DECAPITATEDとはどんなバンドか?結成と歩み
DECAPITATED(ディキャピテイテッド)は、1996年にポーランド・クロスノで結成されたテクニカル・デスメタル/グルーヴ・メタル・バンドです。当時、メンバーのほとんどが10代という若さでしたが、驚異的な演奏技術を持っていたことで、結成当初からシーン内外で注目を集めました。
バンドはデモ作品『Cemeterial Gardens』(1997年)と『The Eye of Horus』(1998年)を発表し、次第にヨーロッパのデスメタルシーンで存在感を高めていきます。そして2000年、デビューアルバム『Winds of Creation』をリリースします。この作品は、VADERのピーター(Peter)<Vo,Gt>がプロデュースし、驚異的なテクニックと凶悪な音像で瞬く間に世界中のメタルファンを驚かせ、DECAPITATEDの名を一気に広める結果となりました。
その後も、『Nihility』(2002年)、『The Negation』(2004年)と、テクニカルでありながら鋭利なリフワークと卓越したリズムアレンジを武器に、着実に地位を築いていきます。しかし、2007年、バンドは大きな悲劇に見舞われます。ツアー中に交通事故に遭い、ヴィトルド・”ヴィテク”・キウティカ (Witold “Vitek” Kiełtyka) <Dr>がわずか23歳でこの世を去り、アドリアン・”コヴァン”・コヴァネク(Adrian “Covan” Kowanek)<Vo>も重傷を負うという不幸に見舞われたのです。
この悲劇により、DECAPITATEDは一時活動休止を余儀なくされますが、2009年、ギタリストのヴォッグはバンドを再建する決意を固め、新たなメンバーを迎えて活動を再開しました。2011年には復活作となる5thアルバム『Carnival Is Forever』を発表し、以前とは異なるグルーヴ感を強調した新たな音楽性を打ち出しました。この作品以降、バンドはテクニカル・デスメタルにグルーヴ・メタル的要素を取り入れ、より幅広い表現を模索していくようになります。
2014年には『Blood Mantra』、2017年には『Anticult』をリリースし、精力的なツアー活動とともに世界的な人気をさらに拡大させました。これらの作品では、初期の超絶技巧を保ちながらも、モダンな重厚感とキャッチーさを巧みに取り入れ、進化し続けるバンド像を強く印象付けました。アルバムリリース後のアメリカツアー中にメンバー全員が逮捕されるという事件に巻き込まれ、一時活動停止状態となりますが、疑いは晴れ活動再開。
バンド活動と並行して、2019年、ヴァツワフ・”ヴォッグ”・キウティカ (Wacław “Vogg” Kiełtyka) <Gt>がMACHINE HEADに参加し、話題となりました。そして2022年、8thアルバム『Cancer Culture』をリリースしました。このアルバムでは、原点回帰とも言える猛烈なデスメタルの攻撃性と、これまで培ってきたグルーヴ感が高い次元で融合しています。長年のファンにも新しいリスナーにも高く評価され、バンドの不屈の精神と創造力を改めて証明する作品となりました。
現在もDECAPITATEDは、世界中のメタルフェスティバルやツアーに精力的に参加し、精緻かつ破壊力あふれるライブパフォーマンスで多くのファンを魅了し続けています。20年以上のキャリアを経てもなお、常に進化と挑戦を続ける彼らの姿勢は、テクニカル・デスメタル/グルーヴ・メタル界において唯一無二の存在であり続けています。
アルバム紹介|テクニカル・デスメタルからグルーヴ要素までサウンドの変遷
Cancer Culture(2022)
- From The Nothingness With Love
- Cancer Culture
- Just A Cigarette
- No Cure
- Hello Death
- Iconoclast
- Suicidal Space Programme
- Locked
- Hours As Battlegrounds
- Last Supper
破壊と再生の美学―DECAPITATEDが叩きつけた“現代病”への鉄槌、『Cancer Culture』爆誕!
