バンド紹介

SADUS（サダス）は、1985年にアメリカのカリフォルニア州で結成されたデス/テクニカル・スラッシュ・メタル・バンドです。その卓越したテクニカルな楽曲構成と激烈な演奏で、スラッシュメタルシーンの中でもユニークな存在として知られています。

SADUSは1984年にカリフォルニア州アントリオックで、スティーヴ・ディジョルジオ（Steve DiGiorgio）<Ba>、ダレン・トラヴィス（Darren Travis）<Gt,Vo>、ロブ・ムーア（Rob Moore）<Gt>、ジョン・アレン（Jon Allen）<Dr>によって結成されました。結成当初から彼らはスラッシュメタルをベースに、テクニカルで速いリフと複雑な構成を取り入れた楽曲スタイルを追求していました。

1987年にデモテープ『D.T.P.』を自主リリースし、地元のメタルシーンで注目を集めました。同年にリリースされた2本目のデモ『Certain Death』がさらに話題を呼び、スラッシュメタルファンの間で彼らの名前が広まりました。

1988年、デビューアルバム『Illusions』をリリース。このアルバムは、激しいスラッシュメタルサウンドと独特のテクニカル要素を融合させた作品として高い評価を受け、バンドの地位を確立しました。

1990年には2ndアルバム『Swallowed in Black』をリリース。この作品は、さらに技術的な演奏が強調され、スティーヴ・ディジョルジオの卓越したフレットレスベースの演奏が特に注目されました。彼らの音楽は一層複雑になり、スラッシュメタルの枠を超えたエクストリームメタルとして評価されるようになりました。

1992年にリリースされた3rdアルバム『A Vision of Misery』では、テクニカルな要素をさらに深化させ、デス/スラッシュメタルの融合を見事に表現しました。しかし、この時期にはスラッシュメタルの人気が衰退し始め、グランジや他の音楽ジャンルが台頭してくる中で、SADUSも厳しい状況に直面しました。

90年代中盤以降、バンドは新たなアルバム制作を控えるようになりましたが、メンバーはそれぞれ別のプロジェクトに関与しました。特にスティーヴ・ディジョルジオは、DEATH、TESTAMENTなどの有名バンドで活動し、その超絶技巧のベースプレイで広く知られるようになります。

一方で、SADUSはライブ活動を継続しながら、新たな楽曲制作にも取り組んでいました。そして、1997年に4thアルバム『Elements of Anger』をリリース。依然としてテクニカルで攻撃的なサウンドを維持しつつ、より洗練されたプロダクションが特徴の作品となりました。

2006年、バンドは5thアルバム『Out for Blood』をリリース。この作品では、過去の作品に比べてより直感的でシンプルな要素を取り入れつつも、テクニカルでヘヴィな本質は失われていませんでした。しかし、アルバムリリース後、バンドは再び活動を減速させ、長い間新たなリリースはなく2015年に活動休止状態になりますが、2017年に活動を再開。スティーヴ・ディジョルジオは未参加でしたが、2023年には新作『The Shadow Inside』がリリースされ、17年ぶりのスタジオアルバムとして注目を集めました。

SADUSはスラッシュメタルにテクニカルなアプローチを持ち込み、デス/スラッシュメタルの発展に大きな影響を与えたバンドとして知られています。スティーヴ・ディジョルジオの革新的なベーススタイルは、メタル界全体に広く影響を与え、多くのミュージシャンにインスピレーションを与えました。

現在、メンバーはダレン・トラヴィスのみとなりましたが、SADUSは、スラッシュメタルの伝統を守りながら、進化を続ける稀有な存在として、多くのファンに支持されています。