POSSESSEDとは?アメリカ西海岸で誕生した極悪サウンドの先駆者
POSSESSED(ポゼスト)は、アメリカ・カリフォルニア州出身のデス/スラッシュ・メタル・バンドであり、1983年に結成されました。音楽史において「最初のデスメタルバンド」とされることも多く、ジャンル名“デスメタル”を最初に明示的に使用した存在として語り継がれています。
POSSESSEDは、当時のスラッシュメタル・ムーブメントの中から登場しましたが、その音楽性はより邪悪でアグレッシブでした。1985年にリリースされたデビュー・アルバム『Seven Churches』は、スラッシュのスピードとブルータルなヴォーカル、禍々しい雰囲気を融合させた革新的な作品として、高い評価を受けています。このアルバムこそが、後のデスメタルにおけるスタンダードを築いたとされる所以です。
デビュー後、1986年に2ndアルバム『Beyond the Gates』、1987年にEP『The Eyes of Horror』を発表しますが、メンバー間の不和やドラッグ問題により活動は急速に失速します。1987年には解散状態となり、短期間ながらも圧倒的なインパクトを残した黄金期は幕を閉じました。
1989年、ヴォーカリストのジェフ・ベセーラは拳銃の暴発事故により下半身不随となりますが、音楽への情熱は消えませんでした。2000年代に入り、ジェフは車椅子の状態で音楽活動を再開し、2007年にPOSSESSED名義で復活ライブを実現します。その後、世界各国のフェスに出演し、精力的に活動を展開していきました。
2019年、実に33年ぶりとなる3rdアルバム『Revelations of Oblivion』をリリース。往年のファンはもちろん、若い世代からも支持を集め、POSSESSEDは再びシーンの最前線へと返り咲きました。現在もジェフ・ベセーラを中心に精力的なライブ活動を行い、伝説を更新し続けています。
POSSESSEDは、DEATH、MORBID ANGEL、CANNIBAL CORPSEといった後進のデスメタルバンドに多大な影響を与えた存在です。ジャンルの名付け親であり、その黎明期を形作った功績は、メタル史において不動のものとなっています。
POSSESSEDは、単なる「昔のバンド」ではありません。デスメタルというジャンルの根源を担い、今なおその魂を燃やし続ける存在です。メタルの歴史を知るうえで、絶対に外せないバンドの一つと言えるでしょう。
POSSESSEDのアルバム紹介 | 今もなおシーンに生き続ける“死の魂”
Revelations Of Oblivion(2019)
- Chant Of Oblivion
- No More Room In Hell
- Dominion
- Damned
- Demon
- Abandoned
- Shadowcult
- Omen
- Ritual
- The Word
- Graven
- Temple Of Samael
激動の時を超えて蘇る、カリスマの鉄槌―POSSESSED第三章、開幕!
33年の沈黙を破り、発売した復活作にして3rdアルバム。本作は、単なる懐古ではなく、当時の邪悪なエネルギーを現代的な重厚感と精緻なプロダクションで再構築した快作です。ジェフ・ベセーラの圧巻のヴォーカルは車椅子という制約を超え、凶悪な咆哮を響かせます。高速リフ、邪悪なメロディ、重厚な展開が三位一体となり、デスメタルの“本質”を見事に貫いています。懐かしさと革新性が共存するこのアルバムは、過去を知る者にも、新たな世代にも突き刺さる内容です。POSSESSEDは、生ける伝説であると同時に、今なお進化する存在であることをこの一作で証明しました。
Beyond The Gates(1986)
- Intro
- The Heretic
- Tribulation
- March To Die
- Phatasm
- No Will To Live
- Beyond The Gates
- The Beasts Of The Apocalypse
- Seance
- Restless Dead
- Dog Fight
デス・メタルの原型が揺らぐ瞬間―POSSESSEDが挑んだ2作目の真意!
2ndアルバムは、デスメタルの原点を築いた『Seven Churches』の後継作として1986年に発表されました。ファンの間で評価が分かれる本作ですが、荒々しい初期衝動から一歩踏み出し、よりダークで構築的なアプローチを示した点にこそ、その真価があります。音質は前作より粗削りで、空間的な演出や怪しげな雰囲気が強調され、スラッシュとデスの狭間を彷徨うかのような実験性が感じられます。ジェフ・ベセーラの咆哮も健在で、各曲は不穏なテンションと攻撃性を兼ね備えています。過渡期だからこその迷いと挑戦が刻まれた『Beyond The Gates』は、今こそ再評価すべきカルト的傑作です。
Seven Churches(1985)
- The Exorcist
- Pentagram
- Burning In Hell
- Evil Warriors
- Seven Shurches
- Satan’s Curse
- Holy Hell
- Twisted Minds
- Fallen Angel
- Death Metal
邪悪なる福音書―POSSESSEDが記した“死の教典”『Seven Churches』!
デビュー作『Seven Churches』は、デスメタルというジャンルを定義づけた歴史的アルバムです。スラッシュ・メタルの凶暴性に、より禍々しく邪悪な要素を加えたそのサウンドは、当時のシーンに衝撃を与えました。ジェフ・ベセーラの獣のような咆哮、暴力的なリフ、そして“Death Metal”という言葉を初めて明言した点でも、本作の意義は計り知れません。「The Exorcist」や「Burning In Hell」といった名曲には、のちのデスメタルに通じる構造と空気感が詰め込まれています。『Seven Churches』は単なる過去の遺産ではなく、今もなお激烈な生命力を保ち続ける、真の原点です。
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