明日の叙景とはどんなバンド?音楽スタイルの特徴とジャンル解説
明日の叙景(Asunojokei)は、日本出身のポスト・ブラック・メタル/ポスト・ハードコア・バンドです。彼らは、ブラックメタルの冷たく荒涼としたサウンドを基調にしつつ、ポスト・ハードコアやポスト・ロックの要素を取り入れた独自の音楽性を持っています。
明日の叙景(Asunojokei)は2014年に東京で結成されました。当初から日本語の歌詞を用いたエモーショナルで劇的な楽曲を展開し、他のポスト・ブラック・メタルバンドとは異なるアプローチをとっていました。日本の音楽シーンにおいて、ブラックメタルとポスト・ハードコアを融合させたスタイルは珍しく、結成当初から注目を集めました。
2016年、彼らはEP『過誤の鳥(A Bird in the Fault)』 をリリース。その独創的なサウンドでポスト・ブラック・メタルファンの間で話題となりました。美しくも荒々しいサウンドスケープと、感情的なボーカルスタイルが特徴で、日本国内だけでなく海外のリスナーにも評価されました。
2018年には、デビューフルアルバム 『わたしと私だったもの』 を発表しました。このアルバムは、ブラックメタルの激しさと、ポスト・ハードコア的なドラマティックな展開が融合した作品であり、彼らの音楽性を確立する一枚となりました。
明日の叙景(Asunojokei)は、国内外でライブ活動を行いながら、独自のスタイルを深化させていきました。2022年には2ndアルバム 『Island』 をリリースし、より洗練されたサウンドと、バンドの成長を感じさせる楽曲が並ぶ作品となりました。このアルバムは、日本国内だけでなく、海外のブラックメタルやポスト・メタルファンからも高い評価を受けました。
明日の叙景(Asunojokei)は、現在も精力的に活動を続けています。国内外のフェスティバルやツアーに出演し、日本のポスト・ブラック・メタルシーンを代表するバンドの一つとして確固たる地位を築いています。また、彼らの楽曲は、ブラックメタルの暗さや荒々しさの中に、繊細な美しさと感情的な深みを持ち合わせているため、幅広いリスナーに受け入れられています。今後も、彼らがどのような音楽的進化を遂げていくのか、大きな注目が集まっています。
バンドメンバー
【現メンバー】
関 拓也(Takuya Seki) – Bass(2014~)
齊藤 誠也(Seiya Saito) – Drums(2014~)
等力 桂(Kei Toriki) – Guitar(2014~)
布 大樹(Daiki Nuno) – Vocal(2014~)
明日の叙景の代表作とディスコグラフィ紹介
Island(2022)
- 臨海 / Heavenward
- キメラ / Chimera
- 見つめたいたい / Gaze
- 土踏まず / Footprints
- 歌姫とそこにあれ / Diva Under The Blue Sky
- 美しい名前 / Beautiful Name
- 忘却過ぎし / The Fogotten Ones
- 甘き渦の微笑 / The Sweet Smile Of Vortex
- 子守唄は潮騒 / Tridal Lullaby
- ビオトープの底から / From The Bottom Of The Biotope
- 遠雷と君 / Thunder
静と動、美と暴―『Island』が提示するポスト・ブラックの新地平!
2022年の2ndアルバムは、ポスト・ブラックメタルという枠を超えた感情の奔流を描き出す傑作です。日本語詞ならではの叙情性と、ポスト・ハードコアやポスト・ロックの要素を融合した音像は、激しさの中に繊細な美しさを湛え、聴く者の心を深く揺さぶります。轟音の海に孤島のように佇む楽曲群は、孤独と葛藤、そして微かな希望を浮かび上がらせ、まさに“音による物語”を体現しています。国内外のリスナーから高く評価され、明日の叙景が日本のポスト・ブラックメタルシーンを牽引する存在であることを強く印象づけた本作は、ジャンルを越えて心を打つ作品です。『Island』は、絶望と希望が交錯する音の旅路への招待状です。
わたしと私だったもの(2018)
- たえて桜のなかりせば / Spring Of Passion
- 火車 / Chain
- 「鉤括弧」/ “Double Quontation Mark”
- 霙 / Sleet
- 月の恥じらい / Bashfulness Of The Moon
- 醜女化粧 / Ugly Mask
- 薄氷 / Thin Ice
感情が暴れ出す瞬間―明日の叙景が放つ“心の轟音”の原点!
デビューフルアルバム『わたしと私だったもの』(2018)は、日本語詞による繊細な表現と、ポスト・ブラックメタルの激情を融合させた明日の叙景が放つ衝撃作です。自己と向き合う苦悩、分裂する内面、癒えない孤独――そうしたテーマが、鋭くも美しい旋律と咆哮に乗せて描かれています。ハードコアの激しさとポスト・ロックの情緒が交錯するサウンドは、心の深層に直接語りかけるかのような力を持ち、リスナーの感情を揺さぶります。本作は、明日の叙景が提示する“音と言葉による自我の解体”の始まりであり、日本発ポスト・ブラックメタルの新たな可能性を示した重要作です。孤独という普遍的な感情を音で描き出すその姿勢は、今も色褪せることがありません。
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