METAL CHURCH（メタル・チャーチ）とは？USパワーメタルの原点と歴史

METAL CHURCH（メタル・チャーチ）とは？スラッシュ×パワーが生んだ唯一無二のサウンド
1. METAL CHURCHのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ
アルバム紹介：USメタルの真髄を体現するスラッシュとパワーを融合した唯一無二の存在

METAL CHURCH（メタル・チャーチ）とは？スラッシュ×パワーが生んだ唯一無二のサウンド

METAL CHURCH（メタル・チャーチ）は、1980年にアメリカ合衆国・カリフォルニア州サンフランシスコで結成されたヘヴィ/パワー/スラッシュ・メタル・バンドです。カート・ヴァンダーホフ（Kurdt Vanderhoof）<Gt>が中心となり、アメリカ西海岸における初期USメタル・シーンで存在感を示し始めました。初期はサンフランシスコで活動を進めましたが、のちに拠点をワシントン州アバディーンへ移し、より本格的にバンドを形作っていきます。

結成直後のMETAL CHURCHは、NWOBHMにハードロックの要素と、スラッシュ的な攻撃性、パワーメタル的メロディを自然に融合させたサウンドを追求していました。1984年に自主制作で発表したデビューアルバム『Metal Church』は、その完成度の高さから瞬く間に注目を集め、攻撃的なギターリフと1981年に加入したデイヴィッド・ウェイン（David Wayne）<Vo>のハイトーンヴォーカルが強烈な存在感を放ちました。この時期、彼らは“スラッシュメタルの裏番”とも呼ばれ、USメタルの中でも独自の地位を確立していきます。

1986年、2ndアルバム『The Dark』を発売し、バンドは国際的な評価をさらに高めます。「Watch the Children Pray」などの名曲を生み、初期METAL CHURCHの代表作として広く知られています。その後、デイヴィッド・ウェイン（David Wayne）が脱退し、マイク・ハウ（Mike Howe）<Vo>が加入し制作された1989年の3rd『Blessing in Disguise』は、より洗練されたパワーメタル路線へと進化し、高い音楽性で“METAL CHURCHのもうひとつの黄金期”と呼ばれる評価を生みました。

1991年の4thアルバム『The Human Factor』では、社会派テーマを取り入れた硬派な作風が話題となり、USメタルの成熟を象徴する一作となりますが、グランジやオルタナティヴの台頭によりヘヴィメタルシーン全体が低迷します。METAL CHURCHもその流れに飲み込まれ、メンバー間の方向性の違いも重なり、マイク・ハウ（Mike Howe）が脱退し、1996年に解散しました。

バンドは解散しましたが、過去作品は海外メディアで再評価され続け、特に初期アルバムは“USメタルの名盤”として地位を確立していきました。そして、1998年、再結成を発表。デイヴィッド・ウェイン（David Wayne）が復帰し、再び活動を開始します。

2004年の『The Weight of the World』では、新ヴォーカルを迎えつつも“初期のMETAL CHURCHらしさ”を強く打ち出し、原点回帰的な評価を獲得しました。
2000年代後半には定期的にアルバムを発表し、ライブ活動も活発化。デジタル録音時代に適応しつつ、クラシックUSメタルの重厚さを維持した成熟した音へと変化します。2015年、ファンの大きな期待の中、マイク・ハウ（Mike Howe）が復帰し、発売された『XI』（2016）は世界的に高い評価を受け、オールド・ファンと新規リスナーの両方から支持を得ることに成功しました。このアルバムは、METAL CHURCHが“再びメタルの最前線に戻った”ことを示す象徴的作品となりますが、2021年にはマイク・ハウ（Mike Howe）が急死し、多くのファンと音楽界に衝撃を与えました。

彼の死後、バンドの今後が危ぶまれましたが、バンドは前進を選びます。マーク・ロペス（Marc Lopes）<Vo>を迎えた2023年発売の『Congregation of Annihilation』では、スラッシュ寄りの鋭いアグレッションが戻りつつ、現代的なミックスで新たなバンド像を描き出しましたが、2025年に元VICIOUS RUMORSのブライアン・アレン（Brian Allen）<Vo>に交代、元MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン（David Ellefson）<Ba>が加入し、「USパワーメタルの生きる伝説」「スラッシュとパワーを繋ぐ唯一無二の存在」として確固たる地位を維持しています。METAL CHURCHは、時代の流れとメンバー変化を乗り越えつつ、40年以上にわたり活動を続けてきた稀有なバンドとして、世界中で再評価が進んでいます。

METAL CHURCHのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ

【現メンバー】
■カート・ヴァンダーフーフ（Kurdt Vanderhoof） – Guitar（1980～1987、1998～2009，2012～）
■リック・ヴァン・ザント（Rick Van Zandt） – Guitar（2008～2009、2012～）
■デイヴィッド・エレフソン（David Ellefson） – Bass（2025～）
■ケン・メアリー（Ken Mary） – Drums（2025～）
■ブライアン・アレン（Brian Allen） – Vocal（2025～）

【過去メンバー】
■スティーヴ・ホット（Steve Hott） – Bass（1980～1981）
■リック・ワグナー（Rick Wagner） – Drums（1980）
■アーロン・ジンペル（Aaron Zimpel） – Drums（1980～1981）
■カール・サッコー（Carl Sacco） – Drums（1980～1981）
■リック・”チーフ”・コンドリン（Rick “Chief” Condrin） – Guitar（1980）
■エド・ブル（Ed Bull） – Vocal（1980～1981）
■ウィリアム・マッケイ（William McKay） – Vocal（1980、2001～2003）
■カーク・アーリントン（Kirk Arrington） – Drums（1981～1995、1998～2006）
■トム・ウェバー（Tom Weber） – Drums（1981）
■マイク・マーフィー（Mike Murphy） – Vocal（1981）
■デューク・エリクソン（Duke Erickson） – Bass（1982～1995、1998～2001）
■クレイグ・ウォールズ（Craig Walls） – Guitar（1982～1995、1998）
■デイヴィッド・ウェイン（David Wayne） – Vocal（1982～1988、1998～2001）
■マーク・ベイカー（Mark Baker） – Guitar（1986）
■ジョン・マーシャル（John Marshall） – Guitar（1987～1995、1998～2001）
■マイク・ハウ（Mike Howe） – Vocal（1988～1995、2015～2021）
■ジェイ・レイノルズ（Jay Reynolds） – Guitar（2001～2008、2012）
■ロニー・マンロー（Ronny Munroe） – Vocal（2003～2009）
■スティーヴ・アンガー（Steve Unger） – Bass（2004～2009、2012～2025）
■ジェフ・プレイト（Jeff Plate） – Drums（2006～2009、2012～2017）
■スティーヴ・ハウランド（Stet Howland） – Drums（2017～2025）
■マーク・ロペス（Marc Lopes） – Vocal（2023～2025）