STRAPPING YOUNG LADとは?インダストリアル×エクストリームメタルの化学反応
STRAPPING YOUNG LAD(ストラッピング・ヤング・ラッド)は、1994年にカナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーで結成された、インダストリアル・デス/スラッシュ・メタル・バンドです。中心人物は、マルチ・インストゥルメンタリストかつ鬼才として知られるデヴィン・タウンゼンド(Devin Townsend)<Vo,Gt,Key>で、彼の内面の混沌と破壊衝動をそのまま音に落とし込んだような独自の世界観を展開しました。
STRAPPING YOUNG LADは、デヴィン・タウンゼンドがスティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)との活動後、自身の音楽的衝動を爆発させるためのプロジェクトとして立ち上げられました。デビュー作『Heavy as a Really Heavy Thing』(1995年)は、荒削りながらもSYLらしい攻撃性とインダストリアルな質感を備え、日本でも”超怒級怒濤重低爆音”という邦題で発売され、コアなファンから高く評価されました。
デヴィン・タウンゼンドは、ソロ活動でのアルバム制作とも平行して、1997年には、2ndアルバム『City』をリリース。プロダクションの質が飛躍的に向上し、ジーン・ホグラン(Gene Hoglan)<Dr>、ジェド・サイモン(Jed Simon)<Gt>、バイロン・ストラウド(Byron Stroud)<Ba>という鉄壁のラインナップが固まりました。『City』はインダストリアル・メタル史に残る名盤とされ、メタル界におけるカルト的存在としてSTRAPPING YOUNG LADの地位を不動のものにします。
2ndアルバム発表後は、デヴィン・タウンゼンドがソロや複数のプロジェクトでの活動のためバンド活動を休止しますが、2001年に活動再開を宣言。2003年には3rdアルバム『Strapping Young Lad』を発表し、さらに2005年の『Alien』では、精神的な不安定さや内的葛藤を極限まで押し出したサウンドが話題となりました。2006年には、バンドとしての成熟とユーモアを融合させた『The New Black』をリリースし、商業的にも一定の成功を収めます。
しかしながら、2007年、デヴィン・タウンゼンドは精神的・創作的な限界を理由にSTRAPPING YOUNG LADの活動終了を発表しました。その後、彼はソロプロジェクト、DEVIN TOWNSEND PROJECTに注力し、より多彩で洗練された音楽性を追求しています。他のメンバーたちもFEAR FACTORYやZIMMERS HOLEなど様々なバンドで活躍を続けています。
STRAPPING YOUNG LADは、インダストリアルメタルとエクストリームメタルの融合を実現した稀有なバンドであり、現在も多くのミュージシャンに影響を与え続けています。デス・メタル、スラッシュ、グラインド、プログレッシブ要素を内包しつつも、唯一無二のカオス美を形成したそのサウンドは、今なお語り継がれるべき伝説です。デヴィン・タウンゼンドの創造性が結晶化したこのバンドは、インダストリアル・メタルやエクストリーム・メタルのファンにとって聴くべき名盤を数多く残しました。今こそ、その歴史と音楽を再評価すべき時です。
バンドメンバー
【最終メンバー】
デヴィン・タウンゼンド(Devin Townsend) – Vocal/Guitar/Keyboard(1994~1998、2002~2007)
ジーン・ホグラン(Gene Hoglan) – Drums(1996~1998、2002~2007)
ジェド・サイモン(Jed Simon) – Guitar(1995~1998、2002~2007)
バイロン・ストラウド(Byron Stroud) – Bass(1996~1998、2002~2007)
アルバム紹介:STRAPPING YOUNG LADが残した今こそ聴き直したい、破壊的メタルの名盤たち
The New Black(2006)
- Decmator
- You Suck
- Anti Product
- Monument
- Wrong Side
- Hope
- Fa Beyond Metal
- Fucker
- Almost Again
- Polyphony
- The New Black
Alien(2005)
- Imperial
- Skeksis
- Shitstorm
- Love ?
- Shine
- We Ride
- Possessions
- Two Weeks
- Thalamus
- Zen
- Info Dump
Strapping Young Lad(2003)
- Dire
- Consequence
- Relentless
- Rape Song
- Aftermath
- Devour
- Last Minute
- Force Fed
- Dirt Pride
- Bring On The Young
City(1997)
- Velvet Kevorkian
- All Hail The New Flesh
- Oh My Fucking God
- Detox
- Home Nucleonics
- AAA
- Undermeath The Waves
- Room 429(COP SHOOT COP cover)
- Spirituality
Heavy As A Reality Heavy Thing(1995)
- S.Y.L.
- In The Rainy Season
- Goat
- Cod Metal King
- Happy Camper(Carpe B.U.M.)
- Critic
- The Filler – Sweet City Jesus
- Skin Me
- Drizzlehell
- Exciter(JUDAS PRIEST cover)/Satan’s Ice Cream Truck
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