DEAFHEAVEN完全ガイド:ポスト・ブラック・メタルの革命児とは?

DEAFHEAVEN(US・アメリカ合衆国)
DEAFHEAVEN(US・アメリカ合衆国)

DEAFHEAVENとは?その音楽性と世界的評価

DEAFHEAVEN(デフヘヴン)は、2010年にアメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコで結成されたシューゲイズ/ポスト・ブラック・メタル・バンドです。バンドはジョージ・クラーク(George Clarke)<Vo>とケリー・マッコイ(Kerry McCoy)<Gt>によって結成され、他のメンバーが加入することで現在のラインナップが形成されました。

2011年にデビューアルバム『Roads to Judah』をリリースし、その斬新なサウンドで注目を集めました。このアルバムは、ブラックメタルの荒々しい要素とシューゲイズのドリーミーでアンビエントなサウンドを融合させたもので、バンドの独自性を強調しています。

2013年にリリースされた2ndアルバム『Sunbather』は、批評家からの絶賛を受け、バンドの知名度を一気に押し上げました。このアルバムは、ブラックメタルの要素を持ちながらも、エモーショナルで美しいメロディーを取り入れた作品で、多くの「年間ベストアルバム」に選ばれました。

その後も、バンドは『New Bermuda』(2015年)、『Ordinary Corrupt Human Love』(2018年)といったアルバムをリリースし、音楽的な進化を続けています。特に『Ordinary Corrupt Human Love』では、さらに多様な音楽スタイルを取り入れ、ポスト・ロックやインディー・ロックの要素も強化されています。

2021年には『Infinite Granite』をリリースし、それまでのブラックメタルの要素を抑え、シューゲイズやドリームポップの影響を強く受けたサウンドに移行しました。このアルバムはバンドにとって大きな転換点となり、ファンの間でも賛否が分かれましたが、新しいリスナー層を獲得しました。

DEAFHEAVENは現在も活動を続けており、独自の音楽スタイルでシーンに新しい風を吹き込んでいます。

 

バンドメンバー

【現メンバー】
ジョージ・クラーク(George Clarke) – Vocal(2010~)
ケリー・マッコイ(Kerry McCoy) – Bass(2010、2013)/ Guitar(2010~)
ダニエル・トレイシー(Lutz Schmelzer) – Drums(2012~)
シャイヴ・メーラ(Shiv Mehra) – Guitar(2014~)/ Keyboard(2021~)
クリス・ジョンソン(Chris Johnson) – Bass(2017~)

【過去メンバー】
デレク・プライン(Derek Prine) – Bass(2010~2012)
トレヴァー・ディシュライヴァー(Trevor Deschryver) – Drums(2010~2011)
ニック・バセット(Nick Bassett) – Guitar(2010~2012)
コリー・セヴァーソン(Korey Severson) – Drums(2011~2012)
ステファン・リー・”スティーヴン”・クラーク(Stephen Lee “Steven” Clark) – Bass(2014~2016)

 

 

アルバム紹介|ジャンルの垣根を超えたサウンドの数々

Lonely People With Power(2025)

Deafheaven - Lonely People With Power(2025)

  1. Incidental Ⅰ
  2. Doberman
  3. Magnolia
  4. The Garden Route
  5. Heathen
  6. Amethyst
  7. Incidental Ⅱ
  8. Revelator
  9. Body Behavior
  10. Incidental Ⅲ
  11. Winona
  12. The Marvelous Orange Tree

音の光景はより深く、より鋭く―DEAFHEAVENが切り開くサウンドの新境地。

ポスト・ブラックメタルの枠をさらに超え、シューゲイズ、ドリームポップ、アンビエント要素を織り交ぜながら、現代社会における「孤独と権力」のテーマを鋭く描写した2025年発表の6thアルバム。彼らの音楽的進化と社会的メッセージ性が高次元で融合した意欲作です。繊細なクリーン・ボーカルと突き刺すような絶叫、透明感のあるギターサウンドが交錯することで、リスナーに美しさと絶望のコントラストを強烈に印象付けます。感情の振れ幅が激しくも抑制された表現力は、過去作を昇華させた証。今作は、現代人の心の空洞を見つめ直す鏡となるでしょう。DEAFHEAVENがまたひとつ、音の芸術性と社会性を両立させた傑作を届けました。

 

Infinite Granite(2021)

Deafheaven - Infinite Granite

  1. Shellstar
  2. In Blur
  3. Great Mass Of Color
  4. Napture Raining Diamonds
  5. Lament For Wasps
  6. Villain
  7. The Gnashing
  8. Other Language
  9. Mombasa