ジェイムズ・スチュワート(James Stewart)<Dr>が正式メンバーとなって制作された2022年の8thアルバムは、原点回帰と進化が見事に融合した渾身の一撃です。デビュー以来培ってきた超絶技巧と、近年深化したグルーヴ感が高次元で交錯し、破壊力と叙情を兼ね備えたサウンドを展開。アルバムは冒頭から怒涛のリフとタイトなリズムで畳みかけ、リスナーを一瞬で引き込む圧倒的な完成度を誇ります。タイトル曲「Cancer Culture」や「Iconoclast」では、社会への怒りと個人の葛藤をダイレクトに叩きつけ、鋭いメッセージ性も光ります。悲劇と試練を乗り越えたDECAPITATEDが、なぜ今も最前線に立ち続けるのか――その答えが、このアルバムには刻まれています。
Anticult(2017)
- Impulse
- Deathvaluation
- Kill The Cult
- One-Eyed Nation
- Anger Line
- Earth Scar
- Never Amen
激烈にして緻密!DECAPITATED『Anticult』が示した進化と覚醒の証!
ミハウ・ウィセイコ (Michał “Młody” Łysejko) <Dr>と曲作りを行うことで、バンドの進化と覚醒を象徴する作品となった7作目アルバム。従来の超絶技巧を軸にしながらも、グルーヴ感を大幅に強化し、破壊力と躍動感が見事に共存するサウンドを構築しています。「One-Eyed Nation」や「Earth Scar」では、鋭く切り裂くリフと獰猛なリズムが火花を散らし、リスナーを抗争の渦中へと引き込みます。歌詞には社会批判や個人の自由への渇望が込められ、タイトル通り“カルト的支配への反抗”がテーマとして貫かれています。彼らはこのアルバムで、単なるテクニカル・デス・メタルを超えた普遍的なエネルギーを放ち、現代メタル界に鮮烈な爪痕を残しました。
Blood Mantra(2014)
- Exiled In Flesh
- The Blaspheemous Psalm To The Dummy God Creation
- Veins
- Blood Mantra
- Nest
- Instinct
- Blindness
- Red Sun
- Moth Defect
重厚と躍動の狭間で―DECAPITATEDが切り拓いたグルーヴ・メタルの新次元『Blood Mantra』
ミハウ・ウィセイコ (Michał “Młody” Łysejko) <Dr>を正式メンバーに迎えた6thアルバムは、激烈な破壊力と緻密な構築美を兼ね備えた力作です。テクニカル・デス・メタルを土台に、より強力なグルーヴ要素を押し出した本作では、重厚なリフとダイナミックなリズムが圧倒的な存在感を放ちます。「Exiled In Flesh」や「Blood Mantra」では、怒りと苦悩を昇華させた壮絶なサウンドが展開され、リスナーを深い激情の世界へと引き込みます。前作『Carnival Is Forever』で示した再生の意志をさらに推し進め、バンドの新たなフェーズを確立したのが本作の大きな特徴です。彼らはこのアルバムで、自らの音楽性を再定義し、現代メタルシーンにおける唯一無二の存在感を確かなものにしました。
Carnival Is Forever(2011)
- The Knife
- United
- Carnival Is Forever
- Homo Sum
- 404
- A View From A Hole
- Pest
- Silence
命を削る音の祝祭―『Carnival Is Forever』が描く美しくも凄絶なメタル叙事詩!
