒りと不安、そして再生への衝動が確かに刻まれています。
The Burning Red(1999)
- Enter The Phoenix
- Desire To Fire
- Nothing Left
- The Blood, The Sweat, The Tears
- Solver
- From This Day
- Exhale The Vile
- Message In A Bottle(The Police cover)
- Devil With The King’s Card
- I Defy
- Five
- The Burning Red
原点からの逸脱、それでも響く真実の音―“The Burning Red”が問うメタルの本質
MACHINE HEADが従来のグルーヴ・メタル路線から大きく舵を切った、挑戦的かつ感情的な3rdアルバムです。ラップ調のボーカルやクリーン歌唱、シンプルな構成が増え、当時は賛否を呼びましたが、今なお強い存在感を放っています。「From This Day」や「Desire to Fire」に見られる新機軸、「The Blood, the Sweat, the Tears」では変わらぬ攻撃性を維持。特に「Message in a Bottle」のカバーは、ロブ・フリンの内面を感じさせる静かな挑戦です。メタルの枠を超えようとしたこの作品は、時代を映す鏡であり、“変化”と“信念”の両立を模索した証です。“The Burning Red”は今も、メタルの可能性を問いかけ続けています。
The More Things Change…(1997)
- Ten Ton Hammer
- Take My Scars
- Struck A Nerve
- Down Ton None
- The Frontlines
- Spine
- Bay Of Pigs
- Violate
- Blistering
- Blood Of The Zodiac
“変わること”がメタルである―MACHINE HEADが鳴らす進化の鉄槌
デビュー作『Burn My Eyes』の衝撃を受け継ぎつつ、さらなる進化を遂げた2ndアルバムです。グルーヴメタルの核はそのままに、よりダークでヘヴィ、そして生々しい怒りを詰め込んだ全10曲。オープニングを飾る「Ten Ton Hammer」は、そのタイトル通りの圧倒的重量感で、バンドの姿勢を明確に提示します。デイヴ・マクレイン(Dave MacClain)<Dr>の加入によりリズム面が強化され、楽曲構成にも深みが増加。「Struck a Nerve」や「Take My Scars」では、感情と攻撃性がぶつかり合うエネルギーが炸裂します。変わりゆく時代の中で、MACHINE HEADは“怒り”という信念を貫いたのです。
Burn My Eyes(1994)
- Davidian
- Old
- A Thousand Lies
- None But My Own
- The Rage To Overcome
- Death Church
- A Nation On Fire
- Blood For Blood
- I’m Your God Now
- Real Eyes Realize Real Lies
- Block
燃え上がる怒りと破壊の美学―MACHINE HEADの原点、“Burn My Eyes”の衝撃
MACHINE HEADの名を一気にシーンに轟かせた歴史的デビュー作です。アメリカ社会の混乱や暴力をテーマに、凶悪なグルーヴとメッセージ性の強い歌詞が融合した本作は、90年代メタルの転換点となりました。冒頭の「Davidian」は、”Let freedom ring with a shotgun blast!”という象徴的なフレーズと共に、怒りのエネルギーを爆発させます。ロブ・フリンの圧倒的な咆哮、ロー・チューニングのヘヴィなリフ、そしてドラムの破壊力が全編を貫き、全曲に一貫した緊張感をもたらしています。“Burn My Eyes”は、MACHINE HEADの原点にして、現代グルーヴメタルの礎を築いた不朽の名盤です。
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