バンド紹介

ENTOMBED（エントゥームド）は、スウェーデンのストックホルムで1987年に結成されたデス・メタル・バンドです。元々はNIHILISTという名前で活動していましたが、1989年にENTOMBEDと改名し再始動しました。

1990年にリリースされたデビュー・アルバム『Left Hand Path』は、スウェディッシュ・デス・メタルの礎を築いた伝説的な作品です。Sunlight Studioで録音され、このアルバムは、後のスウェーデンのデス・メタル・シーンに多大な影響を与え、DISMEMBER、GRAVE、UNLEASHEDなどのバンドにも受け継がれました。

1991年にリリースされた『Clandestine』では、L-G・ペトロフ（L-G Petrov）<Vo>が脱退したため、ニッケ・アンダーソン（Nicke Andersson）<Dr>がヴォーカルを兼任し、よりテクニカルでダイナミックなデス・メタルを展開。このアルバムは、前作よりも洗練されつつも、強烈なリフとグルーヴ感が特徴的でした。1992年には『Clandestine』を携えたツアーを行い、世界的に知名度を上げていきました。

1993年、3rdアルバム『Wolverine Blues』をリリース。ここでバンドはデス・メタルのスタイルから離れ、デスンロール（Death ‘n’ Roll）と呼ばれる独自のサウンドを確立。ヘヴィでグルーヴィーなリフに、ハードロック的な要素を取り入れ、エクストリーム・メタルとロックンロールを融合させたスタイルを展開しました。このサウンドは賛否を呼びましたが、結果的にバンドの個性として確立され、後のCARCASSの『Swansong』や、GOREFESTの『Soul Survivor』などにも影響を与えました。

1997年には4thアルバム『To Ride, Shoot Straight and Speak the Truth』をリリースし、よりストーナー・メタルやハードロック色を強めました。しかし、サイドプロジェクトのTHE HELLACOPTERSに専念するためニッケ・アンダーソンが脱退し、新しいドラマーを迎えました。

2001年に『Morning Star』、2003年に『Inferno』をリリースし、再びデス・メタル寄りのスタイルへと回帰しましたが、2000年代中盤にはメンバー交代が頻繁に行われるようになります。

2014年、アレックス・ヘリッド（Alex Hellid）<Gt>と、L-G・ペトロフを中心とする4人のメンバーとの間でバンド名の権利を巡る争いが発生。バンド名がオリジナルメンバー4人に所有権があるため、L-G・ペトロフはENTOMBED A.D.という新バンド名で活動を開始し分裂。一方でアレックス・ヘリッドはENTOMBEDの名前を保持し、2016年には『Clandestine』25周年記念ライブを開催しました。

2021年3月7日、ENTOMBED、ENTOMBED A.D.のフロントマンであるL-G・ペトロフが闘病の末亡くなり、メタル界に大きな衝撃を与えました。これによりENTOMBED A.D.の活動は事実上終了。一方で、Entombed（アレックス・ヘリッド主導）は現在も存続しており、過去の作品の再発や記念ライブを行っています。

ENTOMBEDは、スウェディッシュ・デス・メタルの創始者としてだけでなく、デスンロールという独自のジャンルを開拓したバンドとしても知られています。彼らの初期作品は現在も多くのデス・メタル・バンドに影響を与え続けており、L-G・ペトロフの遺した功績は決して色褪せることはありません。彼らの音楽は、激しさとグルーヴが融合した唯一無二のスタイルを持ち、デス・メタル・シーンにおいて今も語り継がれる存在です。