過酷な事故による活動休止を経て制作された壮絶な苦難を乗り越えた復活の証です。初期の凶悪なテクニカル・デス要素に加え、グルーヴと叙情性を織り交ぜた新たなサウンドを提示しています。オープニング曲「The Knife」から炸裂する鋭利なリフとタイトなリズムは、リスナーに強烈な衝撃を与え、タイトル曲「Carnival Is Forever」では、重厚な展開の中に儚さすら感じさせる旋律美が光り、バンドの成熟を強く印象付けます。このアルバムで彼らは、ただの復活に留まらず、音楽的進化を遂げた姿を世界に示しました。“絶望の果てに鳴る凱旋”を、ぜひ体感してください。
Organic Hallucinosis(2006)
- A Poem About An Old Prison Man
- Day 69
- Revelation Of Existence(The Trip)
- Post(?)Organic
- Visual Delusion
- Flesh-B(l)ack
- Invisible Control
混沌と理性の狭間で――DECAPITATEDが挑んだ音の実験『Organic Hallucinosis』
アドリアン・”コヴァン”・コヴァネク(Adrian “Covan” Kowanek)<Vo>を迎えた本作は、バンド史上最も挑戦的かつ実験的な作品です。従来の超絶技巧に加え、変則的なリズムと不穏なメロディを大胆に取り入れています。「Day 69」や「Post(?)Organic」では、破壊的なリフと錯綜する展開がリスナーの意識を揺さぶり、音の幻覚へと誘います。攻撃性だけでなく、内省的でサイケデリックな側面も強調された本作は、デスメタルの常識を覆す異端作として高く評価されました。このアルバムで彼らは、自らの限界を押し広げ、唯一無二の存在感を世界に刻みつけたのです。
The Negation(2004)
- The Fury
- Three-Dimensional Defect
- Lying And Weak
- Sensual Sickness
- The Calling
- The Negation
- Long-Desired Dementia
- The Empty Throne
冷徹なる破壊美―『The Negation』で体感するDECAPITATEDの冷ややかな狂気!
2004年にリリースした3rdアルバムは、冷徹な理性と獰猛な破壊力を極限まで研ぎ澄ませた一作です。精密機械のように計算されたリフと、圧倒的なリズムセクションが織りなすサウンドは、デスメタル界でも異彩を放ちます。「The Fury」や「Sensual Sickness」では、複雑な構成の中に潜む冷たい激情が爆発し、リスナーを一瞬たりとも逃しません。怒りや悲しみを超越した“無”の境地を描き出す本作は、DECAPITATEDのテクニカル面だけでなく哲学的な深みも感じさせます。このアルバムは、テクニカル・デスメタルの冷酷な美学を体現した、バンド初期キャリアの到達点とも言える作品です。
Nihility(2002)
- Perfect Dehumanisation(The Answer?)
- Eternity Too Short
- Mother War
- Nihility(Anti-Human Manifesto)
- Names
- Spheres Of Madness
- Babylon’s Pride
- Symmetry Of Zero
虚無を切り裂く衝動―DECAPITATED『Nihility』が放つテクニカル・デスの真髄!
デビューアルバム『Winds of Creation』の超絶技巧をさらに研ぎ澄ませ、より冷徹で無機質な世界観を構築し、無慈悲な精度と圧倒的破壊力を兼ね備えた名盤です。オープニングを飾る「Perfect Dehumanisation」は、重厚なリフとテクニカルな展開が交錯し、リスナーを一気に虚無の深淵へと引き込みます。緻密なリズム構成と突き刺さるギターリフが織り成す音像は、当時のデスメタルシーンに鮮烈なインパクトを与えました。彼らは『Nihility』で、単なる技巧派バンドを超え、冷ややかな激情を表現する存在へと進化を遂げたのです。デスメタルの未来を切り拓いた一枚です。
Winds Of Creation(2000)
- Winds Of Creation
- Blessed
- The First Damned
- Way To Salvation
- The Eye Pf Horus
- Human’s Dust
- Mine Steps
- Dance Macabre
- Mandatory Suicide(SLAYER cover)
血潮に刻まれた技巧と暴力――DECAPITATEDの伝説は『Winds of Creation』から始まった!
が2000年にリリースしたデビュー作は、若き天才たちによる奇跡の一撃です。
当時10代だったメンバーたちが叩き出す圧倒的な演奏技術と、荒々しくも緻密な楽曲構成は、瞬く間に世界中のデスメタルシーンを震撼させました。オープニングを飾るタイトル曲「Winds of Creation」から、緻密なリフワークと破壊的なリズムが炸裂し、バンドの非凡な才能を強烈に印象付けます。冷徹な技巧と獰猛なパワーが絶妙に融合した本作は、テクニカル・デスメタルの新たな基準点となり、以後のシーンに多大な影響を与えました。『Winds of Creation』で、荒削りながらも完璧なデスメタルの未来像を提示したのです。今なお色褪せない衝撃を、ぜひ体感してください!
コメント