U.D.O.（ユー・ディー・オー）とは？元ACCEPTのウドが率いる正統派ヘヴィメタルの歴史を解説

U.D.O.（ユー・ディー・オー）とは？結成から現在までの歴史

U.D.O.（ユー・ディー・オー）は、元ACCEPTのフロントマンとして世界的な名声を得たウド・ダークシュナイダー（Udo Dirkschneider）<vo> が、バンド脱退後の1987年にドイツで結成した正統派ヘヴィ・メタル・バンドです。力強いボーカルと鋼鉄サウンドを軸に、ヨーロッパのメタル・シーンで長年にわたり安定した人気を維持してきました。

ウド・ダークシュナイダーは、1980年代の欧州メタルを代表するACCEPTのフロントマンとして活躍しました。しかし、音楽性の違いや方向性の変化を受け、1987年にバンドを脱退します。その直後、自身のヘヴィメタル哲学を貫くためにU.D.O.を設立しました。元WARLOCKや元SINNERのメンバーと共に活動を開始し、ウド・ダークシュナイダーの声質と相性の良い伝統的メタルサウンドを軸に活動がスタートします。

デビューアルバム『Animal House』（1987）は、実はACCEPTのメンバーが楽曲制作に関与しており、ウド・ダークシュナイダー脱退後の“もう一つのACCEPT作品”ともいえる内容でした。デビューアルバム発売後、何度かのメンバーチェンジを経て、『Mean Machine』（1989）、『Faceless World』（1990）、『Timebomb』（1991）を発売し、ツアーを開始しますが1991年8月にウド・ダークシュナイダーがミュージシャンからの引退すると宣言し、それに伴い解散しました。

1992年、ウド・ダークシュナイダーは引退宣言を撤回し、ACCEPTへ一時的に再加入します。しかしながら全盛期の勢いを取り戻すことはできず、3枚のアルバムを残し、再解散。

ACCEPT解散後、ウド・ダークシュナイダーは再び自身のバンドU.D.O.を復活させます。このタイミングでかつて在籍したメンバーに新たなメンバーを迎え、よりメロディアスかつパワフルなスタイルへ進化しました。1997年発売の『Solid』を皮切りに、『Man and Machine』（2002）、『Thunderball』（2004）、『Mission No. X』（2005）、『Mastercutor』（2007）を発売。この時期のU.D.O.は、伝統的メタルをベースにしながらも、より緻密なメロディと構成美を取り入れ、確固たるファン層を築きました。

2010年代に入ると、サウンドの重厚さとメロディの両立がさらに磨かれます。『Steelhammer』（2013）、『Decadent』（2015）、『Steelfactory』（2018）は、プロダクションの向上もあってファンおよびメディアから高い評価を獲得しました。

また、この時期にはウドの息子スヴェン・ダークシュナイダー（Sven Dirkschneider）<Dr> が加入し、親子共演が実現し、2016年からはU.D.O.とは別にACCEPT時代の曲を歌う最後のスペシャルツアーと題し、DIRKSCHNEIDERとしてもツアーを開始しています。

2020年代に入ってもU.D.O.は勢いを失わず、成熟した正統派メタルを提供し続け、『We Are One』（2020）、『Game Over』（2021）、『Touchdown』（2023）を発売。2023年にはACCEPTで共にしたピーター・バルテス（Peter Baltes）<Ba>が正式に加入し、ライヴツアーとレコーディングを行っており、ヨーロッパを中心に厚い支持を得ています。支持され続ける理由には次のような要素があります。

1987年の結成から現在に至るまで、U.D.O.は常にブレることなく「伝統的ヘヴィメタル」の精神を貫いてきました。ウド・ダークシュナイダーの圧倒的存在感と、メンバーの確かな演奏力が生み出すサウンドは、世界中のメタルファンから愛されています。これからU.D.O.を知る人にもぜひおすすめできるヘヴィメタル・バンドです。

U.D.O.のバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ

【現メンバー】
■ウド・ダークシュナイダー（Udo Dirkschneider） – Vocal（1987～1991、1996～）
■スヴェン・ダークシュナイダー（Sven Dirkschneider） – Drums（2015～）
■ディー・ダマーズ（Dee Dammers） – Guitar（2018～）
■ペーター・バルテス（Peter Baltes） – Bass（2023～）
■アレン・ブレンティーニ（Alen Brentini） – Guitar（2025～）

【過去メンバー】
■ディーター・ルーバッハ（Dieter Rubach） – Bass（1987～1988）
■フランク・リッテル（Frank Rittel） – Bass（1987）
■トーマス・フランク（Thomas Franke） – Drums（1987～1988）
■ピーター・ツィゲッティ（Peter Szigeti） – Guitar（1987）
■マティアス・ディート（Mathias Dieth） – Guitar（1987～1991）
■アンディ・スーゼミール（Andy Sysemihl） – Guitar（1987～1989）
■トーマス・スムジンスキー（Thomas Smuszynski） – Bass（1988～1991）
■ステファン・シュヴァルツマン（Stefan Schwarzmann） – Drums（1988～1991、1996～1998）
■ウルフギャング・”ウォラ”・ボーム（Wolfgang “Wolla” Böhm） – Guitar（1990）
■フランク・フリケ（Frank Fricke） – Guitar（1990）
■フィッティ・ヴィーンホルト（Fitty Wienhold） – Bass（1996～2018）
■ユルゲン・グラフ（Jürgen Graf） – Guitar（1996～1998）
■ステファン・カウフマン（Stefan Kaufmann） – Guitar（1996～2012）
■ロレンゾ・ミラニ（Lorenzo Milani） – Drums（1999～2004）
■イゴール・ギアノラ（Igor Gianola） – Guitar（1999～2013）
■フランチェスコ・ジョヴィーノ（Francesco Jovino） – Drums（2005～2014）
■アンドレイ・スミノフ（Andrey Smirnov） – Guitar（2012～2025）
■カスペリ・ヘイッキネン（Kasperi Heikkinen） – Guitar（2013～2017）
■ティレン・ハドラップ（Tilen Hudrap） – Bass（2018～2022）