AGNOSTIC FRONT（アグノスティック・フロント）とは？NYHCの伝説が築いたハードコア・パンクの原点

AGNOSTIC FRONTとは？NYHC（ニューヨーク・ハードコア）を代表するバンドの概要と進化
1. AGNOSTIC FRONTのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ
アルバム紹介：AGNOSTIC FRONTが示したNYHCスピリット

AGNOSTIC FRONTとは？NYHC（ニューヨーク・ハードコア）を代表するバンドの概要と進化

AGNOSTIC FRONT（アグノスティック・フロント）は、1980年にアメリカ・ニューヨークで結成されたハードコア・パンクの歴史を語るうえで欠かせない伝説的バンドです。彼らはニューヨーク・ハードコア（NYHC）シーンの礎を築いた存在として、世界中のパンクスやメタルヘッズに絶大な影響を与え続けています。

結成当初、*ロジャー・ミレット（Roger Miret）<Vo>とヴィニー・スティグマ（Vinnie Stigma）<Gt>を中心に活動を開始。彼らの音楽は、当時の社会不安やストリートの現実をリアルに反映し、暴力的なエネルギーと人間的な誇りを共存させたサウンドで注目を集めました。1984年にリリースされたデビューアルバム『Victim in Pain』は、わずか15分にも満たない短い収録時間ながら、圧倒的なスピードと怒りに満ちたハードコアの名盤として今も語り継がれています。

1980年代後半になると、スラッシュメタルやクロスオーバーの影響を取り入れ、『Cause for Alarm』（1986）や『Liberty and Justice For…』（1987）でより重厚なサウンドへと進化しました。しかし、バンド内の混乱やシーンの変化もあり、90年代初頭に4thアルバム『One Voice』発売後、年内の活動を最後に解散します。

1996年、ミレットとスティグマを中心に再始動を果たしたAGNOSTIC FRONTは、Epitaph Recorsと契約を結び、再結成アルバム『Something’s Gotta Give』（1998）を発表。これによりNYHCシーンは再び活気を取り戻し、後進バンドで特にMADBALLやSICK OF IT ALLなどと共に、新たな波を生み出しました。

その後も『Riot, Riot, Upstart』（1999）や『Warriors』（2007）など、彼らは時代ごとに異なる社会背景を鋭く描き出す作品をリリース。メンバーの入れ替わりを経ながらも、常に「ハードコアとは何か」という問いに真正面から向き合い続けました。

今日に至るまで、AGNOSTIC FRONTは”ストリートの声”として活動を継続しており、40年以上にわたり一貫した姿勢を貫いています。彼らの音楽は単なるパンクの枠を超え、自由・反抗・誇りを象徴する文化的遺産として今も世界中のハードコア・ファンの心を燃やし続けています。

AGNOSTIC FRONTのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ

【現メンバー】
■ロジャー・ミレット（Roger Miret） – Vocal（1982～）
■ヴィニー・スティグマ（Vinnie Stigma） – Guitar（1980～）
■クレイグ・シルヴァーマン（Craig Silverman） – Guitar（2014～）
■マイク・ギャロ（Mike Gallo） – Bass（2000～）
■ダニー・ラマーニャ（Danny Lamagna） – Drums（2020～）

【過去メンバー】
■ジョン・ワトソン（john Watson） – Vocal（1980～1982）
■ディエゴ（Diego） – Bass（1980～1982）
■ロブ・クレークス（Rob Krekus） – Drums（1980～1981）
■レイモンド・バービアーリ（Raymond Barbieri） – Drums（1981～1983）
■アダム・ムッチ（Adam Mucci） – Bass（1982～1983）
■デイヴ・ジョーンズ（Dave Jones） – Drums（1983～1985）
■ロブ・カブラ（Rob Kabula） – Bass（1983～1987、1997～2000）
■トッド・ユース（Todd Youth） – Bass（1983）
■アレックス・キノン（Alex Kinon） – Guitar（1985～1986）
■ゴードン・アンシス（Gordon Ancis） – Guitar（1986～1987）
■ジョー・モンタナーロ（Joe Montanaro） – Drums（1986～1987）
■ルーイ・ベアート（Louie Beato） – Drums（1986）
■アラン・ピーターズ（Alan Peters） – Bass（1987～1990）
■スティーヴ・マーティン（Steve Martin） – Guitar（1987～1990）
■ウィル・シェプラー（Will Shepler） – Drums（1987～1993）
■クレイグ・セタリ（Craig Setari） – Bass（1990～1993）
■マット・ヘンダーソン（Matt Henderson） – Guitar（1990～1993）
■ジミー・コレッティ（Jimmy Colletti） – Drums（1997～2004）
■スティーヴ・ギャロ（Steve Gallo） – Drums（2004～2009）
■ジョゼフ・ジェームス（Joseph James） – Guitar（2007～2014）
■ポーキー・モー（Pokey Mo） – Drums（2009～2020）