SODOM（ソドム）とは？ジャーマンスラッシュを牽引した重戦車サウンド

SODOM（ソドム）とは？ドイツが生んだスラッシュメタルの重鎮

SODOM（ソドム）は、1981年にドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州ゲルゼンキルヒェンで結成されたブラック・メタル、スピード・メタル、そしてスラッシュ・メタルの要素を融合させたサウンドで知られる、ジャーマンスラッシュメタルの象徴的存在です。彼らはKREATORやDESTRUCTIONと並び称される「ドイツ・スラッシュ三銃士（Teutonic Thrash）」の一角を担い、過激かつ攻撃的な音楽性で世界中のメタルファンを魅了してきました。

結成当初のSODOMは、トム・エンジェルリッパー（Tom Angelripper）<Vo,Ba>を中心に、VENOMやMOTORHEADなどの影響を強く受けた原始的なサウンドを展開していました。デビュー前に発売されたEPアルバム『In the Sign of Evil』（1985）は、ブラックメタルの黎明期に通じる荒々しいサウンドと反宗教的なテーマで注目を集め、アンダーグラウンド・シーンに強烈な印象を残しました。

1986年にデビュ―アルバム『Obsessed By Country』、2ndアルバム『Persecution Mania』を発売し、音楽性をよりスラッシュメタルへと進化させ、戦争や反体制といった社会的テーマを前面に押し出しました。この作品をきっかけに、SODOMは国際的な評価を獲得し、続く『Agent Orange』（1989）でその地位を不動のものとします。このアルバムはドイツ国内のチャートにもランクインし、スラッシュメタル史に残る金字塔とされています。

1990年代に入ると、メンバーチェンジを繰り返しながらも、時代に合わせてサウンドを拡張しました。デスメタルやパンクの要素を取り入れた『Tapping the Vein』（1992）など、より攻撃的で多様な作品を発表し続けます。その一方で、中心人物トム・エンジェルリッパーは一貫して反戦・反体制の精神を貫き、社会や政治に対する鋭い視点を歌詞に込めてきました。

2000年代には、バンドは原点回帰ともいえるスラッシュメタル路線を再確立します。特に『M-16』（2001）は、ベトナム戦争をテーマにしたコンセプトアルバムとして高く評価され、SODOMらしい暴力的かつリアリズムに満ちたサウンドを再提示しました。以降も『Decision Day』（2016）や『Genesis XIX』（2020）など、現代のヘヴィメタルシーンにおいても存在感を失わない作品を発表しています。

2025年、『The Arsonist』を発売し、結成から40年以上経ちますが、ダーティなサウンドは健在。しかしながら、トム・エンジェルリッパー自身は、アルバムに伴うツアーをやる予定はなく、開店休業状態となりつつあります。

彼らの音楽は、ただの過激さではなく、社会への警鐘と自己じし表現の自由を体現するものです。SODOMは、ドイツのみならず世界のメタル史においても、決して欠かすことのできない存在なのです。

SODOMのバンドメンバーの変遷と現在のラインナップ

【現メンバー】
■トム・エンジェルリッパー（Tom Angelripper） – Bass（1982～）、Vocal（1984～）
■フランク・ブラックファイア（Frank Blackfire） – Guitar（1987～1989、2018～）
■ヨルク・ゼーガツ（Yorck Segatz） – Guitar（2018～）
■トニー・メルケル（Toni Merkel） – Drums（2020～）

【過去メンバー】
■クリス・ウィッチハンター（Chris Witchhunter） – Drums（1982～1992）
■ブラッディ・モンスター（Bloody Monster） – Drums（1982）
■アリウス・”ブラスフェマー”（Arius “Blasphemer”） – Guitar（1982）
■アグレッサー（Aggressor） – Vocal/Guitar（1982～1984）
■グレイヴ・ヴァイオレイター（Grave Violator） – Guitar（1984～1985）
■デストラクター（Destructor） – Guitar（1985～1986）
■アヘートル（Ahäthoor） – Guitar（1986）
■ミカエル・ホフマン（Michael Hoffmann） – Guitar（1990～1991）
■アンディ・ブリングス（Andy Brings） – Guitar（1991～1995）
■アトミック・シュタイフ（Atomic Steif） – Drums（1992～1996）
■ストラーリ（Strahli） – Guitar（1995～1996）
■ボビー（Bobby） – Drums（1996～2010）
■ベルネマン（Bernemann） – Guitar（1996～2018）
■マッカ（Makka） – Drums（2010～2018）
■ハスキー（Husky） – Drums（2018～2020）