轟音は静けさへと変貌する―『Infinite Granite』が示したDEAFHEAVENの転生。

2021年の5thアルバムは、バンドの音楽性における劇的な変化を象徴する作品です。これまでのポスト・ブラックメタル的アプローチを大胆に脱却し、ドリームポップやシューゲイザーを主体とした美麗なサウンドスケープを全面に押し出しています。スクリームを抑えたクリーンボーカル、繊細なメロディライン、煌びやかなギターリフが印象的で、まるで音が光に変わるような感覚を味わえます。静と動の対比を超えた、洗練された内省的サウンドは、DEAFHEAVENというバンドの“再誕”を力強く印象づけるもの。ジャンルの枠を超え、音楽そのものの美しさを追求したこの作品は、多くのリスナーにとって新たな感動を与えるに違いありません。

 

Ordinary Corrupt Human Love(2018)

Deafheaven - Ordinary Corrupt Human Love

  1. You Without End
  2. Honeycomb
  3. Canary Yellow
  4. Near
  5. Glint
  6. Night People
  7. Worthless Animal

ロマンティシズムと絶望の交錯―DEAFHEAVENが綴る“腐敗した愛”の物語。

ポスト・ブラックメタルの枠を超え、人間の感情の奥深さに迫る2018年発表の4thアルバムです。轟音の中にも優しさと温もりを織り交ぜたサウンドは、バンドの進化を物語っています。ピアノやクリーンギター、穏やかなボーカルパートを大胆に取り入れることで、これまでにない開放感と繊細さを表現。一方で、怒りや絶望の感情も失われておらず、全体を通じて「愛と腐敗」「希望と痛み」といった対立するテーマが交錯します。光と闇が共存する音のドラマは、聴く者の心に静かに浸透し、深い余韻を残すでしょう。DEAFHEAVENが提示した“人間賛歌”は、現代に生きる私たちへの静かな問いかけとなっています。

 

New Bermuda(2015)

Deafheaven - New Bermuda

  1. Brought To The Water
  2. Luna
  3. Baby Blue
  4. Come Back
  5. Gifts For The Earth

希望は崩れ、音は咲く―DEAFHEAVENが突きつける『New Bermuda』の核心。

DEAFHEAVENがポスト・ブラックメタルの新境地を切り開いた重要作です。前作『Sunbather』で築いた美麗さに、より激しく荒々しいギターと重厚なドラムを加えることで、夢想的だったサウンドは現実の苦悩へと変貌。静寂と轟音、叙情と暴力が交錯する構成は、人間の内面を鋭く映し出します。日常に潜む不安、愛の崩壊、都市の孤独――これらを音で描いた本作は、感情の深淵を覗かせるような没入感を生み出します。このアルバムで、美しさの中に宿る破壊性というテーマを鮮烈に提示し、ジャンルの壁を超えた芸術性を確立しました。『New Bermuda』は、破滅的でありながらも希望の残響を感じさせる作品です。

 

Sunbather(2013)

Deafheaven - Sunbather

  1. Dream House
  2. Irresistible
  3. Sunbather
  4. Please Remember
  5. Vertigo
  6. Windows
  7. The Pecan Tree

甘美なノイズと絶叫が織りなす―DEAFHEAVENが提示した新しい美学。

DEAFHEAVENがポスト・ブラックメタルの新境地を切り開いた2ndアルバム。前作『Sunbather』で築いた美麗さに、より激しく荒々しいギターと重厚なドラムを加えることで、夢想的だったサウンドは現実の苦悩へと変貌。静寂と轟音、叙情と暴力が交錯する構成は、人間の内面を鋭く映し出します。日常に潜む不安、愛の崩壊、都市の孤独――これらを音で描いた本作は、感情の深淵を覗かせるような没入感を生み出します。このアルバムで、美しさの中に宿る破壊性というテーマを鮮烈に提示し、ジャンルの壁を超えた芸術性を確立しました。『New Bermuda』は、破滅的でありながらも希望の残響を感じさせる作品です。

 

Roads To Judah(2011)

Deafheaven - Roads To Judah

  1. Violet
  2. Language Games
  3. Unrequited
  4. Tunnel Of Trees

光と闇のはざまで咆哮する―DEAFHEAVENの世界が始まった最初の一歩。

DEAFHEAVENのキャリアの幕開けを告げた記念すべきデビュー・アルバムです。ブラックメタルの荒々しさとポストロックの叙情性を大胆に融合させ、後のサウンドの原型を形作った本作は、まさにバンドの美学と精神性の原点といえる作品です。長尺の楽曲には、怒り、孤独、儚さといった感情が渦巻き、轟音と繊細なメロディが絶妙なバランスで同居しています。タイトルが示すように、人生や信仰といった深いテーマにも切り込むその音楽は、当時のポスト・ブラックメタル・シーンに衝撃を与えました。荒削りながらも強烈な表現力をもった本作は、DEAFHEAVENというバンドの核を理解するうえで欠かせない重要な一枚です。

 

 

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